2016秋 北海道馬産地見学ガイドツアー 現地取材レポート

馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー2日目]

朝から夕方まで盛りだくさんな1日。このツアー初となる登別温泉に宿泊

2015年9月16日

藤原牧場


藤原牧場ゆかりのスターロッチにたどりつく血統
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2日目の早朝は雨に見舞われましたが、幸いにも空模様は回復しつつあり、参加者は安堵しながらバスに乗車しました。最初の目的地は新ひだか町静内の藤原牧場です。ダービー馬・ウイニングチケットの故郷として有名で、最近ではダンスディレクターが生産馬として重賞勝ちを決めています。ここでは牧場の藤原悟郎社長が見守る中、秋から後期育成に入る1歳馬2頭が展示となりました。まず登場したのは父スウェプトオーヴァーボード、母オアシスムーンの牝馬。祖母には桜花賞(G1)に駒を進めたテンザンデザートがいる血統で、スピードを感じさせる馬体をしていました。2頭目の父タイキシャトル、母リルティングソングの牝馬は父譲りの尾花栗毛で、牝系は牧場ゆかりのスターロッチにたどります。ともにギャラリーにも動じることなく、精神的にもしっかりしている様子。将来もこのように、大勢のカメラを向けられるスターになるかもしれません。

フジワラファーム


正面を向いてポーズをとってくれました
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続いてもこのツアーでは初めて訪れる牧場へ。新ひだか町で生産牧場を営むフジワラファームです。古くは菊花賞馬コクサイプリンス、ダート王者ウイングアロー、最近では昨年の全日本2歳優駿(Jpn1)を制したサウンドスカイを生産し、リーディング・ブリーダー・ランキングでは3年連続で順位を上げています。

まずは繁殖牝馬のネフェルメモリーとチアフルスマイルの2頭が展示となりました。ネフェルメモリーは南関東の桜花賞馬で、ダート馬らしいがっちりしたと体つきを映しました。チアフルスマイルは現役時代、キーンランドC(G3)を制した快速牝馬。ケンタッキーダービー馬ウイニングカラーズの孫という良血らしく、淑女な雰囲気を漂わせていました。

展示後半は当歳馬が登場。母馬と連れ立って現れた父ダンカーク、母ダイワエンジェルの当歳牝馬は、半姉に今夏、小倉2歳S(G3)を圧勝したばかりのレーヌミノルがいる旬な血統。父ヴァーミリアン、母ムゲンの当歳牡馬は、半兄にユニコーンS(Jpn3)を制したロングプライドがいて、こちらも魅力たっぷりなプロフィールです。タイムリーにも、ツアー期間中にはもう一頭の半兄メイショウスミトモが中山競馬場でメインレースを勝ち、牧場生産馬の勢いを感じる一幕もありました。

レックススタッド


各自お目当ての馬の見学に向かいます
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桜舞馬公園で休憩をとった後、一行が向かったのはレックススタッド。ちょうど朝の放牧時間と重なり、芝生通路を歩きながら放牧地で自由見学となりました。20頭以上の種牡馬を繋養しているため、40分間の滞在時間ながら、参加者は種牡馬の配置地図を頼りに、目当ての馬のもとへ散りました。

このツアーでは、スタッドインしたばかりのヴァンセンヌ、オーシャンブルー、コパノリチャード、ニホンピロアワーズが初お目見えとなり、種牡馬1年生となった様子に、参加者は興味を募らせていました。また、新入厩のネオユニヴァースが加わったことで、スペシャルウィーク、タニノギムレットと、ダービー馬が3頭勢ぞろい。世代の頂点を極めた馬たちは、やはり特別なオーラを放っていました。

モーリス、ゴールドアクターと、産駒の活躍著しいスクリーンヒーローの前には、参加者が多数集まり、そのままずっと見学している方もちらほら。馬は草を食べるのに夢中で、なかなかポーズをとってくれませんでしたが、今年168頭と交配した人気種牡馬は、ツアーでも注目の的だったようです。

アロースタッド


トウケイヘイローと班ごとで記念撮影_5班
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バスは桜並木で有名な二十間道路を走り、アロースタッドへ。こちらも20頭を優に上回る種牡馬が血の繁栄に尽くしています。真新しい展示場で7頭が登場し、その後、厩舎前で自由見学となりました。

展示馬のラインナップはトランセンド、ワンダーアキュートといったダート競馬を盛り上げた面々や、ガルボ、グランプリボスといった芝短距離~マイルを得意とした馬たち、中距離ランナーのトウケイヘイローと様々。ツアーでは初登場のワールドエースは、さすがディープインパクト直子らしい惚れ惚れする馬体を披露しました。初年度産駒が快進撃を遂げているリーチザクラウンは黒光りする毛ヅヤで、コンディションの良さを感じました。主任の本間一幸さんの音頭で、比較的気性の穏やかなトウケイヘイロー、トランセンド、ワンダーアキュートとは、班ごとで記念写真を撮ることができました。

後半の自由見学では、種牡馬入りしたばかりのペルーサの馬房に参加者が殺到。立ち会ったスタリオン関係者の方々も驚くばかりでした。馬房の前でスタリオンスタッフの藤田誠さんがニンジンを見せると、ペルーサが涼しい表情で顔を出し、参加者のカメラに愛想良く視線を向けていました。

