2025年02月22日 ダイヤモンドS G3
優勝馬:ヘデントール
プロフィール
- 生年月日
- 2021年04月06日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦5勝
- 総収得賞金
- 182,951,000円
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 木村 哲也
- 騎手
- 戸崎 圭太
ステイヤーは競馬の番組的にも、3歳を迎えてから能力を開花させてくる傾向が見られる。ヘデントールもデビュー2戦目となる、中山芝2,000mの3歳未勝利戦で初勝利をあげると、同条件で行われた3歳1勝クラスでも連勝を果たす。
「本州に移動してからアクシデントもあり、デビュー時期は遅くなりましたが、そこでじっくりと作り直してもらえたことが、結果的にはこの馬にあった使い出しともなりました」とは育成を手掛けた、ノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。2歳の4月には管理を行う木村厩舎に入厩と、順調に調教メニューを消化したヘデントールではあるが、乗り出した頃はじっくりと進めていくことを念頭に置いていた。
「ルーラーシップ産駒らしい緩さがあっただけでなく、走り方も高足で前脚への負担も考慮されました。また、乗り出しを進めていく中で頭が高くなり、上に伸びあがるような走りをしていたので、馬具を付けるだけでなく、乗っていたスタッフにもその辺を意識させながら騎乗するように伝えました」(佐々木淳吏厩舎長)
できるだけリスクを排除しながら調教を進めていったことは、結果的に順調な調整へと繋がっていく。年明けから馬体も良化していくのと、走りも良くなっていく中で、豊富なスタミナを持ち合わせていることだけでなく、走りには力強さも感じさせるようになった。
「未勝利戦、1勝クラスと連勝を遂げた姿を見た時には、能力のある馬だと再確認しました。青葉賞(G2)は1番人気に支持してもらいましたが、結果的には現時点ではメンバーが強かったと言えます。また口向きの難しさものぞかせるなど、成長に加えて様々な課題もクリアしなければ、重賞を勝つにはまだ難しいとも思わされました」
ただ、ヘデントールの抱える課題に関しては、所属する木村厩舎だけでなく、中間の管理を行うノーザンファーム天栄でも情報を共有していた。そこに心身の成長も伴ったことが、2勝クラスの町田特別、そして3勝クラスの日本海Sの連勝へと繋がっていく。
4番人気で臨んだ菊花賞(G1)では、ステイヤーとしての資質も評価される形で、春のクラシック戦線を沸かせてきた同期生を相手にしながら、4番人気の評価を集める。
道中は後方からレースを進めていくと、向こう正面からポジションを上げていき、最後の直線では馬場の真ん中に進路を構える。先に抜け出したアーバンシックは交わせなかったものの、脚色の違いで2着争いを制して見せた。
「正直、菊花賞(G1)での一発はあるのかなと期待はしていました。このレースでステイヤーとしての進む道が開けたと思いました」
現在の競馬界を代表するステイヤーがずらりと揃った、今年のダイヤモンドS(G3)。その中でヘデントールは唯一の4歳馬でありながら、単勝オッズ1.9倍の圧倒的な1番人気を集めた。
「昨年の勝馬(テーオーロイヤル)は、その後に天皇賞(春)(G1)も勝っていますし、今年の芝長距離路線の主役に躍り出るためには、勝たなければいけないレースだと感じていました」
結果としてはこのレースの「主役」となっただけでなく、佐々木淳吏厩舎長が話していたように、今年の芝長距離路線の主役候補誕生を印象つけたレースとなった。道中は好位を追走すると、2周目の3コーナー過ぎから一気にポジションを上げていき、最後の直線では手綱を持ったままで先頭に躍り出る。そのまま後続との差を引き離していく圧巻の勝利となった。
「長距離戦ならでは忙しくないレースともなりましたが、思ったよりもいいポジションが取れたので、折り合いに専念することができました。それが最後の末脚にも繋がっていくという、理想的なレースができたと思います」
レース後、管理をする木村調教師からは、その強さを「スタミナモンスター」と称えた。
「豊富なスタミナが無ければ、出来ないレースだったと思います。ただ、それがヘデントールにとっては、最も力を発揮できるレースでもあるのでしょう」
次走は天皇賞(春)(G1)を予定。この舞台で「スタミナモンスター」はダイヤモンドS(G3)よりも更に成長した、まさにモンスター級のレースをまざまざとファンの前に見せつけることとなるのだろう。