2018年03月10日 中山牝馬S G3
優勝馬:カワキタエンカ
プロフィール
- 生年月日
- 2014年04月20日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦3勝
- 総収得賞金
- 111,592,000円
- 馬主
- 川島 吉男
- 生産者
- 木田牧場 (三石)
- 調教師
- 浜田 多実雄
- 騎手
- 池添 謙一
牝馬によるハンデ重賞第36回中山牝馬S(G3)は6番人気でハンデ53キロのカワキタエンカが大外枠から果敢にハナを奪ってそのまま逃げ切り、デビューから10戦目で重賞初勝利を飾った。
カワキタエンカは父ディープインパクト、母カワキタラブポップ、母父クロフネという血統で新ひだか町三石にある木田牧場の生産馬。昭和29年に開場しこれまでにアサカリジェント(1992年弥生賞(G2))、メジャーリーガー(2015年水沢・南部駒賞)そして2016年仏国・イスパーン賞(G1)に優勝し現在はレックススタッドで種牡馬として活躍しているエイシンヒカリ(2015年エプソムC(G3)、毎日王冠(G2)、香港カップ(G1))などを送り出して来た。3代目の代表木田圭介さんと先代である父隆満さん、母真理子さんとスタッフ2名で力を合わせ18頭の預託繁殖牝馬と実直に誠実に向き合っている。
隆満さんの奥様、真理子さんは自宅で祈る想いでレースを見守っていた。「最後の直線では、迫ってくる2着馬にハラハラしながら早くゴールして!といてもたってもいられませんでした。勝った瞬間は震えてしまいましたよ(笑)」そしてすぐさま、前日からの大雨と大量の雪解け水による被害の対処をしていたためにレースを見る事が出来なかった隆満さんに電話で吉報を伝えたそうだ。「新馬戦に勝利していますし、秋華賞(G1)で5着に入ってくれたので活躍を期待していましたが、前走の洛陽Sでは逃げ馬特有の脆さを見せて10着という結果でしたので今回はどうなるかなと思っていました。1勝するのも難しい、未勝利を勝つのも大変な時代の中でグレードレースに勝ってくれて本当に嬉しかった、カワキタエンカには感謝でいっぱいです。関係者の皆様に恩返しができたかなと思います。」と隆満さんも笑顔でいっぱいになった。
「本馬はディープインパクト産駒ですのでどんなに綺麗な馬が生まれて来るかと期待していたのですが実際は思い描いていた美しさとは違い、どちらかというとあか抜けない感じで特別に秀でた印象はありませんでした。それが1歳の後半頃から変わって来て、放牧地で仲間と走っている姿を見ていたら一瞬のスピードがディープインパクトの仔だと感じさせました。成長と共に馬は変わって行きますからね。だからといって牧場で走る馬が競馬場に行って必ず結果を出すかと言うとそれはわかりません。どうしても生産馬をひいき目でみてしまいますが成功して欲しいと生産者皆が願う事なのです。」成功を信じて尽力する切なる願いが伝わって来た。
母のカワキタラブポップは現役を引退してから預託馬として木田牧場に来たそうだ。「大人しい馬で扱いやすく、子育ても上手で母乳もよくでる。どんな馬とでも上手くやっていける良いお母さんですね。1歳の父ハービンジャーの牡は順調に成長していますし、今は父ダノンシャンティの出産に向けて準備を整えています。エイシンヒカリと立て続けに重賞勝ち馬を出せたのは良い血統の馬を預託で預けて下さった馬主さんのおかげです。これまで苦節60年、牧場の繁殖牝馬での生産馬だけでは1勝するのも大変な事でしたから。だから強い馬を作るために私達にできる事は全てやります。基本的な事ですが放牧地や採草地の土地改良、良い草作り、繁殖牝馬の健康状態には気を配り、生まれて来た当歳の健康面、扱い方にも気を付けています。幼い頃は人間の扱い方にとても左右される大切な時間ですので悪い癖がつかないように気を配ります。放牧地で十分に運動できない時期は母馬とウォーキングマシーンに入れて軽い運動もさせるなどして工夫して馬を育てて来ました。最近では、テレビでカワキタエンカのパドックを周回する姿を見ると良い馬になったなと思いますね。この先も無事に競走生活を過ごして欲しいです。私が決める事ではないのですが、いつか牧場に帰って来て繁殖牝馬になってくれたら嬉しいです。」春の大舞台で最後まで粘る渋い走りに期待する。