馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー2日目]
ツアー2日目:静内・新冠地区のスタリオン・生産牧場をめぐり、宿泊は洞爺湖です。
2018年9月21日
レックススタッド
2日目も快晴で風もなく、絶好のツアー日和となりました。この日最初の目的地は、桜並木で有名な二十間道路にあるレックススタッドです。ここでは、放牧地での自由見学となり、参加者は配置地図をたよりに、お目当ての馬を見てまわりました。
まず、人だかりができていたのは、海外G1馬エイシンヒカリ。少しずつ白さを増した毛色に気付いた参加者も多かったことでしょう。初日に白井牧場で母馬や産駒と対面したハクサンムーンは、奥の放牧地でのんびりと草を食んでいて、ほほ笑ましく写真撮影をする参加者の姿がありました。
すでにG1馬を送り出しているスクリーンヒーローやタニノギムレット、ネオユニヴァースらは種牡馬としての重厚感たっぷりで、今シーズンから移動してきたスマートファルコンも、豪華な先輩たちに囲まれながら元気いっぱいの様子でした。
約1時間の見学時間をとっていましたが、あちこちの放牧地を歩けば、時間はあっという間。お目当ての馬のところに行っても、馬が近くに寄ってくるとは限りませんし、ひたすら草を食んでいるだけのケースもあったでしょう。短い時間でしたが、彼らの日常をありのままに、目に焼き付けていただけたらと思います。
アロースタッド
アロースタッドでは6頭が展示となりました。種牡馬解説は、事務局の松田拓也さんにもご協力いただきました。最初に登場したビッグアーサーは今年から種牡馬生活を開始。「種付けが上手で、体力も豊富」というお話で、種牡馬としても頼もしい存在ですね。
栗毛のトーホウジャッカル、ペルーサはツアーでも人気が高く、「待っていました」と胸を躍らせた参加者も多かったのでは。競走馬時代、強烈な気性を持ち味としていたラニは、そのイメージを覆す?ように、大人しいぐらいに周回。松田さん曰く「本当にラニ?」と聞かれることもあるそうですが、種牡馬として、彼なりに大人の階段をしっかりと上がっているようです。
ディーマジェスティやワンアンドオンリーといったクラシックホース、JBCスプリント(Jpn1)覇者ドリームバレンチノも展示馬となり、どの馬も中央・地方のG1で活躍した馬ばかりで、嬉しい再会となったのではないでしょうか。ディーマジェスティ、ワンアンドオンリーとは班ごとで集合写真を撮ることもできました。
優駿スタリオンステーション・優駿記念館
バスは新ひだか町から山を越えて新冠町へ。次なる目的地は優駿スタリオンステーションです。主任の山崎努さん立ち合いのもと、5頭の種牡馬が展示となりました。
まずはこのツアー初登場のシルバーステートから。種牡馬入り後はロケットスタートを切り、191頭の交配牝馬を集めました。展示でのキレのある動きは、5歳馬の若々しさがなせるところでしょう。同い年のレインボーラインも、競走馬としての雰囲気がまだ残っている様子ながら、こちらは天皇賞馬にふさわしいオーラがありました。
G1/Jpn1 10勝の実績を引っさげるホッコータルマエは、砂のチャンピオンらしい力強さがあり、産駒好調のエスポワールシチーは、落ち着いた様子でポーズを決めました。ヘニーヒューズ、アジアエクスプレスは父子2代での登場となり、両馬を間近で見比べて、似ているポイントに気付いた参加者もいたことでしょう。最後に、アジアエクスプレスと一緒に、全員で記念写真を撮ることができました。
優駿スタリオンステーションでは厩舎内での自由時間もあり、ダービー馬ロジユニヴァースやカレンブラックヒルなどを見学できました。一般見学では厩舎の外からのルールなので、厩舎の中での見学は、特別な体験となりました。
その後は、隣接する優駿記念館へと立ち寄り、オグリキャップやホッコータルマエの展示品や、グッズの買い物を楽しみました。優駿記念館からは、功労馬生活を送るマヤノトップガンの姿がよく見え、おじいちゃんになった彼にエールを送る参加者もたくさんいました。また、オグリキャップの等身大ブロンズ像や、カネヒキリやロジータといった馬たちのお墓にも足を運びました。
