重賞ウィナーレポート

2024年06月23日 宝塚記念 G1

2024年06月23日 京都競馬場 曇 重 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ブローザホーン

プロフィール

生年月日
2019年05月10日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:21戦7勝
総収得賞金
485,373,000円
エピファネイア
母 (母父)
オートクレール  by  デュランダル
馬主
岡田 牧雄
生産者
岡田スタツド (静内)
調教師
吉岡 辰弥
騎手
菅原 明良

 春競馬を締めくくる「第65回宝塚記念(G1)」は6月23日、開催日割の変更に伴い京都競馬場の芝2,200メートルで行われ、新ひだか町の岡田スタッド生産で菅原明良騎手騎乗の3番人気ブローザホーンが大外一気の追い込みを決めて通算成績を21戦7勝2着3回3着4回(重賞2勝)とした。

 菅原明良騎手にとっては今年の日経新春杯(G2)(優勝馬ブローザホーン)以来のJRA重賞勝利で通算10勝目。吉岡辰弥調教師にとっては今年のアーリントンC(G3)(優勝馬ディスペランツァ)以来のJRA重賞勝利で通算5勝目となった。

 岡田スタッドは1972年創業。新ひだか町静内を拠点に7つの牧場で生産、育成、調教を行う総合牧場だ。生産馬として2022年JRA賞最優秀4歳以上牡馬のタイトルホルダーや2007年有馬記念(G1)を制したマツリダゴッホ、2011年東京大賞典(G1)などダートグレード19勝スマートファルコンなどを送り出したほか、市場で購入したデアリングタクトは同牧場で育成され、史上初となる不敗の三冠牝馬となっている。

 この日、京都競馬場に足を運んだという岡田牧雄代表は降り続く雨を心強く思ったという。「実績で勝るドウデュースは、たぶん時計がかかるような馬場は得意ではないだろうと思ってました。ブローザホーンは不良馬場で行われた昨年の烏丸Sを楽勝しており、もし天気予報どおりに馬場が悪化するようならチャンスが広がるのではないか」。そう思っていたそうだが、当日、京都競馬場のパドックで見た愛馬に意を強くしたという。

 「今回が転入3戦目。状態はとても良く見えましたし、京都競馬場は得意な舞台。恥ずかしい競馬はしないだろうなというよりも、これで負けてしまったら仕方ない。そう思わせるような状況でした」。そんな生産者兼オーナーの思いを乗せた馬は最後の直線で大外に持ち出させると力強く足を延ばして後続に2馬身差。2度目のG1挑戦でビッグタイトルを手中にした。

 「(競馬場に足を運ぶ機会は少ないので)G1競走の表彰台に立ったのは人生で初めてです」と少し照れたように話し「勝ったことは嬉しかったですが、この馬は自分が理想とするような道を歩んできた馬。そういう意味でも嬉しかったです」と相好を崩した。

 そこには「馬が完成するのは古馬になってから。それまでは決して無理はさせない」という岡田代表の信念がある。

 母オートクレールは北海道市場トレーニングセール取引馬。420kg台という小柄な馬で初勝利は2歳9月のデビュー戦から1年後、13戦目のダート1,200m戦。そこからキャリアを積みながら力をつけ、6歳秋に準オープン特別を勝ってオープン入りを果たし、50戦のキャリアで4勝を挙げたあと岡田スタッドで繁殖入り。その初年度産駒がブローザホーンだった。

 「小柄な母にとっての初仔。生まれたときは小さな馬でした。決して見栄えがするような馬ではなかったですが、中期育成時代からケガとは無縁の丈夫な馬で、育成時代は同期の中でも心肺機能は指折り数えるほどすごい馬でした」。

 初勝利を記録したのは皐月賞(G1)はもちろん、日本ダービー(G1)も終わった3歳6月。それでも距離延長とともに頭角を現してきただけに、無理をすれば菊花賞(G1)という選択肢もあったはずだが北海道に戻して夜間放牧でリフレッシュするとともに心身を鍛えなおしている。

 そして、そうした岡田代表の信念に応えるように同年秋に復帰してからのブローザホーンは掲示板を外したのはレース中に心房細動を発症した1戦のみ。遠回りをしながら、同期のダービー馬で、グランプリホースらを一蹴した。

 「まだまだ伸びしろがある馬。年内は国内に専念する予定ですが、どこまで強くなってくれるか楽しみです」と笑顔でレースを振り返った。