2016年07月06日 スパーキングLC(中央交流) Jpn3
優勝馬:ホワイトフーガ
プロフィール
- 生年月日
- 2012年03月28日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/芦毛
- 戦績
- 国内:14戦7勝
- 総収得賞金
- 291,415,000円
- 馬主
- 西森 鶴
- 生産者
- 梅田牧場 (荻伏)
- 調教師
- 高木 登
- 騎手
- 蛯名 正義
『グランダム・ジャパン2016』古馬シーズンの開幕を告げる「スパーキングレディーカップ(Jpn3)」が川崎競馬場で行われ、1番人気のホワイトフーガが貫禄勝ちを収めた。大外スタートから2番手につけると、向う正面では抑えられない手応えで前を捕え、3コーナーでは早くも先頭に。直線に入っても脚色は衰えず、追いすがるブルーチッパーを2馬身離してゴーイン。3歳時の「関東オークス(Jpn2)」「JBCレディスクラシック(Jpn1)」、古馬になっての「TCK女王盃(Jpn3)」につづくダートグレード4勝目を飾った。
ホワイトフーガの生まれ故郷は、浦河町の梅田牧場。母のマリーンウィナーがホワイトフーガを出産する直前、腸捻転を発症して生死をさまよったエピソードは昨年の「関東オークス(Jpn2)」優勝の際にレポートした通り。その約3か月後、「JBCレディスクラシック(Jpn1)」を制してG1馬に上り詰めた愛馬を、信じられないような表情で見つめる生産者・梅田幹也さんと奥様が大井競馬場にいた。
「あの時は女王サンビスタもいましたし、来年につながるようなレースをしてくれればいいなという気持ちで、ゴール前の一般席に座って見ていたんです。そしたら、あの圧勝でしょ。慌てて口取り式や表彰式に出たのですが、まさか勝てるとは思っていなかったので、髪もボサボサのままだし…。北海道に帰ってきて、床屋さんにも怒られましたよ(笑)」と笑顔で昨年のJBCデーを振り返る。
「生まれた当初は競走馬になれるかどうかを心配したほどの馬がG1馬にまで上り詰めたのですから、分からないものですね。振り返ると、育成場や厩舎で馬の成長度合いに合わせて焦らず調教してもらえたことが、いまの活躍につながっているような気がします」と、育成者や厩舎スタッフに感謝の言葉を述べる。
「今年は最初からJBCの連覇を大目標にしていたので、今回のスパーキングレディーカップ(Jpn3)は負けられないという気持ちが強かったですね。あんなに早く先頭に立つとは思っていませんでしたが、無事に勝ってくれてホッとしています」とレースの感想を語ってくれた。
ちょうど1年前、梅田牧場を訪ねた際にはホワイトフーガの半弟(父シンボリクリスエス)が放牧地にいて、母のマリーンウィナーは空胎の状態だった。その半弟は2歳になり、牧場を巣立ってデビューを目指している。そして母マリーンウィナーのお腹には、新しい生命が宿っていた。「2年連続で不受胎だったので心配したのですが、昨年末から今年にかけて治療を行い、ロードカナロアの仔を無事に受胎しました。僕たちも嬉しかったのですが、年末年始も親身になって治療を行ってくれた獣医さんたちが本当に喜んでくれました。皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と明るい表情を浮かべる。
「ロードカナロアは受胎率が高く、初年度産駒の評判も良かったので配合を決めました。ホワイトフーガの活躍があるので『クロフネじゃないんですか?』と社台スタリオンさんにも聞かれたのですが、血をつないでくれる牝馬が生まれたときのことを考えると、いろいろな可能性を広げておきたいですからね。それにロードカナロアであれば、芝のレースで活躍する産駒も期待できるのではないかと思います」と未来に夢を膨らませる。
「ここまで順調に来ていますので、あとはレディスプレリュード(Jpn2)、JBCレディスクラシック(Jpn1)と無事に駒を進めてほしいです。そして将来は牧場に戻り、血をつないでいってくれる日を楽しみに待っています」と愛馬にエールを送る梅田さん。ミラクルレジェンド以来となるJBCレディスクラシック(Jpn1)連覇はもちろんだが、ホワイトフーガはまだ4歳馬。その未来に目を向けると、前人未踏の3連覇、4連覇も決して夢物語ではない。奇跡的に生命を授かった芦毛馬の、後世へ名を残す戦いがこれから始まっていく。