2011秋 北海道馬産地見学ガイドツアー 現地取材レポート

馬産地見学ガイドツアーレポート[ツアー2日目]

ツアー2日目:早朝から夜まで濃密な1日。
たくさんの名馬や施設を見学。

2011年10月7日

JRA日高育成牧場 BTC軽種馬育成調教センター


全員で記念撮影
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夜中から明け方にかけて激しい雷を伴って雨粒が落ちたが、参加者の願いが通じたかのように出発時にはやみ、安堵の気持ちでJRA日高育成牧場へ。バスの車窓から東洋一の規模を誇る施設を眺めていく。ガイドを務めるJRA日高育成牧場名倉係長のユーモアあふれる軽快なトークは車内を盛り上げ、早朝にも関わらず参加者は生き生きとした表情を見せていた。調教場を一望できる丘で記念撮影をした後、山口ステーブル山口社長にバトンタッチ。今度は屋内馬場の監視部屋から走る様子を見学する。当初は2歳馬のハードトレーニングを公開する予定が、悪天候のために変更となり、山口社長のご厚意で1歳馬の調教(ハッキング)公開となった。“折り合いがついて、楽に1ハロン12秒台をマークできる馬にするにはどうしたら良いか”、“止め際は故障の原因になるから注意している”といった、調教する側の視点をわかりやすく紹介し、参加者からは質問も相次いだ。調教終了後は高松JRA日高育成牧場長が挨拶に訪れ、歓迎の意を伝えていた。

イーストスタッド


メイショウドトウと班ごとに記念撮影 1班
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こちらでは3頭のG1馬が登場し、その中の1頭、メイショウドトウとは記念撮影の機会が設けられた。一時代を彩った名馬を間近にして、一様に大物タレントを見るかのような表情で歩み寄る皆さん。チャームポイントの派手な流星を中心にして、にこやかにピースサインを作っていた。後半15分は今回のツアー初となる放牧馬の自由見学となり、もしゃもしゃと草を食む光景を参加者はじっと見つめていた。

日高スタリオンステーション


若々しい馬体を披露してくれたヤエノムテキ
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ダービー馬、ディープスカイの故郷である笠松牧場を眺めなら、日高スタリオンステーションへと移動。ここは民間のスタリオンとしては最も古いスタリオンとして知られる。三好場長が見守る中、3頭が展示。こちらに限ったことではないが、スタッフが様々な角度で立ち姿を見せてくれるので、カメラを持つ参加者にとっては嬉しい限り。トップバッターを務めたヤエノムテキは26歳ながら、四白流星のルックスは現役時と変わらぬインパクトを与え、オールドファンにとってはまたとないシャッターチャンスとなった。こちらも後半は自由見学。現役時代ヤエノムテキとも走り、昨夏亡くなったスーパークリークらのお墓に手を合わす姿も多かった。

伏木田牧場


ファインモーションと記念撮影
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今年も伏木田牧場のご厚意でファインモーションの見学機会が実現した。引退した牝馬は見学非公開とするケースが多く、このご対面はこのツアーならではのスペシャルプログラムだ。放牧地のそばでじっとバスの到着を待っていてくれたファインモーション。華麗な走りで大観衆を沸かせた名牝を前に、参加者からは静かな興奮が伝わってきた。伏木田さんの計らいでニンジンをあげることも叶い、彼女の口にそっと運ぶと、満足そうにそれを平らげていた。時々“もっと欲しい”と言わんばかりに前がきをする素振りを見せ、その無邪気な姿は周囲のほほ笑みを誘った。後半には班ごとに記念撮影もさせていただき、貴重なショットを記録。その近くでは同牧場生産馬で、東京2歳優駿牝馬の勝ち馬プリマビスティーも紹介していただき、偶然、現役当時を熱心に応援していたという参加者は、予期せぬ再会にまた喜んでいた。

ビッグレッドファーム


昼食を終えた後、お楽しみの見学スタート
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浦河地区での見学を終え、バスは一旦北上。正午前に昼食会場となる新冠町のビッグレッドファームへと到着する。旧明和小学校を改装した施設「KEIBA CLUB」にて、地元産野菜を使ったカレーライス、豚汁、とうきびが用意された。テーブルにはビッグレッドファームのスタッフがつき、参加者と競馬談義をしながら食事を楽しんだ。ひと息ついた後、牧場スタッフの案内で種牡馬の展示場所へと向かう。厩舎から出てきたのはアグネスデジタル、コンデュイット、ステイゴールドの3頭。とりわけ注目を集めたのは、昨今、父として人気急上昇中のステイゴールドで、脂の乗った種牡馬の貫録を披露した。展示終了後の自由見学時間では、牧場スタッフが手入れ時の注意点やたてがみの長さ、現場での呼び名など、日頃世話をしている側ならではの話を伝え、参加者は興味津々に聞き入っていた。帰りがけには近くにあるハイセイコーのお墓を車窓から眺めて次の目的地へ。

