2010年11月06日 ファンタジーS G3
優勝馬:マルモセーラ
プロフィール
- 生年月日
- 2008年03月12日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦2勝
- 総収得賞金
- 40,642,000円
- 馬主
- まるも組合
- 生産者
- 江渡 繁治 (浦河)
- 調教師
- 木原 一良
- 騎手
- 田中 健
来年の桜花賞(G1)を目指す「第15回KBS京都賞ファンタジーS(G3)」を制したのはクロフネ産駒のマルモセーラ。浦河町杵臼地区で、コツコツと夫婦で馬産に取り組んできた江渡繁治さんにとっては初のJRA重賞制覇となった。
「自分の牧場は年間の生産頭数も少ない(マルモセーラ世代は5頭)ですし、生産馬が重賞競走に出走するのも久しぶり(ソリッドラヴ=05年クリスタルC(G3)13着)のこと。やっぱり嬉しかったですよ」と江渡さんの笑顔が弾けた。出走が決まってからは落ち着かない日々を過ごし、当日は、新聞をたくさん買ってきて愛馬に関する記事を読み、テレビの予想に一喜一憂しながらレースを待った。
「友人の生産馬(マイネイサベル)が人気になっていましたし、あの馬が勝つだろうと思っていました。自分の馬は、スピードがあるから前に行くだろうなっていう思いはあったのですが、他にも逃げ馬がいましたし、道中はインの苦しいところに入ってしまって。それでもうまく外に持ち出してからは、それいけ、それいけ、の連続でしたよ」と歓喜の瞬間をふり返った。直線なかばで弾けるように伸びたマルモセーラだが、ゴール前では2着馬以下の急襲を受けた。「残ったような気がしましたが、写真判定でしたし、次々とかかってくる電話にどう対応してよいのかわかりませんでした」。
そしてテレビの着順表示板がマルモセーラを示す「8」を映し出した。やがて、たくさんの仲間が集まって夜遅くまで江渡さんの労をねぎらった。「嬉しかったですね。厳しい時代ですが、励まされたような気がします」。
母のマイクロスは1歳年上のナリタキョウジン(牡3 父グラスワンダー)を受胎した状態で江渡さんの牧場にやってきた。「気性の強い馬です。母親は馬格に恵まれていますが、生まれてくる仔は少し小さい傾向があります。母系にサンデーサイレンス、ノーザンテーストが入りますので、血統的にも馬格的にも相性が良さそうかなってそう思いました」と配合相手にはクロフネが選ばれた。1歳にはサクラバクシンオーの牡馬がいて、当歳はファルブラヴの牡馬。そして現在はアドマイヤコジーンの仔を受胎している。「サクラバクシンオーの1歳は骨量があって、自分の中では評価の高い馬です。もう育成場に移動しているんですよ。当歳のファルブラヴ産駒も馬格に恵まれましたので、楽しみです。気性は強いのですが、それをうまくコントロールしている印象ですね」と評価する。そんな仔を産み続けるマイクロスを「コンスタントに産駒を産んでくれていますし、素晴らしい繁殖牝馬です。牧場にとっては宝物ですね」と褒めた。
「マルモセーラが生まれた年は、生産馬5頭すべてが牝馬だったんです。その中ではとくに目立つということもなかったのですが、放牧地では先頭を走ることが多かったですね。同期にはディープインパクトの仔もいて、そちらに期待していたのですが、それよりも早くこちらが勝ってしまった」と笑った。
この勝利で、賞金的には桜花賞の権利を取ったが「これからは相手も強くなりますが、アクシデントなく走って欲しいですね。それが一番。それが何よりです」と愛馬を応援している。