重賞ウィナーレポート

2024年06月26日 帝王賞(中央交流) Jpn1

2024年06月26日 大井競馬場 曇 稍重 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キングズソード

プロフィール

生年月日
2019年04月04日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:17戦8勝
総収得賞金
314,491,000円
シニスターミニスター(USA)
母 (母父)
キングスベリー  by  キングヘイロー
馬主
(株) ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン
生産者
日進牧場 (浦河)
調教師
寺島 良
騎手
藤岡 佑介

 夏の古馬ダート王者決定戦「第47回帝王賞(Jpn1)」は6月26日、大井競馬場ダート2,000m(やや重)13頭立てで行われた。優勝馬は浦河町にある日進牧場の生産馬の5歳牡馬キングズソード(父シニスターミニスター、母キングズベリー)。

 今回の舞台は、Jpn1初制覇を飾った時と同じ大井競馬場ダート2,000m。単勝4.5倍の3番人気に支持されたキングズソードは外枠からダッシュよく飛び出して好位を進み、直線入り口で先頭に立つと、2着以下に1馬身4分の3の差をつけて、堂々と先頭ゴールインを果たしている。手綱を取ったのはデビュー戦以来となるコンビの藤岡佑介騎手。管理したのは寺島良調教師。

 同馬の生まれ故郷は1962年創業の日進牧場。古くは1977年秋の天皇賞(秋)優勝のホクトボーイ、1985年の皐月賞(G1)・菊花賞(G1)、1987年春の天皇賞(春)(G1)を勝ったミホシンザン、1999年の高松宮記念(G1)を制したマサラッキなどを輩出している名門の老舗牧場で、現在は毎年15頭前後を生産しつつ、生産から後期育成までを行っている。

 優勝馬キングズソードの母キングスベリー(父キングヘイロー)も日進牧場の生産馬で、JRAの芝1.200~1,400mで3勝をあげたスピード馬。2番仔キングズガード(父シニスターミニスター)は中京競馬場で行われたプロキオンS(G3)などJRAダート競走で8勝を挙げており、その全弟キングズソードは母の8番目の仔になる。

 当日、大混雑の大井競馬場に足を運んだという日進牧場の谷川彰久代表は「調子は良さそうだと聞いていました。実際、体重も増え、パドックで歩く姿は落ち着きがあり、馬体も昨年のJBCクラシック(Jpn1)に比べて立派に見えました」と印象を述べ「レースでも藤岡騎手の好リードもあって、安心して見ていられました。昨年JBCクラシック(Jpn1)を勝ったときは驚きの方が大きかったのですが、今回は余裕を持って見ることができました」と笑顔を広げた。

 日進牧場では、5-6年前から冬季の夜間放牧を取り入れているそうだ。「いわゆる、大手牧場と比べると規模は小さいですが、小規模牧場なりに一頭一頭にきめ細かく手をかけて、購買してくれた馬主さんが喜んでいただける馬、つまりデビュー率の高い馬、そして丈夫で長持ち、出走回数をコンスタントに積み重ねてくれる健康で丈夫な馬づくりを目標にしています。この馬の活躍は励みになりますので、これからも地道に取り組んでいきたいと思います」と話し、今後については「巷間言われているように人材不足は深刻な問題だと思っています。足りない分は外国人スタッフで補っておりますが、今後は繁殖牝馬の栄養管理や出産管理などを、これまで蓄積したデータを活用したAI技術を導入した省力化システムを進めていかないと息詰まると思っています。いつまでも経験と勘に頼っていては限界が来ると考えていますし、若い人たちの目に馬づくりが魅力のある職業に映るようにどんどん新しい事に挑戦していく必要があると思います」とぽつり。

 しかし、そのような中でも同牧場がある浦河地区では杵臼牧場生産ペプチドナイルがフェブラリーS(G1)を制し、三嶋牧場がテーオーロイヤルで天皇賞(春)(G1)を優勝するなど勢いがある。「近年、浦河地区では繁殖牝馬の質も年々高まり、規模も拡張されています。日進牧場はまだ規模の小さなままですが、身の丈にあった小規模牧場の個性を発揮しつつ、繁殖牝馬の更新や種牡馬選定については、時代の潮流を考えながら行っていかなければと肝に銘じています」と力強く話してくれた。