ハシモトファーム


CBC賞(G3)連覇したマジンプロスパー
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2日目はこれから折り返し。後半は新冠町の牧場をまわります。ハシモトファームは1987年創業で、初日にダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで見学したフリオーソをはじめ、ダイワテキサス、ナイキアディライトといった重賞馬を生産しています。

バスの到着を待ち構えていたのは、種牡馬入りしたばかりのマジンプロスパーでした。メジャーリーガーとしても知られる"大魔神"佐々木主浩さん所有馬として、現役時代はCBC賞(G3)連覇など、重賞を3勝しました、きれいに刈り込まれた展示場で、社長の橋本浩さん自ら馬をリードし、じっくりと見学することができました。故郷で種牡馬入りしたマジンプロスパーはすっかりリラックスしている様子で、短距離馬らしい発達した筋肉が目立ちました。

その後は繁殖厩舎から、すでに産駒をクラシックに送り出した殊勲の母、2頭が登場。16歳のフェートデュヴァンは、セントライト記念(G2)の勝ち馬フェイトフルウォーの母。メジロマックイーンの肌で、父ステイゴールドとの間に生まれたフェイトフルウォーはまさに"黄金配合"での重賞馬でした。スプリングS(G2)を制したアリゼオの母、スクエアアウェイは18歳で、すでに11頭を出産。大ベテランのお母さんですが、馬体は年齢以上に若く、ギャラリーにも余裕の表情でポーズを決めてくれました。

ビッグレッドファーム


ゴールドシップと班ごとで記念撮影_3班
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新冠温泉で昼食後、バスは左右に牧場地帯が広がる通称"サラブレッド銀座通り"を走って明和という地区へ。生産から育成、種牡馬事業を展開する総合牧場ビッグレッドファームに到着しました。このツアーでは毎年訪問している牧場で、種牡馬は年間を通じて一般公開している、オープンさが特長の牧場です。

ここでは繁殖牝馬と当歳、種牡馬、功労馬を見学しました。繁殖厩舎で展示となった母子は、コスモネモシンと当歳牡馬(父アイルハヴアナザー)、ヴィーヴァヴォドカと当歳牡馬(父アイルハヴアナザー)、マイネヌーヴェルと当歳牡馬(父ディープインパクト)、マイネイサベルと当歳牝馬(父キングカメハメハ)の4組。種付けから出産までを知り尽くす繁殖スタッフ・菊池聡さんによる解説で、それぞれの繁殖牝馬の特徴や当歳馬の期待について、詳細に聞くことができました。母子並んでの展示で、似ている部分を見つけられた参加者も多かったことでしょう。

続いて種牡馬厩舎へと移動。功労馬コスモバルクをはじめ、新入厩のゴールドシップ、ジョーカプチーノ、先ほど産駒を見たばかりのアイルハヴアナザー、ベテランのアグネスデジタル、タイムパラドックスが展示となりました。中でも一時代を築いたゴールドシップとの対面に胸躍らせている参加者が多く、「引退後に会うのは初めて。このツアーで一番の目当てです」という声もありました。スタリオンスタッフの福田一昭さんによる解説で各馬展示場を周回し、トリを務めたゴールドシップとは、班ごとに記念撮影する機会にも恵まれました。

優駿スタリオンステーション


堂々とした姿で参加者の前に立ったキングヘイロー
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2日目最後の目的地は、優駿スタリオンステーションです。ツアーなどの機会を除いて、一般公開していない種馬場とあって、興味津々の参加者が多かったようです。

ここでは6頭の種牡馬が展示となりました。昨年まで競馬場で走っていたカレンブラックヒル、トゥザワールドは若々しい姿で登場。ちょうど1シーズンを終えて、種牡馬としての自覚が芽生えてきたところでしょうか。対照的に、キャリア豊富なヘニーヒューズ、キングヘイローは種牡馬の風格たっぷり。種牡馬として同期のエスポワールシチー、ロジユニヴァースは初年度産駒の評判上々で、ともにパワフルな歩様を見せました。最後にキングヘイローと一緒に記念写真を撮り、厩舎内外で自由見学となりました。

自由見学終了後は、隣接する優駿記念館へと向かい、オグリキャップの等身大ブロンズ像や展示品を見学しました。敷地内から見える放牧地には、功労馬生活を送っているマヤノトップガンが草を食んでいて、昔を懐かしむように見学する参加者の姿もありました。夕暮れが近づき、一行は宿泊先である登別温泉へと向かいました。

登別グランドホテル


ホテルの入り口にたっている登別温泉のシンボル鬼の銅像
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ツアー初となる「温泉ホテル」での夜が明けた朝は午前8時からスタートです。参加者の方から毎回ご好評をいただいているこの「馬産地見学ガイドツアー」ですが、実は、毎年のアンケートでも、そして主催者の反省会でもテーマになっているのが2日目の夕食でした。従来、初日は牧場関係者らを招いた懇親会を開催し、2日目はアトラクションを用意することなくご自由に過ごしていただくことが多かったのですが、今回はホテルのレストランの一角を貸しきったことで自然と参加者同士のコミュニケーションが深まったような気がします。