重賞ウィナーレポート

2025年04月12日 NZトロフィー G2

2025年04月12日 中山競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:イミグラントソング

プロフィール

生年月日
2022年04月24日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦2勝
総収得賞金
67,974,000円
マクフィ(GB)
母 (母父)
エルノルテ  by  ディープインパクト
馬主
吉田 勝己
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
辻 哲英
騎手
石川 裕紀人

 JBBA静内種馬場で繋養されるマクフィの産駒となるイミグラントソングが、NHKマイルC(G1)の前哨戦となるNZトロフィー (G2)を優勝。父が日本に導入されてから、オールアットワンス(アイビスサマーダッシュ(G3)2回)、ヴァルツァーシャル(マーチS(G3))に続く、3頭目の中央重賞勝馬となった。

 イミグラントソングの育成を手掛けたのは、ノーザンファーム空港のB6厩舎。オールアットワンスは同じ空港牧場の育成馬であるものの、牝馬厩舎の管理馬ということもあって、育成時の印象は無かったと話す。

 「マクフィの産駒自体、育成馬としては初めて手掛けました。乗り出した頃はトモを中心に緩さも感じられたので、じっくり乗っていこうと思いました。ただ、調教自体は順調に進められたので、2歳の6月には本州に移動させることができました」(高見厩舎長)

 ただ、懸念していたトモの緩さは抜けきらず、それどころか当初はダートでの使い出しも視野に入っていたという。

 「身体が緩くともしっかりと走れていたので、ダートを苦にすることはないだろうと思っていました。それだけに芝であれほど切れのある走りを見せてくれたのは驚きでした」

 2歳9月のメイクデビュー中山こそ4着に敗れたが、続く10月の2歳未勝利戦では逃げ馬をマークする位置でレースを進めていくと、そこからメンバー中上がり最速の脚(33秒6)を使って、2着馬に5馬身差をつける快勝。12月のひいらぎ賞は2歳コースレコードで逃げ切ったデンクマールを捉えきれずに2着に敗れるも、イミグラントソングも従来のレコードを更新するタイムでゴール板を駆け抜けていた。

 「走破タイムだけでなく、レースの内容も良かったので、まだ上を目指せる馬だと思いました」

 年明け2月の3歳1勝クラスでも、先行馬2頭を捕らえきれずに3着には敗れたものの、ここでも上位2頭を上回る上がりタイム(33秒5)を記録。重賞初挑戦となったNZトロフィー(G2)ではあったが、これまでのレース内容も評価される形で、昨年の朝日杯フューチュリティステークス(G1)の勝馬となった、アドマイヤズームに続く2番人気の支持を集めていた。

 「重賞でファンの皆さんから高い評価をもらえたのは嬉しかったです。G1馬だけでなく、重賞で好走をしている馬もいただけに、ここが試金石になると思っていましたが、強いレースを見せてくれました」

 ゲートでは立ち遅れ気味となったイミグラントソングは、道中を後方から追走。最後の直線を迎えた時にも、前には8頭の馬がいたものの、馬場が荒れていない外目に進路を取ると、そこから末脚を伸ばしていく。

 前の馬群の中からは、G1馬の自力の違いとばかりにアドマイヤズームが抜け出してくる。その姿を目標としたイミグラントソングは、坂を上り切ったあたりで併せ馬に持ち込むと、最後はクビ差だけ差し切ってみせた。

 「道中は位置取りを含めて、いいところを走ってくれているなと思いました。石川裕紀人騎手も前走から騎乗してもらっていることもあり、脚の使い方を分かってくれた騎乗でした」

 その日はスタッフと共に、厩舎の休憩所でテレビを見ていた高見厩舎長であるが、ゴールの瞬間は一気に休憩所が沸き返ったという。

 「こちらから送り出した姿を知っている自分やスタッフからしても、ここまでの活躍は想像できませんでした。レースの後に辻哲英先生とも話す機会もあったのですが、まだトモの緩さが抜けきっていないので、ゲートでワンテンポ遅くなってしまうとも話していました。それでも成長と共にそれは解消されていくと思いますし、終いの脚が更に活かせる東京競馬場で、どんなレースを見せてくれるか楽しみです」

 次走は5月11日に行われるNHKマイルC(G1)。フランスやオーストラリアではG1馬を送り出しているマクフィであるが、日本国内での初G1制覇は、イミグラントソングが果たしてくれそうだ。