馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー3日目]
ツアー3日目:社台グループの各牧場・施設を見学。
2017年9月23日
追分ファームリリーバレー
ツアーの3日目は胆振地区をまわるため、ここからは競走馬のふるさと胆振連絡センターのスタッフが合流します。
朝8時、ホテルを出発した一行が向かったのは追分ファームリリーバレー。ここは2011年にオープンしたばかりの新しい育成牧場です。総面積は250ヘクタール。東京ドームに50個分の面積を誇るこの育成牧場は、「鈴蘭山」と呼ばれる山があった場所がそのまま使われています。直線1020mのウッドチップ坂路コースと、一周1000mと600mの屋内周回コースをメインに、4基のウォーキングマシンなどが用意されています。
追分ファームリリーバレー事務局の福光(ふくみつ)さんに案内していただき「1,000mコースの砂厚が13cm、600mコースの砂厚が15cmと異なる深さに設定されていることなどが説明され、参加者は感心しきりでした。
社台ホースクリニック
続いて向かったのは、当初の予定表には入れることができなかった社台ホースクリニックです。なぜ、予定に入れることができなかったといえば、当日、急患が入った場合にはどうしてもそちらを優先せざるを得ないからです。
競馬ファンの方々には馴染みが薄い場所かもしれませんが、社台グループの躍進を根底から支えているのがホースクリニックです。喘鳴症を発症したダイワメジャーや屈腱炎に悩まされていたカネヒキリなどを現役復帰させたのも、このホースクリニックがあるからこそ。クリニックの壁一面に所狭しと貼られた写真は、ここで治療を受けたのちに復帰して勝利をあげた馬たちの写真なのです。
ここでは鈴木吏獣医師から実際に使っている医療器具や手術室などの設備を説明いただいたほか、動画を使って馬の治療の様子などを教えていただきました。
ノーザンファーム空港牧場
ノーザンファーム空港牧場は、屋内・屋外あわせて5つの調教コースを備えている育成・調教の専門牧場です。オルフェーヴルやジェンティルドンナ、今年のダービー馬レイデオロなど数えきれないほどのG1競走優勝馬がここの育成牧場の出身馬として名を連ねています。
すでに、来年の夏以降にデビューを予定している1歳馬が馴致をスタートさせているために、同事務局の岡本貴政さんに屋内900m坂路や1周400m屋内トラックコース、屋外の1000m坂路コースなどを見学させていただきました。心配された天気もギリギリのところで雨を我慢してくれており、坂路をバックに記念撮影。実際に競走馬がトレーニングを行っているコースを自分の足で踏みしめて感触を確かめる参加者の方も多く見受けられました。
早来ファーム
早来ファームは、競走馬の『小学校』です。春に生まれた馬は夏を過ぎた頃には母親から離されます。いわゆる“離乳”と呼ばれるものですが、離乳された馬を母親代わりに育てるのが早来ファームの仕事です。
早来ファームに集められた馬たちは、1歳夏過ぎに本格的なトレーニングを開始するまでの約1年間をここで過ごします。ただ過ごすのではなく、ウマが人間と正しいコニュニケ―ションを取れるように躾けるのも大切な仕事です。この日は、ときおり強風が吹くあいにくのコンディションでしたが、まだ幼さを残すキズナやエピファネイアの初年度産駒やディープインパクト、オルフェーヴルの子どもたちが人間の指示に従って見事な隊列歩行を見せてくれました。
人間が馬の指示に従って歩く。当たり前のことのように思うかもしれませんが、それを当たり前と思わせるまではたくさんの努力が必要なのです。
ノーザンホースパーク
ノーザンホースパークは、ノーザンファームグループの総帥、吉田勝己氏が代表を務める「馬のテーマパーク」です。ここでは、かつて競馬場を沸かせた馬たちが功労馬、あるいは乗用馬として過ごしているほか、馬に関するお土産グッズも充実していますが、何よりも、愛らしいポニーがインストラクターとともにさまざまな芸を見せてくれる「ハッピーポニーショー」が人気です。
全部を楽しんでいただきたい気持ちはもちろんあるのですが、全体のバランスを考えると捻出できた時間は昼食込みの90分。レストランでパーク自慢の料理を楽しんでいただいたあとは、参加者の方々にはバスが出発するまでの間、思い思いの場所で楽しんでいただきました。
社台スタリオンステーション
長いようであっという間の2泊3日の馬産地ツアーも、オプショナルツアーに参加しない方々にとっては最後の訪問場所となったのが社台スタリオンステーションです。
社台スタリオンステ-ション事務局の三輪圭祐さんの案内で、同ステーション内3か所に設けられた厩舎をまわりながら、社台スタリオンステーション、否、日本が誇る種牡馬陣が次々と紹介されます。
クロフネ、ロードカナロア、そしてルーラーシップが相次いで紹介され、その後も国内外のG1勝馬が次々と紹介されていきます。オルフェーヴルやキズナ、エピファネイアにエイシンフラッシュ。さらにはダイワメジャー、ハーツクライ、エイシンフラッシュ。キングカメハメハやディープインパクトなどなど。シャッター音が鳴りやむことがない60分間の豪華共演となりました。
バスに乗り込む前に同スタリオンステーションのパンフレットを受け取った一行を乗せたバスは、トウカイテイオーが眠る墓へと向かいました。そして献花。かつて自分が過ごしていた放牧地を見渡せるような場所に眠る同馬に哀悼の意を捧げました。
帯広競馬場
オプションツアー参加者は、社台スタリオンステーションで十勝行きのチャーターバスに移り、帯広競馬場へ向けて約160キロの移動となります。道中、強い雨が降り天候が心配されましたが、競馬場に着く頃には小降りになっていました。この日、帯広競馬場でナイター競馬が開催中。ナイター開催を観戦し、競馬開催終了後に花火大会が行われ手筒花火、スターマインなどを観賞しました。競馬場を後にして帯広駅前にある「ふじもり」にて帯広名物の豚丼を食べ、ホテルへとチェックインして長い3日目が終わりました。