重賞ウィナーレポート

2024年10月14日 アイルランドT府中牝馬S G2

2024年10月14日 東京競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブレイディヴェーグ

プロフィール

生年月日
2020年04月11日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:6戦4勝
総収得賞金
253,876,000円
ロードカナロア
母 (母父)
インナーアージ  by  ディープインパクト
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
宮田 敬介
騎手
C.ルメール
  • 昨年のマイルChS(G1)の勝ち馬となった、ナミュールも育成馬となる
    昨年のマイルChS(G1)の勝ち馬となった、ナミュールも育成馬となる
  • 休憩室にはG1馬のパネルが飾られていた
    休憩室にはG1馬のパネルが飾られていた

 ブレイディヴェーグはデビューしてから、まだ6戦しか競馬を使っていない。

 それにも関わらず、6戦4勝のうちわけを見ると、昨年のエリザベス女王杯(G1)で重賞とG1を初制覇。そして今年のアイルランドT府中牝馬S(G2)も後方一気の差し脚で勝利と、その勝ち方は非常にインパクトがあり、順調ならば、まだとんでもない成績を残していたのではないかという気すらしてくる。

 「エリザベス女王杯(G1)の後から思うようにレースを使えなかったのは、自分たちとしてもショックであり、ついていない馬なのかなとも思いました」とはノーザンファーム空港の林寛明厩舎長。2歳夏のデビュー後だけでなく、初勝利をあげた3歳の春にも骨折は判明して、その度に休養を余儀なくされたブレイディヴェーグであるが、エリザベス女王杯(G1)で栄冠を掴んでからもアクシデントは続いた。

 今年初戦のレースとなるはずだったドバイターフ(G1)だが、右後肢の飛節後腫が判明して、同レースを回避。今年の新潟記念(G3)で復帰する予定も、次は軽度の筋肉痛が見られたために、復帰はまた先延ばしとなった。

 「入ってくる情報は報道の通りだったので、ファンの皆さんと同じような気持ちで、無事に復帰して欲しいとの気持ちだけでした。それだけにアイルランドT府中牝馬S(G2)出走の目処が立って、パドックに姿を見せてくれた時にはホッとしました」(林寛明厩舎長)

 このアイルランドT府中牝馬S(G2)でのブレイディヴェーグの馬体重はプラス12kg。エリザベス女王杯(G1)から約11か月ぶりのレースであり、成長分もその馬体には表れていた。

 「成長分だけでなく、先のレースを見越したような仕上げにも見えましたが、ただただ強かったですね」

 林寛明厩舎長だけでなく、この日、東京競馬場に詰めかけた5万7,500人の競馬ファンを、あっと言わせるようなパフォーマンスをブレイディヴェーグは見せていった。

 1,000m通過が58秒7という速い流れを、後方から追走したブレイディヴェーグは、残り2ハロンで進路を馬場の中央へと向けていく。そこからルメール騎手が追い出しを図ると、どんどんと加速。ゴーサインが出た残り1ハロンでは、素晴らしい反応を見せていき、先に抜け出したマスクトディーヴァを並ぶ間もなく差し切った。

 上がり3ハロンの末脚は32秒8とメンバー中最速タイであるだけでなく、勝ち時計の1分44秒7も同レースでは史上3番目に速い勝ち時計ともなった。

 「直線に向いた時には勝てると思いましたが、その想像以上と思えるような勝ち方でした。改めて強い馬だと思いましたし、一度レースを使ったことで、次は更にいい走りも期待できそうです」

 次走は初のマイル戦となるマイルChS(G1)となることが、所属するサンデーサラブレッドクラブから発表されたが、このレースに出走する、昨年の勝ち馬ナミュールも林寛明厩舎長の元で育成を手掛けてきた馬となる。

 人気を分け合いそうな育成馬2頭の対決は、厩舎長としても悩ましいところであろうが、G1における育成馬2頭のワンツーフィニッシュの可能性は十分にありそうだ。