重賞ウィナーレポート

2026年02月10日 きさらぎ賞 G3

2026年02月10日 京都競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ゾロアストロ

プロフィール

生年月日
2023年03月01日 03歳
性別/毛色
牡/芦毛
戦績
国内:5戦2勝
総収得賞金
73,389,000円
モーリス
母 (母父)
アルミレーナ  by  ディープインパクト
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
宮田 敬介
騎手
T.ハマーハンセン
  • 音楽好きの一面もある安藤幸宏厩舎長
    音楽好きの一面もある安藤幸宏厩舎長
  • 旧C1厩舎時代も、ここから多くのG1馬が送り出された
    旧C1厩舎時代も、ここから多くのG1馬が送り出された

 ノーザンファームC1厩舎の安藤幸宏厩舎長は、騎乗スタッフとして、幾多の名馬の背中に跨ってきた。その経験とホースマンとしての豊富なキャリアを生かすべく、2024年にC1厩舎の厩舎長に就任。この3歳世代が厩舎長として初めて送り出す育成馬となった。

 「この世代の育成馬の中でも、最も期待をしていたのがゾロアストロでした。イヤリングからの移動こそ早かったものの、入場時の馬体重は430kg台と決して大きくは無く、幼い印象もあっただけに、デビューまでは時間がかかるのではとも思いました」(安藤幸宏厩舎長)

 だが、その幼く見えていたはずのゾロアストロは、類まれな成長を見せていく。それを可能としたのは管理先である宮田厩舎でも高く評価されていた豊富な体力であり、2歳の3月に本州へと送り出した時の馬体重は480kg台ともなっていた。

 「乗り出しを始めてからは、モーリス産駒らしい緩さこそあったものの、スピード能力の高さを感じさせる動きを見せていました。気性面は前向きさがありながらも、折り合いの苦労を感じさせておらず、距離もこなせるのではと思うようになりました」

 デビュー戦となった6月7日、東京での2歳新馬戦。それは厩舎の育成馬としても第一号のデビューとなった。そこでは2着に敗れたものの、7月に行われた新潟競馬場の2歳未勝利戦を勝利。これは厩舎の育成馬では初勝利となった。

 「厩舎長となってからは初めての世代の育成馬となるだけに、デビューまではどの馬も無事にデビューしてくれるかが不安でした。その中でゾロアストロが様々な意味で初陣を切ってくれたのはホッとしました」

 この時のレース内容が評価される形で、続くサウジアラビアRC(G3)では1番人気の評価を集める。この時は3着に敗れたものの、距離を一ハロン伸ばした東京スポーツ杯2歳S(G2)では2着に入着。育成馬としての重賞初制覇の期待は日に日に高まっていった。

 「ノーザンファーム天栄だけでなく、宮田厩舎でもオープン馬に胸を借りるような調教をさせてもらうなど、この馬に関わった皆さんが成長させてくれたのも大きいと思います」

 3度目の重賞挑戦となったきさらぎ賞(G3)。ただ、雪の影響でレースの開催が二日間延期となっただけでなく、関東からの輸送もあって、レースまでは1頭だけで厩舎地区で管理されることにもなった。

 「ただ、ダートコースが解放されていた上に、宮田先生も厩務員の方と話して、もしものために調教用の鞍を持って行ってくれたそうです。レース後に宮田先生とも話したのですが、それがいいスクーリングになったのではとのことでした」

 初の関西遠征かつ、右回りでも初めての競馬となったが、準備が整っていたゾロアストロには何の不安もなかった。後方からのスタートとはなったものの、その前の週にサンダーストラックに騎乗して、シンザン記念(G3)を制していたT.ハマーハンセン騎手は、好調ぶりそのままに、スムーズにポジションを上げていく。

 降り積もった雪の後がまだ残っていた最後の直線。水分を含んで重くなっていたインコースを避けるように、ほとんどの馬が馬場の真ん中に進路を取る中、ゾロアストロは馬群の内に進路を定める。直線での脚は一瞬見劣ったようにも見えたが、残り100mからギアが入ったように再加速すると、内外の4頭がゴール前で並んだ中を、アタマ差だけ先に抜け出した。

 「その日は午後から休みをもらっていたのですが、後から聞くと、厩舎スタッフは一応に盛り上がっていたそうですし、自分のスマホにも以前にスタッフとして働いていた厩舎長といった方から、次々と着信がありました」

 騎乗スタッフとしては自信を深めていたものの、厩舎長として管理馬の全ての状態を把握し、そしてスタッフと共にチームとなって馬を作り上げていくことには、いくばくかの不安もあったという。

 「それの不安を解消させてくれたのがゾロアストロでした。厩舎長として、スタッフと共に勝利の喜びを分かち合えるのは、これまでとはまた違った喜びや感動もありますし、改めてスタッフを含めた、この馬の関係者の皆さんに感謝の思いがあります」

 きさらぎ賞(G3)のレース後、鞍上を務めたT.ハマーハンセン騎手からは、「距離は2,400mでもこなせる」とのコメントも聞かれた。

 「折り合いの良さだけでなく、レース中でも一度は息が入った方が、更にいい脚を使えるとも話してくれていたそうです。皐月賞(G1)もそうですが、自分も日本ダービー(G1)の条件はゾロアストロに合っていると思います」

 安藤幸宏厩舎長やC1厩舎のスタッフに、様々な「初めての感動」を与えてくれているゾロアストロだが、次の「初めての感動」は、皐月賞(G1)でのクラシック制覇、そして、日本ダービー(G1)制覇ともなっていくのかもしれない。