2013年03月02日 チューリップ賞 G3
優勝馬:クロフネサプライズ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年02月25日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/芦毛
- 戦績
- 国内:6戦3勝
- 総収得賞金
- 89,725,000円
- 母 (母父)
- アイアンブリッジ by トニービン(IRE)
- 馬主
- 畑 清介
- 生産者
- 上村 清志 (三石)
- 調教師
- 田所 秀孝
- 騎手
- 武 豊
桜花賞(G1)と同じ舞台・距離で行われるトライアル、チューリップ賞(G3)はクロフネサプライズが逃げ切り、昨年の2歳女王らを完封した。クロフネ産駒らしい伸びのあるストライドで、芦毛の馬体が力強く弾んだ。
本馬の生産者は新ひだか町三石の上村清志さん。過去には2007年の札幌2歳S(Jpn3)を制したオリエンタルロック、芝短距離~マイル重賞で活躍したグランプリエンゼルを生産している。家族経営の牧場で、繁殖牝馬は9頭。
「優勝できて大変嬉しいです。田所秀孝調教師からは好調だと聞いていましたし、何とか優先出走権のある3着までに入って欲しいと願っていました。4コーナーの手応えから、直線の坂を乗り切れば勝てるのではと、胸が高鳴りました。直線では声が出ましたね。武豊騎手とは過去にも生産馬で重賞勝ちがあり、縁といいますか、相性が良いのでしょうね。」と、感想を語ってくれたのは上村清志さん。レースは自宅のテレビで、奥様と一緒に見守っていたという。上村夫妻の声援に後押しされるように、生み出した牝馬は長い直線を踏ん張り通した。
牧場時代の印象について上村さんは、「立派な体つきをしていて、牝馬ながら雄大でした。当歳の頃から白くて、クロフネ産駒らしい馬でした。ケガや病気もなく、順調に育ちました。」と、振り返る。せり上場の予定があったものの、1歳春、長くお付き合いのある畑清介オーナーと庭先取引が成立した。1歳10月まで牧場で過ごし、福山育成牧場(新ひだか町)で初期馴致後、加藤ステーブル(日高町)で本格的な育成調教がなされた。
「2歳の春からグンと成長しましたね。心身がしっかりしてきて、十分に攻めきれました。内に秘めた闘志があって、走る時はいつも前向き。入厩前の調教では、手綱を引っ張るのに苦労するほどでした。」とは、育成時代に跨っていた更科秀さん(加藤ステーブル・調教スタッフ)のお話。2歳6月、栗東・田所秀孝厩舎に入り、夏の小倉デビューに至った。
本馬の母アイアンブリッジは現役時代、地方1勝。半姉ティアドロップスは京都金杯(G3)の勝ち馬マイネルラクリマ、オープン馬のシルクアーネストを生み、今年のジェイエス繁殖馬セールでも高値で取引された。
「アイアンブリッジは馬同士では強い一方、人間に対しては従順です。丈夫で賢く、手のかからない馬です。受胎も仔出しも良いです。」と、上村さんは紹介する。現在はシンボリクリスエスを受胎中で、今年はクロフネを交配予定。2歳には本馬の半弟にあたるアグネスデジタル産駒がおり、こちらも本馬と同じ厩舎・馬主でデビューする。「姉とタイプは違いますが、高い素質を感じます」と上村さんは期待している。
「チューリップ賞(G3)の前、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で2着に入った時は、大健闘だと思いましたが、レースリプレイが流れるたびに、“あと少しだった”という思いも込み上げてきました。今回の勝利は、その悔しさも晴らしてくれましたね。このまま無事にクラシックへ駒を進めて欲しいです。」と、上村さんの表情は晴れやか。桜が舞う阪神競馬場での再会を楽しみにしている。