重賞ウィナーレポート

2015年06月14日 マーメイドS G3

2015年06月14日 阪神競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シャトーブランシュ

プロフィール

生年月日
2010年03月28日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:22戦4勝
総収得賞金
120,327,000円
キングヘイロー
母 (母父)
ブランシェリー  by  トニービン(IRE)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
高橋 義忠
騎手
藤岡 康太

   5歳の6月、8度目の挑戦でついに重賞タイトルを掴んだシャトーブランシュ。しかし、ノーザンファーム空港牧場で育成されていた頃は、順調に調教が行われており、2歳の春先には牧場を離れていた程に仕上がりも進んでいた。

   「癖もなく、とても乗りやすい馬で、様々なスタッフが跨ったことがあると思います。何か人の手を煩わせたという思い出もありませんし、これという強調材料こそありませんが、普通にいい馬でしたよ」とは伊藤賢厩舎長。ノーザンファーム生産馬では珍しいキングヘイロー産駒でもあるシャトーブランシュではあったが、過去にも父の産駒には接したことがあり、しかも旧社台ファーム時代からその名を残す、ブランシユレインの血を引く産駒にも携わってきたこともあって、血統面での違和感も全く感じなかったと話す。

   「マイペースな性格をしていたこともあるのか、折り合いに苦労したこともなく、長めの距離があっているのではと思いました。それでも初勝利をあげたのがダートだとは思っても見なかったですね」(伊藤厩舎長)

   2歳の12月のメイクデビュー阪神でデビューしたシャトーブランシュではあるが、そこで8着に敗れると、2戦目にはダート1800mに戦いの場を移して勝利。再び芝の上に立ったのは、3歳の8月となった。

   「その頃はダート馬だったのかな?とも思っていましたが、芝で勝利(500万下の鳥栖特別)をあげた後に出走したローズS(G2)で2着に入ったときには驚きました。しかも相手は次走の秋華賞(G1)でも1番人気に支持されたデニムアンドルビーでしたからね」(伊藤厩舎長)

   これなら重賞制覇も時間の問題なのでは、と伊藤厩舎長は思ったというが、シャトーブランシュは重賞で勝ちきれないレースが続き、4歳夏のクラス改変で1000万下からの再出発を余儀なくされる。そこでも勝ちあぐむ一方で、牝馬限定の重賞競走では高い人気を集め、今年の中山牝馬S(G3)では1番人気ともなっている。

   「脚質的にどんな競馬でもできる馬である一方で、決め手不足であることも否めませんでした。ローズS(G2)のように重馬場も苦にしない力強さもありながら、自分より切れのある馬に交わされてしまう。勝つためには展開や馬場の助けも無ければいけないのかなと思ったこともあります」(伊藤厩舎長)

   前走のパールSでは先行策で4着に敗れていたシャトーブランシュが、このマーメイドS(G3)で取った戦法は追い込み。しかし、芝コースで外差しの決まる馬場となっていた阪神競馬場では、これがベストな選択だった。

   「後方に位置しているのを見た時、ひょっとしたらという思いはありました。ジョッキーも上手く乗ってくれましたし、シャトーブランシュ自身も力を付けているのでしょう。でも、ここでの重賞勝利はびっくりしたというのが、正直な気持ちです」(伊藤厩舎長)

   それはファンも一緒だったに違いない。1番人気だった中山牝馬S(G3)とは打って変わって、このマーメイドS(G3)では8番人気。その時とは出走メンバーが変わったことや、昨年の同レースでは6着だったことも関係しているのだろうが、上がり3ハロンで最速の脚を使ったことからしても、ここに来ての本格化を感じずにはいられない。

   「重賞を勝ったことで、今後はゆとりをとったローテーションでレースを使って行けそうです。秋の最大目標はエリザベス女王杯馬となるのでしょうが、そこでもより成長した姿を見せて貰いたいですね」(伊藤賢厩舎長)

   ちなみにG1出走となれば、3歳時の秋華賞以来のこと。表舞台に立つまで回り道こそしてきたが、それだけ多くの経験を積んで成長してきた姿を、秋競馬で改めて証明してくれそうだ。