2011秋 北海道馬産地見学ガイドツアー 現地取材レポート

馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー3日目]

ツアー3日目:最終日は胆振地域を見学
この日もたくさんの名馬たちと再会しました。

2011年10月8日

レイクヴィラファーム


メジロライアンと一緒に記念撮影
他の写真を見る
他の写真を見る

朝から快晴に恵まれたツアー最終日。苫小牧のホテルを出発したバスはレイクヴィラファームへと向かう。温泉街として知られる洞爺湖付近の牧場とあって、馬産地色の濃い地域ではないが、かつてはメジロ牧場として数々の名馬を送り出してきた場所だ。まずはメジロライアンの待つパドックへと招かれ、班ごとに記念撮影をさせていただく。牧場のご厚意で顔を触らせてもらい、そのぬくもりに癒される参加者。その近くでは逃げ馬として名を馳せたグランプリホース、メジロパーマーも見学することができ、元気な顔をのぞかせていた。次のポイントへバスで移動する際には、メジロライアンが見送りのポーズをとってくれて、車内の皆さんはにこやかに手を振っていた。繁殖牝馬のいる放牧地へと到着すると、今度はオークス馬メジロドーベルと対面。母として何頭もの仔を育ててきた彼女には、特に女性から熱い視線が送られていた。ちょうど午後には、娘のメジロオードリーが東京競馬場のレースに出走し、見事に勝利するという朗報もあり、レース後スタッフよりその結果が伝えられると、車内からは大きな拍手が巻き起こった。後半はメジロマックイーン、メジロブライトらのお墓をまわり、馬の毛色で色分けされたお墓に参加者は静かに手を合わせた。帰り際には牧場よりテレホンカードのプレゼントをいただき、感謝しきりの様子で参加者はバスへと乗り込んだ。

白老ファーム


オルフェーヴルの母、オリエンタルアート
他の写真を見る
他の写真を見る

オルフェーヴルという歴史的名馬を生産したことで、更に注目を増している牧場が白老ファーム。通常、一般見学は行っていないが、このツアーのためにご協力をいただいた。牧場へと近づくと、車窓からは展示馬が立ち位置でスタンバイしている様子が見え、はやる気持ちを抑えながら降り立つ。待ち受けていたのはオルフェーヴル、ドリームジャーニーの母オリエンタルアートを筆頭に、重賞勝ちのあるアルーリングボイス、キストゥヘヴン、リトルアマポーラ、レクレドールの5頭。馬産地ライターの村本さんも駆けつけ、牧場の皆さんと共に各馬の解説にあたった。貴重な機会に、展示馬をくまなく見入る皆さん。カメラを意識するように、堂々とした立ち姿を保つ繁殖牝馬からは、上品さあり、母としての強さ、優しさあり、日本一の競走馬を送り出した牧場の“なでしこ”に魅せられた参加者も多かったことだろう。

JBBA胆振種馬場


欧州中距離チャンピオン、デビッドジュニア
他の写真を見る
他の写真を見る

白老牛の店「いわさき」にて美味しいステーキランチを食べた後は、JBBA胆振種馬場へ。JBBA静内種馬場同様、こちらでも靴底の消毒を行って施設内へと入る。立派な厩舎内へと招かれるとサニングデール、シルバーチャーム、デビッドジュニアの3頭がのんびりと過ごしていた。中でもドバイデューティフリーの勝ち馬であるデビッドジュニアは来客に反応し、何度も顔を出してシャッターチャンスを提供していた。牧場沿いを彩るポプラ並木も綺麗で、昼下がりの木漏れ日が参加者の心を和ませた。

社台スタリオンステーション


ディープインパクトの登場
他の写真を見る
他の写真を見る

リーディングサイアー上位の種牡馬がひしめく社台スタリオンステーションでは、今年も豪華な顔ぶれが登場。過ごしやすい陽気に恵まれ、半袖姿で見学する参加者もいた。何と言っても注目はディープインパクト。軽やかな足取りで姿を現すと、ギャラリーの視線を釘付けにした。キングカメハメハ、クロフネ、ネオユニヴァースなど父としても成功を掴んだ先輩種牡馬しかり、新顔のヴァーミリアン、カジノドライヴ、ダノンシャンティ、ドリームジャーニーしかり、まるでG1レースのパドックにいるような雰囲気で有名馬が行き来し、参加者を唸らせた。今回のツアー最多となる15頭が展示され、同スタリオン事務局の三輪さんの解説もまた、馬の特徴を熟知しているからこその話が盛り沢山で、トップクラスのヴィジュアルと中身をより深く知ることができた。最後にツアー中に訃報が届いたサッカーボーイの馬房へご案内いただき、参加者の代表が花をたむけた。

ノーザンファーム


白崎さんのご説明を熱心に聞く
他の写真を見る
他の写真を見る

競馬ファンなら誰もが知る大牧場、ノーザンファームへ。一流サラブレッドを育む故郷とはいかなるものか、参加者の関心は高い。牧場スタッフの白崎さんのガイドを頼りに、敷地内を徐行運転するバス車内から施設を見学する。牧場全体の規模は1000ha、管理頭数2500頭というから、その壮大さは想像を絶する。前半は繁殖エリアをまわり、牧柵、水飲み場、土壌調査など、生産現場での戦略をわかりやすく説明した。異常行動があった繁殖牝馬を調べるために、GPSを付けて原因解明をしたエピソードなど、知られざる裏舞台の話は参加者の興味を誘った。後半は育成エリアに入り、ウォーキングマシーンの構造や基本的な育成方法について触れ、最後はバスを停車して屋内直線坂路の頂上にある監視所へ。幾多の活躍馬が汗を流した鍛錬の場を目の当たりにし、強い馬づくりへの努力を直に感じることとなった。

ノーザンホースパーク


デルタブルースなどG1・重賞ウイナーを見学
他の写真を見る
他の写真を見る

2泊3日のツアーの最終地点は北海道内で有数の観光施設。ディープインパクトも取引されたセレクトセールの会場でもあり、人馬を結ぶスポットとして豊かに機能している。ここでは自由行動となり、ダイナガリバー、タップダンスシチー、デルタブルース、トウカイポイントといった功労馬を見学する方や、重種馬による観光馬車を眺める方、ショッピングに興じる方など、思い思いに時間を過ごしていた。旅の終わりを惜しみながら、親交を深めた参加者同士で思い出話に花を咲かせる様子も見受けられ、ツアーを通じての素敵なご縁も生まれていたことだろう。