重賞ウィナーレポート

2024年10月05日 サウジアラビアRC G3

2024年10月05日 東京競馬場 小雨 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルテヴェローチェ

プロフィール

生年月日
2022年02月06日 02歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
40,452,000円
モーリス
母 (母父)
クルミネイト  by  ディープインパクト
馬主
大野 照旺
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
須貝 尚介
騎手
佐々木 大輔

 早い時期のメイクデビューを勝利したのちに2歳重賞を優勝。牧場で騎乗馴致から手掛けてきた育成スタッフとしては、デビューまで予定通りの仕上げができただけでなく、厩舎との連携も図れた最高の結果とも言える。

 サウジアラビアRC(G3)を制したアルテヴェローチェも、スムーズにデビューを迎えただけでなく、その後の過程も含めて順風満帆に運んだ馬のように思えるが、騎乗馴致を始めた頃は心身ともに幼さが目立っていた馬だった。

 「仕草からして幼いというのか、常にチャカチャカとしていました。パンとしてくるのも他の馬より遅く、一度、ゲート試験を受けさせることでいい刺激になればと思い、2歳の5月に本州へと送り出しました」と話すのはノーザンファーム空港の佐々木淳吏厩舎長。現2歳世代は重賞での活躍が目立っているノーザンファーム生産馬であるが、ノーザンファーム空港の育成馬では、これが3頭目の重賞馬となった。

 ゲート試験に合格したアルテヴェローチェは、ノーザンファームしがらきで調整が行われていくのだが、その際、佐々木淳吏厩舎長はしがらきにいる旧知のスタッフから、「背中がいいだけでなく、デビュー時期も早くなるかもしれない」と伝えられたという。

 「こちらにいた頃から筋肉の質がいい馬というのか、動きには柔軟さがありました。脚を溜めた時には切れる脚も使えるのではとの姿も想像しましたが、新馬戦ではまさにその通りの走りを見せてくれました」(佐々木淳吏厩舎長)

 7月27日に行われたメイクデビュー函館。レースセンス良く前目でレースをしたアルテヴェローチェは、終いの3ハロンで34秒7の脚を使って初戦を飾る。その後は管理をする須貝尚介調教師の意向もあって、ノーザンファーム空港で調整されるが、佐々木淳吏厩舎長は様々な経験を積んだ、アルテヴェローチェの成長を感じ取れた。

 「新馬戦ではこちらが思っている以上のパフォーマンスを残してくれたので、びっくりしていたのですが、送り出した時よりもかっちりとした乗り味になっていたのを感じ取って、その走りも納得がいきました」

 その後、サウジアラビアRC(G3)への出走を目指して、ノーザンファーム空港で調整が行われていったアルテヴェローチェだが、更に成長した姿は、サウジアラビアロイヤルC(G3)における、プラス10kgの馬体重にも現れていた。

 「馬体重に関しては成長分と言えるでしょう。まだ線の細い馬だけに、完成した暁にはまだ逞しさを増しているとも思っているのですが、現時点の成長過程を含めても、いい状態でレースに臨めると期待をしていました」

 小雨が降りしきるなか、7頭立てで行われたサウジアラビアRC(G3)。稍重の馬場ながら、前半から速いペースでレースは流れていく。最後の直線に向いた時、それまでは内にいたはずのアルテヴェローチェは、ポジションを下げながら、馬場の真ん中に進路を構える。前では先行勢が粘り込みを図る中、残り1ハロン前から一気に末脚を伸ばしていく。

 「ペースは流れるのではないかと思っていましたが、道中の位置取りだけでなく、直線に入ってからも仕掛けを待つあたりなど、鞍上を務めくれた佐々木大輔騎手のファインプレーだったと思います。そして、その脚を引き出してくれたのは、管理をしてくれた須貝厩舎の皆さんや、ノーザンファームしがらきスタッフのおかげだと思います」

 その佐々木大輔騎手だが、レース後に、「スーパーホースです!」とのアルテヴェローチェの能力を大絶賛していた。

 「メイクデビューの頃はまだ半信半疑でしたが、この走りや佐々木大輔騎手の言葉を聞いて、改めて高い能力を持った馬だと思いました。本当に良くなるのはまだ先だと思っていますが、それだけにまずは無事に、次のレースを迎えてもらいたいです」

 次走は朝日杯FS(G1)を予定。新馬戦、サウジアラビアRC(G3)とレースの度に成長を遂げているアルテヴェローチェが、G1の舞台でどれほど「スーパー」な馬となっているかが楽しみでならない。