2025年05月22日 東海クイーンC&のじぎく賞(GDJ)
優勝馬:コパノエミリア
プロフィール
- 生年月日
- 2022年02月18日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:14戦3勝
- 総収得賞金
- 38,730,000円
- 父
- コパノリッキー
- 母 (母父)
- アンジェラスベル by Oratorio(IRE)
- 馬主
- 小林 祥晃
- 生産者
- 北島牧場 (平取)
- 調教師
- 宇都 英樹
- 騎手
- 吉村 智洋
『グランダム・ジャパン(GDJ)2025』3歳シーズンの3戦目「東海クイーンC(名古屋)」と6戦目の「のじぎく賞(園田)」をコパノエミリア(牝3)が優勝。牡馬相手の駿蹄賞(名古屋)3着を挟み、GDJ3歳シーズンの指定重賞を連勝してポイントトップに躍り出た(その後、最終戦の「関東オークス(Jpn2)」でも地方最先着の2着となり、GDJ3歳シーズンのチャンピオンに決定)。
コパノエミリアの生まれ故郷は、平取町の北島牧場。現在35頭の繁殖牝馬を管理する生産牧場で、過去には1991年のサンケイスポーツ杯阪神牝馬特別(G3)を10番人気で制したマチノコマチや、2004年のエーデルワイス賞(G3)を6馬身差で圧勝したカシマフラワーなどの活躍馬を生産している。
「どちらのレースもテレビで見ていました。東海クイーンCは久しぶりの優勝で、勝った時は『やったー!』と声が出ました。それまで2着、3着のレースが続いていましたし、JRAでのレースも少し厳しかったですからね」と約11か月ぶりの勝利の瞬間を振り返るのは、北島牧場の取締役・澁谷亜衣さん。「のじぎく賞は凄かったですよね! 8馬身差の圧勝で。あれにはもうびっくりしました。社長は『騎乗してくださった吉村騎手が大ベテランで、馬場や馬の状態を見極めて本当に良い騎乗をしてくれた』と言っていました。もちろんエミリアちゃんの能力もあると思うんですけど、初めての競馬場であれだけのパフォーマンスができるなんて感動しちゃいました」と笑顔を見せる。
コパノエミリアは門別でデビュー後、2歳秋には笠松、そして年が明けるとJRAに移籍。JRAで3戦した後、今春に名古屋へ転入した。「門別でのデビュー戦は社長やスタッフと一緒に応援に行きました。あんなに可愛かった仔がシュッとして、しっかり騎手を乗せて走るようになっていて、とても感慨深かったのを覚えています」とデビュー当時を思い出す。
コパノエミリアの母アンジェラスベルは現役時代にJRAのダート中距離戦で3勝を挙げ、引退後は縁あって北島牧場で繁殖生活を送ることになった。そして2021年にコパノリッキーを交配し、翌年産まれてきた牝馬がコパノエミリアである。「私が入社する数日前に産まれたと聞きました。『あと数日後には産まれるだろう』と様子を窺っていたところ、朝厩舎に行ったら産まれていたそうです。しかも、産まれてから立ち上がるために動き回ったようで、見に行った時には別の馬房でゆっくりと寝ていたらしいんです(笑)。生まれた瞬間から肝が据わっていたんでしょうかね。とにかくおとなしくて扱いやすく、怪我や病気もせず健康にすくすく育ちました」と牧場時代のエピソードを話してくれた。
コパノエミリアのオーナーは、風水研究家として知られるDr.コパこと小林祥晃氏。「コパノリッキー産駒ということで小林祥晃オーナーが牧場に馬を見に来られて、早々に『この仔を買います』と決めてくださりました。実は当時、もう一頭コパノリッキー産駒がいたんです。小林祥晃オーナーには両方見ていただいて、選ばれたのがエミリアちゃんでした。私としては『こんなに走る馬だったんだ』と正直驚きの方が大きいですが、小林祥晃オーナーはこれを見抜いていたのかなと思うと本当に凄いですよね」と感心する。
北島牧場では、1歳のせりシーズンが近づくと徹底的にせりに向けての馴致や馬づくりが始まる。しかしながら、早々にオーナーが決まっていたコパノエミリアは、他の1歳馬のようにせりに向けての馴致や馬づくりを行わなかった。「おそらくうちでは初の試みだったと思うのですが、せりシーズンが近づいて本格的に馬体をつくっていこうという時期に、他の1歳馬たちと離して空胎馬(受胎していない繁殖牝馬)と一緒にしたんです。もともとのんびりとした性格だったこともあるのでしょうが、繁殖牝馬の中にいても喧嘩することはありませんでした。そしてパッと見た時に見失うくらい馬体も大きく育ってくれました」と話し、「ただ、育成場に行くときは、厳しい馴致をしていなかったので少し心配でしたね。それでも人間慣れしていて従順さがあったので、特に問題はなかったようです。他の1歳馬たちと一緒にピリピリとした空間で育つのではなく、繁殖牝馬たちとのびのびとした場所で育ったことが、エミリアちゃんには合っていたのかもしれませんね。『馬によってはのびのびと育てた方が良いケースもあるんだ』と、牧場としての新しい発見がありました」と興味深い話を教えてくれた。
「どこまで活躍してくれるのかなという期待はありますが、まずは元気に、とにかく健やかに競走生活を送ってもらえれば嬉しいです」とエールを送る澁谷亜衣さん。地方競馬史に燦然と輝く小林祥晃オーナーの所有馬ラブミーチャンにどこまで近づくことができるか、今後のコパノエミリアの走りに注目していこう。