2025年03月08日 中山牝馬S G3
優勝馬:シランケド
プロフィール
- 生年月日
- 2020年02月07日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦5勝
- 総収得賞金
- 117,644,000円
- 母 (母父)
- フェアブルーム by ディープインパクト
- 馬主
- (株) ニッシンホールディングス
- 生産者
- 有限会社 下河辺トレーニングセンター (新ひだ)
- 調教師
- 牧浦 充徳
- 騎手
- M.デムーロ
春の女王決定戦「ヴィクトリアマイル(G1)」の前哨戦に位置付けられている「中山牝馬ステークス(G3)」が3月8日、中山競馬場芝1,800mコースで行われ、中団外目をキープしていたM.デムーロ騎手騎乗の3番人気シランケドが、最後の直線で力強く伸びて1分47秒1(良)で先頭ゴールイン。2度目の挑戦でJRA重賞ウィナーの仲間入りを果たし、通算成績を10戦5勝2着2回3着2回とした。管理する牧浦充徳調教師にとっては一昨年の武蔵野S(G3)(優勝馬ドライスタウト)以来のJRA重賞勝利で通算4勝目、手綱を取ったM.デムーロ騎手にとっては昨年の弥生賞ディープインパクト記念(G2)(同コスモキュランダ)に続くもので通算112勝目となった。
同馬を生産したのは千葉県に牧場を構える(有)下河辺トレーニングセンター。下河辺牧場2代目のひとり下河辺行信氏によって1990年(平成2年)に創業された牧場で、下河辺牧場創設者である下河辺孫一氏が晩年を過ごした場所としても知られている。その名前のとおりに現在では1歳馬のブレーキング、現役競走馬の放牧、調整、トレーニングなどを行っている牧場で、生産頭数は年間5-6頭。約10m2の敷地内には1周850mのダートトラックコースやウッドチップ素材の坂路馬場、練習用ゲート、ウォータートレッドミルなどが備えられ、南関東・川崎競馬場の認定厩舎としても活用されている。
レース当日、同牧場の下河辺博代表は中山競馬場のパドックで程よく気合を表に出しながら周回を重ねる愛馬に頼もしさを感じていたそうだ。
「パドックを見て、このメンバーに入っても馬っぷりの良さでは引けを取っていないと思いました。今回はそんなに甘いメンバーではないと分かっていましたが、いつも一生懸命に走って、最後は必ず伸びてくる馬。もしかしたら、やってくれるのではないか」。レース前に抱いていたそんな願望にも似た思いが、期待へと膨らんでいくのを感じていたという。
「切れる脚を持っている馬だけに、4コーナー手前で外から先行集団に取りついたときには力が入りました。しかし、勝利を確信したのはゴールを過ぎてからです。(有)下河辺トレーニングセンターとして繁殖牝馬を所有するようになって初めての重賞勝利。大事に育てていただいた牧浦充徳調教師はじめ関係者の方々と喜びを分かち合えることが出来て本当に良かったです」と相好を崩した。
そんなシランケドの牧場時代を「2月生まれで同世代5頭の中では大きな方でしたが、背が高くて幅が薄く、華奢な印象を持っていました。」と表現してくれた。しかし 、その後の成長に確かな手応えを感じとった下河辺博代表は高い血統レベルが求められると同時に実馬検査を伴うセレクションセールへと申し込みを決めた。
「合格の知らせを受け取ったときは、正直ほっとしました」。そんな生産者の思いに応えるようにか、そこからセール当日にむけてどんどん馬はさらに成長を重ね、(株)ニッシンホールディングスによって落札された。「たくさんの上場馬の中からこの馬を見出していただき、そして大事に育てていただいたオーナー始め関係者の方々には感謝しかありません」と頭を下げた。実は昨年秋の新潟競馬で3勝クラスの特別戦を勝ち上がったあと、その余裕ある勝ちっぷりからエリザベス女王杯(G1)や年末の中日新聞杯(G3)にも登録を行ったが、ここまで自重。その決断が、この日につながっているのではないかと感謝の言葉を重ねた。
「次のレースでは、さらに相手が強くなると思いますが、持ち味を生かして悔いの残らないような競馬をして欲しい」と願っている。