ビッグレッドファーム
2日目・午前中最後の目的地は、こちらも日高では有名な牧場の一つ、ビッグレッドファームです。競走馬の生産から育成、デビュー後の競走馬の調教や休養、種牡馬事業に至るまで多岐に取り組んでいます。スタッフの長田基洋さんがバスに乗り込み、案内役を務めました。
最初に訪れたのは繁殖厩舎で、4頭の母子が展示となりました。こちらではスタッフの菊池聡さんより詳しい説明があり、父母と子に通じる部分や、子の将来性について、ユーモアをまじえながら語ってくれました。中でも、ゴールドシップの産駒には参加者のリアクションが大きく、名馬の血を受け継ぐ子の出会いに、シャッター音が響きました。
続いて一行は種牡馬厩舎へと移動。絵画にしたくなるような趣ある厩舎の前で、ダノンバラード、グラスワンダー、ゴールドシップの3頭が展示となりました。ゴールドシップとは班ごとに記念写真を撮ることができました。グラスワンダーが目当てという男性参加者は、「有馬記念(G1)を思い出しますね。まだまだ筋肉があり、元気で良かった」と安どしていました。
展示終了後は厩舎内にて自由見学となり、厩舎前にて全員で記念写真を撮りました。その後、牧場内「KEIBA CLUB」に移動し、牧場スタッフの皆さんと一緒に、昼食となりました。カレーライスを食べながら、スタッフの皆さんによる“牧場目線”のお話に花が咲きました。
ノースヒルズ
2日目午後に向かった先は、水色と赤の勝負服でおなじみノースヒルズです。近年ではキズナ、ワンアンドオンリーの2頭のダービー馬を生産・育成し、国内外で素晴らしい実績を残している牧場です。
ここでは、ゼネラルマネージャー・福田洋志さんの解説により、バスで場内の一部をまわったあと、5頭が展示となりました。展示馬は2組の母子。母ヴェントスと当歳牝馬(父キズナ)、母アディアフォーンと当歳牡馬(父ハービンジャー)から始まり、繁殖生活を送るルシュクル、ラヴェリータ、ベルカントと続きました。展示となった繁殖牝馬はどの馬も品があり、当歳馬は目を輝かせながらポーズを決めました。重賞馬ラヴェリータとベルカントとは、班ごとの記念撮影にも恵まれました。武豊騎手との熱いレースシーンを思い出しながら、ファインダーをのぞいた参加者もいたことでしょう。
福田さんのお話では、キズナ産駒の長所であったり、牧場ゆかりのファレノプシスの牝系の特徴であったり、子馬と母馬の気性の違いだったり、牧場サイドならではのお話が伝えられました。また、展示している子馬に寄り添いながら、生まれた時の体重やこれからの成長について、わかりやすく説明いただきました。
ノースヒルズ清畠
2日目は宿泊地への移動のため、次が最後の訪問牧場となりました。2018年より開場となったノースヒルズ清畠です。ノースヒルズの新たな拠点として、主に中期育成馬が過ごしています。このツアーでは初めて訪れます。
ここでも、5頭の1歳馬が展示となりました。登場順に、母セレブラールの1歳牝馬(父キズナ)、母ラナンキュラスの1歳牡馬(父キングカメハメハ)、母ブルジュオンの1歳牝馬(父エイシンフラッシュ)、母ラヴェリータの1歳牝馬(父ディープインパクト)、母イコールパートナーの1歳牝馬(父キズナ)が元気に姿を現しました。随所で、福田さんが馬体重や馬の個性、予定厩舎などを説明し、参加者はじっくりと耳を傾けていました。
中でも、ラヴェリータの子はつい数十分前に母親と出会ったばかりですから、似ているところを探した参加者も多かったことでしょう。班ごとに記念撮影もできました。将来、ビッグレースへ挑む姿を想像して、自慢の一枚となりますね。「スペシャルウィークが好き」という男性参加者は、その孫となるラナンキュラスの子との出会いが思い出となった様子。「これからも、スペシャルウィークの血を引く馬を応援していきたいですね」と話していました。