馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー3日目]
ツアー3日目:早朝に育成施設見学を終えた後、胆振地区に移動して見学しました。
2014年9月28日
JRA日高育成牧場
最終日は、まず希望者のみ早朝7時に宿泊場所うらかわ優駿ビレッジAERUの正面玄関に集まり、JRA日高育成牧場の施設見学を行いました。JRA日高育成牧場・総務課の工藤栄治さんが案内役を務め、バスでアジア最大級の育成馬調教施設のBTCをめぐりました。参加者はパンフレットを手に車窓から施設を眺め、屋内馬場やグラス馬場の説明を受けました。丘の上では施設全体を見渡し、工藤さんより「施設全体の広さは東京ドーム270個分、渋谷区一つ分です」と知ると、想像も追いつかない面積に驚いていました。平成5年に調教場をオープンしてからBTC調教利用延べ頭数は250万頭に達し、利用馬はJRAで11,000以上の勝ち星を得ています。最近の出世頭はグランプリホース・ゴールドシップで、今回のツアーで会ったウメノファイバー、ジョーカプチーノ、ヒルノダムール、ファインモーション、メイショウボーラー、ローレルゲレイロもここで鍛えられました。また、工藤さんからは施設関連以外にも、馬産地が抱える人材不足の問題や、JRA日高育成牧場の研究について伝えられました。
ノーザンファーム
参加者全員揃ってうらかわ優駿ビレッジAERUを再出発したバスは、日高から胆振へと進みます。途中、ハイセイコーの銅像がある新冠町・道の駅で休憩をとり、午前11時過ぎに安平町のノーザンファームに到着しました。ここからは胆振連絡センターの高橋啓太さんがバスに添乗し、ツアーの総合案内に加わりました。ノーザンファームでは事務局の中尾義信さんがマイクをとり、セレクトセール鑑定人としても有名な語りで、ユーモアをまじえながら場内を紹介しました。バスは普段、関係者以外入れない放牧地や厩舎周りをめぐり、中尾さんより牧場の歴史や施設概要、土壌分析、牧柵づくり、調教コース、馬の出産についての話が伝えられました。こちらも施設のスケールの大きさと、強い馬づくりのための惜しみない努力の話に、参加者はじっと耳を傾けていました。坂路コースでは頂上付近に直接入ることができ、ウッドチップを踏みしめながら馬の育成についての解説を聞きました。最後は凱旋門賞(G1)に挑戦するノーザンファーム生産馬ハープスターの話にも及び、参加者の心は安平からフランスにも飛んでいきました。
ノーザンホースパーク
時刻は正午をまわり、苫小牧市の観光施設・ノーザンホースパークでランチとなりました。開放感あふれるレストランで参加者はステーキとサラダを食べ、その後は園内で自由時間となりました。最終日ともなると参加者同士仲が深まったようで、会話も弾んでいました。「Happyポニーショー」には参加者の多くが観覧し、一般公開中の厩舎でトウカイポイントやバランスオブゲーム、アロンダイトと会う方や、開催中の「第28回北海道秋季馬術大会」のジャンピング競技を見る方もいました。放牧地には今年から園内に入厩したディープインパクトの母ウインドインハーヘアの姿もあり、乗用馬を目指す仔馬の保育に励んでいました。園内にはお土産品を扱うお店もあり、買い物を楽しむ場面も見受けられ、昼下がりのゆったりとした時間が過ぎていました。
社台スタリオンステーション
いよいよツアーも最後の訪問地・トップクラスの種牡馬が集う社台スタリオンステーションへと向かいます。事務局の三輪圭祐さん案内・解説のもと、約1時間かけて19頭の種牡馬が展示されました。ツアー初登場のオルフェーヴル、エイシンフラッシュは人気が高く、いつまでも見ていたいという参加者の反応でした。ニューフェイスのロードカナロア、ノヴェリストも登場し、フレッシュな姿を披露しました。今年産駒が大活躍のハーツクライは貫録が増した様子で、昨シーズン種付けを休んでいたキングカメハメハも元気にウォーキングしていました。展示頭数が多く、このツアーから導入した登場馬名ボードを記す係の鎌田友香さん(日高案内所・同行スタッフ)も大忙しでした。トリを飾ったのはディープインパクト。専属ガードマンとともに姿を現し、名馬中の名馬らしいオーラで、その存在感は参加者を圧倒していました。あっという間に展示時間は終わり、3日間のツアーはエンディングを迎えました。
バスは午後4時過ぎに新千歳空港へたどり着きました。参加者の皆さんにとっては、満足のいくツアーとなったでしょうか。皆さんが帰路でどんな馬を思い浮かべていたのか、興味深いです。1頭でも多くの馬を、ということでゆとりのないスケジュールではありましたが、人馬無事にゴールを切ることができて何よりです。今回バスの運転手を担当した堀さんも、縁の下の力持ちとしてツアー進行に大きく貢献していました。