馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー1日目]
ツアー1日目:競馬場、牧場を巡り、夜は牧場関係者との食事懇親会を開催して盛り上がりました。
2013年9月26日
門別競馬場
今年も「北海道馬産地見学ガイドツアー」の季節がやってきました。絶好の天気に恵まれ、新千歳空港到着ロビーには、荷物を抱えた参加者の皆さんが笑顔で集まりました。バス内で日高案内所緑川所長による見学マナーについてのレクチャーがあった後、約1時間の移動を経て向かった先は、ツアー最初の目的地・門別競馬場です。北海道軽種馬振興公社(HRA)・村上尚さんのご案内で一行は門別競馬場内施設をめぐりました。今回は特別にパドックの中に入ることができ、ダートで一時代を築いたカネヒキリ、スマートファルコン、ホッカイドウ競馬の3冠牝馬クラキンコらが通った馬道をゆっくりと歩きました。出走馬が周回する気分を味わうように、そこからの眺めを楽しむ参加者の皆さんの視線はあちこちへ。大勢の人がパドック内を1周する光景はユニークでもありました。その後は厩舎地区に入り、普段は関係者以外立入禁止の装鞍所や検量室を見学し、最後はウイナーズサークルで記念撮影をしました。移動中にはコース内の大型ビジョンにてご来場歓迎を伝えるテロップが映し出され、実況室からは古川浩アナウンサー、坂田博昭アナウンサー、解説を務める古谷剛彦さんが登場し、参加者に門別競馬場の魅力を伝えていました。時計は正午をまわり、とねっこ広場にてジンギスカンのランチを満喫しました。
ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
門別競馬場からほど近い場所にあるブリーダーズ・スタリオン・ステーションは1988年設立の種馬場。サラブレッド・ブリーダーズ・クラブ・取締役業務部長の遠藤幹さんによる解説で、7頭の種牡馬が展示されました。最初に登場したのは日本を代表する現役種牡馬のステイゴールド。ここから始まる名馬見学の先陣を切り、一流のオーラを漂わせて参加者の視線を独占しました。秋にビッグレッドファームから移動してきたので、息子のナカヤマフェスタと共にお披露目。飛び跳ねるほど元気な姿に、パワーをもらった参加者も多かったのではないでしょうか。「1年経過し、だんだんと父に似てきました」というアーネストリーもグラスワンダーと共に父仔登場。来季から種付けを開始するストロングリターン、ローズキングダムは若々しい馬体を見せ、今にも競馬場で走れそうな雰囲気を醸し出していました。トリを飾ったのはダービー馬ジャングルポケット。「競馬ファンになるキッカケをくれた馬なので、会うのを楽しみにしていました」という女性参加者は、引退式以来の対面に感動していました。その後は厩舎前での自由見学・お墓参りとなり、参加者は馬房の窓から顔を出す馬と優しく目を合わせていました。
下河辺牧場
1966年開場の下河辺牧場は数多くの重賞馬を生産・育成している名門牧場で、CM撮影や競馬TV番組企画にも協力しています。下河辺行雄社長の案内で向かった先は繁殖エリア。まずは2005年の全日本2歳優駿(G1)覇者グレイスティアラとその当歳(牝、父エンパイアメーカー)が、続いて桜花賞馬アユサンの母バイザキャットとその当歳(牡、父ワイルドラッシュ)がお披露目されました。カメラを持った参加者からの静かな視線を受けながら、当歳馬はしっかりとポーズを決め、度胸のあるところを示していました。その後は何と休養中のアユサンがサプライズで登場。ツアーでは希有な現役クラシックホースのお出ましに、参加者は胸を高鳴らせながら、じっと目を凝らしていました。これまで見学してきた種牡馬・繁殖牝馬とは違い、3歳牝馬の可憐なたたずまいは、ひと際参加者の脳裏に焼き付いたことでしょう。「すっかりファンになりました」という参加者の声もありました。また、バスで場内移動中は下河辺社長が添乗してマイクをとり、離乳の仕方や放牧地の管理、土地の更新、環境美化を図るための工夫等について、参加者にわかりやすく説明していました。
ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス
毎年このツアーで「外国に来ているみたい」という声が飛び交う場所、ダーレー・ジャパン・スタリオンコンプレックス。紺色の屋根と茶色の外壁で統一された建物に、綺麗に刈られた緑色の芝生。絵画の中にいるような鮮やかな色彩の中に、参加者は降り立ちました。ダーレー・ジャパン株式会社ノミネーションオフィスの石澤考康さんの流暢な解説のもと、ストーミングホーム、ディープスカイ、キングズベスト、アドマイヤムーン、フリオーソ、ストリートセンスの順で6頭が展示されました。どの馬も大人しく、それでいて貫録のある風貌で周回し、シャッター音にもまるで動じません。参加者たちを見渡すような余裕さえ感じさせました。現役時代、フリオーソを応援していたという参加者は、「競馬場ではメンコをしていたので、初めてじっくり素顔を見られました。来年の産駒誕生が楽しみです」と、改めてファン熱を高めていました。展示終了後は厩舎見学となり、どの馬も窓から顔を出して愛嬌を振りまいていました。
優駿スタリオンステーション
初日最後の見学地は新冠町の優駿スタリオンステーション。1989年設立の種馬場で、一大ブームを巻き起こしたオグリキャップの繋養先だったことでも知られています。まずは隣接する優駿メモリアルパークと優駿記念館を訪れ、オグリキャップの等身大ブロンズ像や、オグリキャップ記念品の展示コーナーを見学しました。また、ナリタブライアン、コマンダーインチーフ、パシフィカスら13頭の馬碑もあり、その場で冥福を祈る参加者も見受けられました。後半の種牡馬展示では種牡馬復帰を果たしたマーベラスサンデーを先発に、ダートの大舞台で不屈の闘志を発揮したカネヒキリ、父仔で高松宮記念(G1)を制したキングヘイロー、ローレルゲレイロらが登場しました。最後は屋台骨を支え続けているマヤノトップガンが締めくくり、全員で記念写真に収まりました。残り時間は厩舎内での自由見学となり、参加者は大きな馬房の中にいる種牡馬たちの、リラックスしている姿に心を和ませていました。新種牡馬ジョーカプチーノのファンという女性参加者は、「競馬場でいつも応援していました。種牡馬入りしてくれて嬉しいです」と、再会の機会を喜んでいました。
懇親食事会
1日目の夜は新ひだか町静内の街中にある「天政」を会場に、夕食を兼ねた懇親会が行われました。今年も各テーブルに馬産地で働くホースマンがつき、1班にはダーレー・ジャパンの石澤さん、2班にはアロースタッドの本間さん、3班には日高社台ファームの岩倉さん、4班には下河辺牧場の池上さん、5班にはビッグレッドファームの福田さんがゲスト参加し、また、今年も本ツアーの同行取材をしている「うまレター」発起人の浜近さん、本ツアーのサポートにあたっている日高軽種馬農業協同組合の職員も参加者の輪に加わりました。午後6時30分、日高案内所緑川所長の乾杯で食事は始まり、お料理にはお刺身や季節野菜のホイル焼き等が用意されました。あちこちのテーブルで馬についての会話が飛び交い、美味しいお酒・ドリンクも手伝って、会場内は外の肌寒さとは対照的に熱気を帯びていました。懇親会の後半は本ツアーの同行解説者・山田康文さん進行によるクイズ大会が行われ、ゲストに招かれたホースマンにちなんだ問題が出題されました。さすが競馬ファンの集まったツアーとあって、各々知識を出し合って正解を導き出そうとしますが…その上を行く難問・珍問もあり、苦戦する班が続出。見事正解を当てた際は拍手が沸き、和気あいあいとした時間が流れました。上位に入った班には豪華な景品がプレゼントされました。