2020年05月10日 新潟大賞典 G3
優勝馬:トーセンスーリヤ
プロフィール
- 生年月日
- 2015年04月04日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:28戦5勝
- 総収得賞金
- 218,217,000円
- 馬主
- 島川 隆哉
- 生産者
- 有限会社 エスティファーム (門別)
- 調教師
- 小野 次郎
- 騎手
- 横山 和生
春の新潟開催を代表する「第42回新潟大賞典(G3)」は日高町エスティファーム生産の5歳馬トーセンスーリヤが、最後の直線で逃げ込みを図る2着馬を1馬身半差突き放して優勝。南関東の大井競馬場でのデビューから28戦目で重賞初勝利となった。2006年創業のエスティファーム生産馬の重賞勝利は2018年のエルムS(G3)(優勝馬ハイランドピーク)以来、通算4勝目となった。
トーセンスーリヤは父ローエングリン、母トーセンガラシャという血統。セレクトセールの取引馬でもある母の半姉兄にはテイエムプリキュア(最優秀2歳牝馬)テイエムハリアー(京都ハイジャンプ(JG2)など重賞3勝)がいる血統。繁殖主任の中谷久幸さんと、調教主任の百田悠子さんに喜びの声を聞いた。
レースは牧場事務所のテレビで、換気に注意を払いながら出勤していたスタッフで見ていたとのこと。2人は「トーセンスーリヤは重賞競走に出走するのも初めてですし、昇級戦。とにかく無事にということと、どんな競馬をしてくれるのかと思っていましたが、この馬らしい競馬で勝ってくれたことが嬉しいです。この馬を信じてくれているかのような横山和生騎手の手綱さばきも素晴らしかったと思いますし、地方競馬からデビューした馬が、こうして5歳になって重賞を勝ってくれたことも嬉しいです」と口を揃えた。
横山和生騎手にとっても18年エルムS(G3)以来の重賞制覇となる。
牧場時代のトーセンスーリヤは「病気やケガ、人の手を煩わせるような事はなく、むしろ何の印象も残っていないくらい手のかからない仔でした」(中谷さん)。しかし、秘めた素質は育成を始めたことから輝きを増し「最初は大人しかったのですが、途中から気が強い部分を見せるようになりましたが、そこからさらに育成を重ねて行くと落ち着いて来ました。自分がするべきことを理解している、賢い馬だと思います。夏になると、休養に戻ってくるのですが、デビューしてからも、精神的、肉体的にも著しく成長しているように感じます」(百田さん)
毎年70頭前後の生産馬を送りだすエスティファームは、オーナーブリーディングにこだわる牧場だ。「オーナーが配合を考えて毎年優れた繁殖牝馬を入れてくださるので、出産前の母馬の管理や感染病が起きないようにする環境作りにはものすごく気を使っています。当歳に対しては手入れなどを通じて何をしてもどこを触っても大丈夫なように、大人しく素直になって育成部門に異動してからもみんなに可愛がられるように、スムーズに育成調教ができる馬になるような馴致を心がけています。病気やケガにも早く気が付けるようにしています。馬もそうですが、スタッフも能力アップを心がけています」(中谷さん)。そして、巣立った馬を引き継ぐ百田さんは「繁殖スタッフが確り手をかけて育成に引き継いでくれるので、すんなりと育成に入り、次々と新しい事を教えていけるので助かっています」と言葉の端々にチームワークの良さが伝わってくる。
2人は「今回のレースではスーリヤに携わる全ての歯車がピッタリと合ったために掴んだ勝利なのだと思います」と口を揃えてくれましたが、それは牧場全体にも言えること。トーセンスーリヤと、エスティファームのさらなる飛躍を予感させる取材となった。