2014秋 北海道馬産地見学ガイドツアー 現地取材レポート

馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー1日目]

ツアー1日目:スタリオン・牧場を巡り、夜は毎年恒例の牧場関係者との食事懇親会を開催。初めての試みとてトークショーを行い盛り上がりました。

2014年9月26日

ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス


最初の目的地、ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスに到着
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今年も北海道馬産地見学ガイドツアーの季節がやってきました。初日の天候は晴れ。気持ち良い青空のもと、新千歳空港を出発した一行はバス内で見学マナーの説明を受けた後、最初の目的地へ向かいました。到着したのは日高町富川のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス。ノミネーション担当の石澤孝康さんが今年も案内を担当しました。ここではダービー馬ディープスカイや国際G1馬アドマイヤムーン、ワールドワイドに産駒が活躍しているキングズベストらが展示されました。石澤さんのユーモアあふれる解説のもと、種牡馬たちは立派な馬体を披露。「気持ちのオン・オフがハッキリしているタイプ」というアドマイヤムーンは落ち着き払った様子で、対照的にストーミングホームは大勢の皆さんを前にはしゃいでいたのが印象的でした。南関東で活躍したフリオーソの展示では、競走馬時代を管理した故川島正行調教師とのエピソードも伝えられました。

ブリーダーズ・スタリオン・ステーション


20歳になったが、若々しい馬体を披露した名種牡馬ステイゴールドから見学スタート
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昼食タイムとなり、日高町の温泉「とねっこの湯」レストランで和風御膳を食べた後は、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションへ。2月の種牡馬展示会でもマイクをとっている事務局・遠藤幹さんの解説で見学しました。トップバッターは種牡馬としてオルフェーヴル、ゴールドシップといった数々の一流馬を送り出しているステイゴールド。目当ての参加者の期待に応えるように、大物の雰囲気をたっぷりと漂わせながら対面しました。参加者の女性は「若い頃のままやんちゃな感じで、紹介の際に“猛獣”という言葉が出てきたのが印象的です」と、彼らしい姿にどこか安堵していました。続いて、今年初年度産駒がデビューしたヴァーミリアン、90年代の競馬を盛り上げたグラスワンダー、ダンスインザダークらが登場。ダービー馬ジャングルポケットはしきりにフレーメンの仕草を見せ、愛嬌ある表情で参加者のシャッターチャンスを誘っていました。後半は厩舎前で自由見学となり、一部の参加者はエアシャカール、デュランダル、バブルガムフェローらのお墓参りに向かいました。

優駿スタリオンステーション


カネヒキリと班ごとに記念撮影。C班
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バスで約40分移動し、牧場が集積するエリアとして知られる新冠町の“サラブレッド銀座”通りへ。ここでは今年から種牡馬生活を始めたエスポワールシチー、ロジユニヴァースといったフレッシュな面々をはじめ、不屈の闘志でダート戦線を盛り上げたカネヒキリ、父仔2代で種牡馬生活を送るキングヘイローとローレルゲレイロが展示されました。近年はこうしたツアーでのみ種牡馬を公開している場所とあって、参加者は貴重な機会を満喫。カネヒキリとは記念写真を撮ることができました。展示終了後は自由見学となり、導入後ブレイク中のヘニーヒューズや、芦毛の快速馬ジョーカプチーノらと対面しました。変幻自在の戦法でレースを盛り上げたマヤノトップガンのファンという女性は「現役時代から好きで、13年ぶりに会えて嬉しいです。柵でお尻をかいていた姿が可愛らしかった」と、再会を喜んでいました。その後は隣接する優駿記念館へ移動し、かつて繋養していたオグリキャップの等身大ブロンズ像や頭絡、ゼッケンといったゆかりの品々を見学しました。

YSスタッド


オークス馬ウメノファイバー
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YSスタッド・斉藤安行さんの牧場はこのツアーで初めて訪れます。家族経営の牧場で、1999年のオークス馬ウメノファイバーのふるさとです。最近ではその孫にあたるヴェルデグリーンが重賞を勝ち、再びこの血統からG1制覇のチャンスを作りました。場主の斉藤安行さんが見守る中、牧場の看板馬ウメノファイバーと、その娘でヴェルデグリーンの母レディーダービーが展示されました。今年18歳となるウメノファイバーは健在で、クラシックホースの貫録たっぷり。目の当たりにした男性は「ヴェルデグリーンの馬券を買ってよく当たったので、思い入れのある血統です。母仔で顔が似ていますね。将来また活躍馬を出して欲しいです」と、嬉しそうに話していました。後半には“よかったら仔馬も”という斉藤さんの声で、ウメノファイバーの血を引く母アンフィルージュの当歳牡馬(父エンパイアメーカー)も追加展示馬として登場。大きな母馬に寄り添う幼駒の目の輝きは、活躍の予感を抱かせるものでした。

ビッグレッドファーム


若馬を見てややテンションがあがっていたコスモバルク
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初日最後の訪問牧場は新冠町明和のビッグレッドファーム。国内有数の大規模な牧場で、施設内には沢山の樹木や大きな池があり、まるで絵画を見ているようです。美しいロケーションに目を奪われつつ、牧場スタッフの福田一昭さんの案内で3頭が展示されました。そのラインナップはホッカイドウ競馬のスター・コスモバルク、産駒カゼノコが今年ダートJpn1を制したアグネスデジタル、馬産地で大きな注目を集めている新種牡馬アイルハヴアナザー。どの馬も一流のアスリートらしく、迫力十分のウォーキングを披露しました。福田さんから「新陳代謝の良い馬で、老いもなく元気一杯」というコスモバルクとは全員で記念写真の機会をいただき、バルクは参加者を前に少しはしゃいでいましたが、しっかりポーズを取ってくれました。展示終了後は厩舎で自由見学となり、馬房でリラックス中のアドマイヤマックスやタイムパラドックスらと会いました。参加者の中には普段接しているスタッフに馬の個性について、熱心に質問をしている姿も見受けられました。

静内エクリプスホテル


ゲストの方と全員で記念撮影
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1泊目の宿となった新ひだか町の静内エクリプスホテルでは、参加者と牧場関係者との交流懇親食事会が行われました。今回は牧場ゲストとして、アロースタッドの本間一幸さん、社台ファームの岩倉昌志さん、ダーレー・ジャパンの石澤孝康さん、ビッグレッドファームの福田一昭さん、伏木田牧場の伏木田修さん、優駿スタリオンステーションの山崎努さんが各テーブルにつき、参加者と食事をしながら馬談議に花を咲かせていました。後半にはゲストの皆さんによるトークショーが組まれ、ツアー解説を務める山田康文さんの司会でゲストの皆さんの思い出の一頭や、携わっている馬たちの素顔が伝えられたほか、参加者から寄せられた質問について回答しました。トークショーは初の試みでしたが、思わず笑ってしまう話やドラマチックな話がどんどん飛び出し、「牧場の皆さんだからこその、面白いエピソードを沢山聞けて良かったです」と参加者から好評でした。