重賞ウィナーレポート

2025年03月09日 弥生賞ディープインパクト記念 G2

2025年03月09日 中山競馬場 晴 稍重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ファウストラーゼン

プロフィール

生年月日
2022年03月23日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:4戦2勝
総収得賞金
78,662,000円
モズアスコット(USA)
母 (母父)
ペイシャフェリス  by  スペシャルウィーク
馬主
宮崎 俊也
生産者
友田牧場 (静内)
調教師
西村 真幸
騎手
杉原 誠人

 上位3着以内馬に皐月賞(G1)への優先出走権が付与される第62回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(G2)が3月9日、中山競馬場で行われ杉原誠人騎手騎乗の7番人気ファウストラーゼンが後方待機策から早めのスパート。3角手前で先頭に立ち、祖父フランケルを彷彿させるようなスピードとパワー、スタミナを発揮してそのまま後続の追撃を封じ込めた。

 西村真幸調教師のJRA重賞勝利は2023年の高松宮記念(G1)(優勝馬ファストフォース)以来で通算11勝目。手綱を取った杉原誠人騎手にとっては今年の小倉牝馬S(G3)(同シンティレーション)に続くもので通算5つ目のJRA重賞勝利となった。

 ファウストラーゼンの生まれ故郷は新ひだか町東静内の友田牧場。昭和42年創業という歴史ある牧場で、現在は友田康司代表とその家族、数名のスタッフ、パートで16頭の繁殖牝馬を管理。「強い馬づくり、レースで勝てる馬づくり」を目標に、生産活動に励んでいる。

 この日、友田康司代表は繋養している繁殖牝馬が出産、種付けを控えていることから「もちろん勝ってくれるのが1番ですが、それよりもまずは皐月賞(G1)の、クラシックの出走権利を取って欲しいと、そういう競馬を期待していました」という願いを込めて牧場テレビを通しての応援だったそうだ。

 レース序盤はスタートで他馬と接触したこともあって後方待機。ペースが緩んだ向こう正面で一気にスパートすると3角手前で先頭に立って、そのまま最後まで押しきった。「スタートは一瞬ヒヤっとしましたが、前走のホープフルS(G1)も最初は後方でした。きっと同じような競馬をしてくれるのだろうなと思っていましたが、それにしても最後までしぶとかったですね」と愛馬を称えた。

 母ペイシャフェリスも友田牧場の生産馬。その母プレザントケイプを(株)ジェイエスの代理購買によって2009年タタソールズ社のディセンバーセールで購入したのがきっかけだった。「ちょうどロジユニヴァースが日本ダービー(Jpn1)を勝った年です。サンデーサイレンス系種牡馬に配合する繁殖牝馬を探していたところ、ロジユニヴァースを見てケープクロス産駒の繁殖牝馬が欲しくなった。それがきっかけです」と少し照れたように頭をかいたが、友田康司さんの狙い通りにプレザントケイプはハーツクライとの間にキーンランドカップ(G3)3着ほかJRA6勝のペイシャフェリシタを生み、スペシャルウィークとの間にアネモネS優勝馬ペイシャフェリスを生んだ。後者が、本馬の母だ。

 「オープン特別を2つも勝ってくれて、繁殖牝馬としても優秀な母親だと思っています」と言う言葉どおりに北海道市場サマーセールに上場された「ペイシャフェリス2022」は複数のバイヤーの目に留まり、同セール取引馬としては高額11位タイの28,600,000円(税込)で取引されている。

 「今年は、もう間もなくエフフォーリアの仔を出産予定です。ただ、ファウストラーゼンに関して言うならモズアスコットを配合したときにイメージした産駒とは少し違いますね」と苦笑い。「馬は、走ってみなければわかりません」と周囲を笑わせた。このまま無事に皐月賞(G1)へと駒を進めることができれば、牧場にとっては2014年の牝馬三冠競走にフル参戦した母ペイシャフェリス以来のクラシック出走となる。

 「とにかく無事に。そして、この馬らしい競馬を期待したいと思います」と大一番に向けての期待を口にした。