重賞ウィナーレポート

2025年05月25日 オークス G1

2025年05月25日 東京競馬場 曇 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カムニャック

プロフィール

生年月日
2022年04月14日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
244,421,000円
ブラックタイド
母 (母父)
ダンスアミーガ  by  サクラバクシンオー
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
友道 康夫
騎手
A.シュタルケ

 2009年シーズンから種牡馬入りしたブラックタイドは、種牡馬入り後、毎年のように重賞勝馬を送り出していく。3世代目の産駒となるキタサンブラックは、菊花賞(G1)を制して父に初めてのG1タイトルを授けると、この菊花賞(G1)を含めてG1で7勝をあげる活躍をあげる。

 ブラックタイドは年齢も考慮される形で2022年シーズンの後に種牡馬シンジケートは解散したものの、24歳となった今年も種牡馬生活を続けている。本年度は4頭の繁殖牝馬に配合を行っているなど、年齢を感じさせない仕事ぶりだが、その父に久しぶりのG1タイトルを授けたのが、20歳の時に配合を行った、今年のオークス馬カムニャックとなった。

 そのカムニャックはセレクトセール2023の1歳セッションの取引馬となる。この年、1歳セッションと当歳セッションを併せても、ブラックタイド産駒はカムニャック1頭だけであり、そして、ブラックタイドの現役時のオーナーであった、金子真人ホールディングス(株)が7,700万円(税込)で落札している。

 セレクトセールにカムニャックが上場されるにあたって、せりに向けての管理を行ってきたのが、社台ファームの宇佐美嘉人イヤリング厩舎長だった。

 「セレクトセール上場に備えて、当歳の11月に私の管理する厩舎に移動してきました。元々馬格があり、見栄えするタイプでしたので、高い評価をしてもらえるのではと自信を持って上場しました」

 上場番号119番に上場されたカムニャックは、最初の一声として2,000万円が鑑定人から発せられる。そこから100万単位で数字が書き換わっていくと、3,000万円台に入ってからせりは更に白熱。鑑定人が最初の「ラストコール」を告げてからも、その数字は更に伸びていった。

 「想像していた以上の高い評価でした。その評価も嬉しかったのですが、何より嬉しかったのは、金子オーナーに落札していただいたことでした」

 2歳8月のデビューから能力の高さを証明していたカムニャックは、前走のフローラS(G2)で初重賞制覇を飾っただけでなく、レースレコードも更新。オークス(G1)でも桜花賞(G1)の上位入着馬に続く、4番人気の支持を集める。

 ゲートが開いてまずハナを切っていったのが、桜花賞(G1)で1番人気を集めたエリカエクスプレス。1番人気のエンブロイダリー、2番人気のアルマヴェローチェが、互いをマークするかのように前目でレースを進めていく中、カムニャックは中団で折り合いをつけていく。

 最後の直線で横並びとなると、前にいるエリカエクスプレスを目標とするかのように、各馬が末脚を伸ばしていく。エリカエクスプレスを交わしたアルマヴェローチェが、その勢いのままにゴールを目指すも、外からやってきたのがカムニャック。一歩、また一歩とアルマヴェローチェに迫ると、ゴール板ではアタマ差だけ先に抜け出した。

 そのオークス(G1)の時間、社台ファームの多くのスタッフは、明くる日の開催となった千葉サラブレッドセールの準備のために、船橋競馬場へと訪れていた。レースの時間だけは各スタッフがスマートフォンなどで映像を見守る中、ゴールの瞬間は至る所から歓声が上がっていた。

 「最後の直線ではレースでは必ず差してくれると信じていました。ゴール前は遮二無二叫んでいました。ゴールの瞬間は上場までの姿や、せりで落札された時のことなど、色々な思い出がよみがえってきました。カムニャックには常に感動させられっぱなしです」と宇佐美嘉人厩舎長も歓喜の瞬間を振り返る。殊勲の母となったダンスアミーガは、半弟となるプレイザリード(牡2歳、加藤士津八厩舎)がデビューを控えており、今年の4月11日には半妹となる、ダンスアミーガの2025(牝、父エピファネイア)が誕生している。

 全弟がディープインパクトであり、その母となるウインドインハーヘアの牝系からも多くの活躍馬が誕生している良血馬であるブラックタイドだが、ダンスアミーガもまた、社台ファームを代表する名牝系のダンシングキイを祖祖母に持つ。

 双方の名牝が開花したと思えるような活躍を見せているカムニャックだが、今後もこの牝系と、そして父のブラックタイドの評価を更に高めるような活躍を見せてくれるはずだ。