2025年05月04日 天皇賞(春) G1
優勝馬:ヘデントール
プロフィール
- 生年月日
- 2021年04月06日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦6勝
- 総収得賞金
- 486,101,000円
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 木村 哲也
- 騎手
- D.レーン
ヘデントール、ビザンチンドリームとノーザンファーム生産馬2頭のワンツーフィニッシュとなった、今年の天皇賞(春)(G1)。その2頭だが、共にノーザンファーム空港B5厩舎の育成馬でもあった。「G1の舞台で育成を手がけた、しかも同世代の2頭での1、2着というのは信じられない思いがしました」と話すのはノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。2頭は幾度か同じ組で調教が行われたことがあったが、ビザンチンドリームは2歳を迎えてから本格的な騎乗調教を始めていたように、他の馬よりもじっくりと乗り込まれていた。
「へデントールも緩さがなかなか抜けきらず、走るフォームの矯正にも時間をかけてきました。2頭共に経験と年齢を重ねていけば、必ずパフォーマンスが上がっていく馬だと思っていただけに、それをG1レースで証明してくれたのは、自分やスタッフにとっても、2頭が活躍していく姿は自信に繋がりました」(佐々木淳吏厩舎長)
ジャンカズマがハナを奪っていった長丁場のレースは、途中で好位に付けていたマイネルエンペラーが先頭に立つ。最後の直線でサンライズアースとショウナンラプンタが、馬場の中央からマイネルエンペラーを交わしにかかるも、それを見計らったかのように一気に加速していったのがヘデントールだった。
だが、そのへデントールをマークしていたかのように、最後の直線では後方につけていたビザンチンドリームが並びかけていく。牧場時代には一度も併せ馬をしたことのない2頭であったが、ここで僚馬だったことを思い出したかのように最後の100mではマッチレースを展開。だが、先に抜け出していたヘデントールがアタマ差だけビザンチンドリームの追撃を振り切ってみせた。
「ビザンチンドリームはトモの緩さが残っているので、どうしてもスタートで後手を踏んでしまいますが、へデントールはレーン騎手がスタートを決めて、いいポジションでレースを走らせてくれました。道中の走利を見ても、折り合いにも不安は感じられませんでした。また、レーン騎手は木村哲也先生などと綿密に作戦を取っており、そのプラン通りのレースができたこちが結果としてビザンチンドリームの追撃を振り切れたのかもしれません」(佐々木淳吏厩舎長)
ただ、ビザンチンドリームも一時の不振を払拭するかのように、初の海外遠征となるレッドシーターフハンデキャップ(G2)を優勝。その勝利がフロッグではなかったことを天皇賞(春)(G1)で証明してみせた。「シュタルケ騎手は菊花賞(G1)でもコンビを組んでいただけに、馬のことを理解した騎乗を見せてくれました。途中からじわじわとポジションを上げていく乗り方も、この馬の長所を引き出してくれていましたし、直線の手応えだけならばへデントールよりも良かったと思います」(佐々木淳吏厩舎長)
5月15日には今年の凱旋門賞(G1)の登録馬が発表されたが、そこにはヘデントール、ビザンチンドリーム2頭の名前もあった。「2頭が能力を発揮できるカテゴリーとして、凱旋門賞(G1)がその目標として上がってきたのはとても光栄だと思います。育成馬たちが色々な舞台で活躍していくのは、育成厩舎としても楽しみが広がっていきます。それだけにまずは無事に走ってくれるようにと、その活躍を見守っていきたいです」(佐々木淳吏厩舎長)
へデントールとビザンチンドリーム。同世代かつ、同じB5厩舎出身である2頭のライバル関係はこれからも続いていく。天皇賞(春)(G1)で見せたマッチレースだが、次は凱旋門賞(G1)のゴール前でも見せてもらいたい。