重賞ウィナーレポート

2020年03月01日 阪急杯 G3

2020年03月01日 阪神競馬場 晴 良 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ベストアクター

プロフィール

生年月日
2014年02月28日 06歳
性別/毛色
せん/芦毛
戦績
国内:12戦6勝
総収得賞金
113,738,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ベストロケーション  by  クロフネ(USA)
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
鹿戸 雄一
騎手
浜中 俊

 社台ファーム生産の「名牝」と呼ばれる馬たちの中でも、ダイナアクトレスは、競走馬としても、そして繁殖牝馬としても「名牝」と呼ぶに相応しい実績を残した。

 現役時は牡馬を向こうに回す活躍で重賞5勝をあげ、1987年、1988年と2年連続でJRA賞最優秀4歳以上牝馬に選出。繁殖入り後も初仔のステージチャンプ、2番仔のプライムステージが重賞で2勝をあげる活躍を残す。そして、3番仔のランニングヒロインは繁殖牝馬として、2008年のジャパンカップ(G1)を制しただけでなく、種牡馬としてもモーリス、ゴールドアクターと2頭のG1馬を送り出したスクリーンヒーローを送り出した。

 そのダイナアクトレスの命日である3月1日に行われた、今年の阪急杯(G3)。2勝クラスからの連勝の勢いもそのままに、初重賞制覇を果たしたベストアクターだが、その血統を紐解くと、祖母にダイナアクトレスの名前を見つけ出すことができる。

 

 「デビューの直前には、歩様が乱れて出走延期。3歳の9月には膝の骨折手術。その後もヘルニアの疑い及び、去勢手術など、様々なアクシデントを挙げていければキリがないほど、出資会員の皆様にはご心配をおかけしてきたと思います」と話すのは、牧場時代のダイナアクトレスもよく知る社台ファームの東礼治郎場長。東場長にとっても仔の勝利は一際感慨深いものがあったようで、「本馬の能力を信じていただけでなく、歓喜の瞬間も待ち続けてくださった皆様には、心よりお祝いを申し上げたいです」との言葉も返ってきた。既に6歳ながらも、この阪急杯(G3)までのレース歴は僅か11戦。それは東場長も話していたように、怪我や手術による休養期間が長かったことにもある。

 2歳時に重賞を勝ったプライムステージこそいるが、ステージチャンプやスクリーンヒーローの活躍や、何よりもダイナアクトレス自身の競走にも証明されているように、どちらかというと奥手の血統馬。それだけにこの血統をよく知る関係者が大事にレースを使ってきたことが、大器晩成へと繋がった感もある。

 転機となったのはやはり、連勝が始まった2勝クラスの神奈川新聞杯における、勝ちっぷりの良さと言えるだろう。また、クラスが上がった雲雀Sも、武豊騎手の好騎乗もあってクビ差で勝利を掴み取った。

 「この重賞勝利に際して、我慢強く接してくださった鹿戸調教師や、厩舎スタッフの皆さま、また、テン乗りながらも完璧にエスコートしてくれた浜中騎手に厚く御礼を申し上げます。そして武騎手や、ここまで騎乗してレースを教えてくださった全ての騎手の皆様にも、この場を借りてお礼を言いたいです」と東場長。その後に一言、あの名牝の名前を口にした。

 「当日は祖母ダイナアクトレスの命日であり、見えない力も後押ししてくれたように思います」

 新型コロナウイルスの影響から、無観客で行われた今年の阪急杯(G3)。天国からのダイナアクトレスの声援は、よりベストアクターに届いていたのでは、とさえ思えてきた。