優駿スタリオンステーション


厩舎の中に入れてもらい自由見学
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通称“サラブレッド銀座”と呼ばれる牧場の集積地帯を走るバスは、顕彰馬タケシバオーの故郷を横目にして、優駿スタリオンステーションへと到着する。ここは昨年7月までオグリキャップが過ごしていた場所。現在、オグリキャップがいた馬房で過ごしているというローレルゲレイロを含め、5頭が展示された。普段は見学公開を実施していないので、父となった姿を初めて目の当たりにするという方ばかり。トリを務めたスタリオンの重鎮、マヤノトップガンと全員で記念写真を撮り、展示馬以外の種牡馬は厩舎での自由見学となった。その後は優駿メモリアルパークへ移動し、完成されたばかりのオグリキャップの馬像や同馬のゆかりの品がある優駿記念館にて、参加者はありし日の芦毛の怪物を偲んでいた。

レックススタッド


世界の賞金王テイエムオペラオー
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毎年5月には3,000本のエゾヤマザクラが咲き誇る静内の名所“二十間道路”へと進み、今度は25頭の種牡馬を擁するレックススタッドへ。平成の芦毛の人気者として大勢の見学客を迎え入れていたヒシミラクルこそ退厩したが、今年はHBA門別種馬場閉鎖にともなって賞金王テイエムオペラオーが入厩してきた。展示中は参加者を前に、今にも種付けに挑まんとしそうなマツリダゴッホや、5歳の若馬スリーロールスがはしゃいで立ち上がろうとするのを、引き手のスタッフはいたって冷静に対処する。日頃から数多くの種牡馬を管理し、技術を磨くスタッフの腕はこのツアーにおいて随所に伝わっていたことだろう。グランプリホース、クラシックホースらに続き、ラストにその18億円ホースが登場。参加者から歓声が沸き起こったのは言うまでもない。

アロースタッド


ブライアンズタイムと記念撮影 1班
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繋養種牡馬が毎年のように中央、地方でG1馬を出し続けているアロースタッド。事前に配布されたスタリオンブックを眺め、改めて父としての活躍を再確認した参加者も多かったはず。ワールドクラスの力が宿るタイキシャトルをはじめに、南関東の雄アジュディミツオー、ラブミーチャンの躍進でブレイクしたサウスヴィグラスなどが展示された。最後は本間主任の計らいでスタリオンの大御所、ブライアンズタイムと記念撮影が叶えられ、参加者は笑顔を浮かべ並んだ。ここでこの日早くも8か所目となる見学地ながら、ツアー一行は疲れの色はあまり感じられず、ガイド役の解説を聞いて熱心にメモをとったり、まめに記念動画を撮ったりする方も見受けられた。また、参加者全員が快適に見学できるように、立ち位置や大きな話し声を慎むことへの意識は高く、牧場の皆さんへの感謝の言葉も至る所で聞かれた。

JBBA静内種馬場


見学を終えた頃には、虹が出ていた
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ここが2日目最後の種牡馬見学地となる。今年は検疫のために一般ファンの見学を中止しており、このツアーでは参加者全員が靴底を消毒して見学となった。最初に披露されたのは今年、200頭を超す種付頭数をマークしたエンパイアメーカー。働き盛りの彼の魅力については遊佐種馬課長が丁寧に解説を加えた。その後は世界的大種牡馬フォーティナイナー、皐月賞馬ハクタイセイが続き、若手に対抗するかのように貫禄をアピール。立派な厩舎や整備が行き届いた景観は素晴らしく、偶然にも帰り際には虹もかかって、輪をかけたその美しさをカメラに収める参加者も少なくなかった。

JBBA北海道市場


チャリティーオークション、スタート
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今年もツアーの目玉企画「チャリティーオークション」が開催された。幾多の名馬が取引されたせり会場へと招かれると、HBAの吉田総務部長より北海道市場についての概要が説明。購買者番号を受け取った参加者は競走馬売買が行われるせり会場に着席し、事前に手渡された“せり名簿”を取り出す。このイベントのために今年もツアースタッフが奔走し、牧場関係者の協力を得て集めたレアな馬グッズをめぐって、オークションは始まった。鑑定人は現役バリバリのスタッフが務め、1円を1万円とケタ上げして読み上げるルールとするなど、実際のせりに基づいたプログラムを実現。今年の出品はアドマイヤムーンの馬名入り馬服やソングオブウインドの馬名タグ付き頭絡など入手困難なグッズが占め、参加者同士でお目当ての商品が重なると活発な競り合いとなり、高額で取引されたものもあった。電光掲示板には落札者の名前と金額が表示され、馬主気分を味わえる演出がなされた。落札代金は東日本大震災により避難してきた馬を一時受け入れている北海道日高町の「南相馬被災馬支援金」に全額寄付となった。