重賞ウィナーレポート

2024年12月14日 ターコイズS G3

2024年12月14日 中山競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルジーヌ

プロフィール

生年月日
2020年04月25日 04歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:11戦6勝
総収得賞金
142,857,000円
馬主
(株) ロードホースクラブ
生産者
ケイアイファーム (三石)
調教師
中内田 充正
騎手
西村 淳也

 暮れの中山開催を代表する牝馬限定重賞「第10回ターコイズS(G3)」は、中団を進んだ西村淳也騎手騎乗の2番人気アルジーヌが最後の直線で外から力強く伸びて、前走カシオペアSに続いて2連勝。2度目の重賞挑戦で、2014年のクイーンS(G3)に勝った母キャトルフィーユとの母仔重賞制覇を成し遂げた。中内田充正調教師のJRA重賞勝利は2024年11月のラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)(優勝馬エリキング)に続くもので通算42勝目。鞍上の西村淳也騎手のJRA重賞勝利は2024年9月のスプリンターズS(G1)(優勝馬ルガル)に続くもので通算10勝目。区切りの重賞勝利となった。

 アルジーヌの生まれ故郷は1987年に創業された新ひだか町のケイアイファーム。国内外から優秀な繁殖牝馬を導入し、全天候型の全長1,200mのウッドチップ坂路コースや1周800mのダートトラックコースなどを使って生産から育成、調教、休養など馬の個性に合わせたトレーニングを行っている総合牧場だ。北海道内に3つの牧場を構えているほか、2016年秋には千葉・ケイアイファームを開場。主な生産馬には年度代表馬ロードカナロアや最優秀2歳牡馬ダノンプレミアム、香港スプリント(G1)を勝ったダノンスマッシュなど。アルジーヌは父ロードカナロア、母キャトルフィーユともにケイアイファームの生産馬で、これらを含みJRA重賞勝利は通算31勝目となった。

 中山競馬場でレースを見届けた中村智幸ゼネラルマネージャーは「前走後、短期放牧を挟んでの挑戦でしたが、馬の調子も良さそうでしたし、レースも強い内容だったと思います。前々走のクイーンS(G3)は格上げ初戦で重賞初挑戦。あの時も悪い内容ではなかったと思いますが、前走のカシオペアSでは牡馬を相手に強い競馬をしてくれました。今回は、初めて経験する関東への輸送をクリアし、1,600m戦の流れにも対応してくれました。キャリアを積みながらしっかりと成長していると思います。大事に育ててくれている関係者の方々に感謝したい」と勝利をかみしめ「牧場での育成時代から走ることに対して前向きで、真面目。そして、気の強さを持ち合わせている馬でした。今回で11戦目ですが、いまだに掲示板を外したことがないように、いつも一生懸命に走ってくれる馬です」と育成時代の思い出とともに、その印象を述べた。

 祖母のワンフォーローズは、先行力を武器にカナダで3つの重賞を勝つなど北米で15勝を記録した活躍牝馬。2006年のキーンランドミックスセールで購入した。「アルジーヌもそうですが、このファミリーは平均的に仔出しが良く、競馬に行けばとにかく高いレベルで堅実に走ってくれます」。その言葉どおりにワンフォーローズはその生涯で7頭の牝馬含む8頭の産駒を残したが、本馬の母キャトルフィーユ含め3頭の牝馬が重賞勝ち馬となり、その3頭はいずれも繁殖牝馬としてオープン馬を送り出している。牧場にとっては宝物のような存在だ。

 「このファミリーには実績のある種牡馬、期待の大きな種牡馬しか配合してきませんでしたが、それにしても種牡馬を選ばずに活躍馬を送り出してくれるのがすごいと思います。アルジーヌは今回、大きなタイトルを獲ってくれましたので、これからはもう1段上のレベルでの戦いになると思います。頑張って欲しいのはもちろんですが、生産牧場として本音を言えば頑張ってくれたうえで、無事に。とにかく無事に牧場に戻って来て欲しいと思っています」と夢を広げている。