2024年03月27日 桜花賞(GDJ)
優勝馬:プリンセスアリー
プロフィール
- 生年月日
- 2021年03月30日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/芦毛
- 戦績
- 国内:6戦4勝
- 総収得賞金
- 39,150,000円
- 馬主
- ライフエンタープライズ (株)
- 生産者
- 宮内牧場 (浦河)
- 調教師
- 岡田 一男
- 騎手
- 森 泰斗
『グランダム・ジャパン2024』3歳シーズンの開幕戦「桜花賞(浦和)」を、3番人気のプリンセスアリー(浦和)が快勝。好位追走から最後の直線で抜け出し、2着パペッティア(大井)以下に1馬身差をつけて見事に南関東牝馬クラシック一冠目を手中にした。
プリンセスアリーの生まれ故郷は、浦河町の宮内牧場。軽種馬育成調教センター(BTC)のすぐ近くに牧場を構え、生産から育成までを一貫して手掛ける総合牧場だ。過去の生産馬には1983年と1984年に阪神大賞典(G2)を連覇したシンブラウンや、1987年の京都記念(G2)を制したシンチェスト、1996年に京都金杯(G3)と京都記念(G2)を連勝したテイエムジャンボなどがいて、現役馬にも2021年のユニコーンステークス(G3)に優勝したスマッシャーや、ダートグレード競走で上位を賑わせているメイショウフンジンなどがいる。
「牧場スタッフみんなで集まってテレビの前で応援していたのですが、ゴール前は大興奮でした。あまりに強い勝ち方だったので驚きました」と宮内社長の奥様は話し、後継者の宮内慶さんは「ユングフラウ賞で4着に負けたあと『こんな力の馬じゃないはず』と森泰斗騎手がコメントしていたように、本番ではきっちりとリベンジしてくれましたね。本当に嬉しいです」と笑顔を見せた。
プリンセスアリーの母ホワイトフローラはグランド牧場の生産馬だが、2014年の北海道市場オータムセールに上場され、宮内牧場が落札。同牧場の所有馬として3歳4月にJRAでデビューしたものの勝ち星に恵まれず、3歳秋に金沢へ移籍して6歳秋までに8勝を挙げる活躍を見せた。引退後は宮内牧場で繁殖入りし、その初年度にキズナを交配して生まれてきたのがプリンセスアリーだった。「母のホワイトフローラも小柄な馬なのですが、プリンセスアリーは初仔ということもあって特に小さく生まれてきました。ただ性格は素直で手がかからず、扱いやすい馬だったのを覚えています」と牧場で育っていた時期を振り返る。
その後、プリンセスアリーは母と同じく1歳秋の北海道市場オータムセールに上場されることになった。「本当はサマーセールに上場する予定だったのですが、蹄に石が入るアクシデントがあってオータムセールまで待つことになったんです。馬体は小柄なままでしたが、せりでは非常に高く評価していただきました」と宮内さんが話すように、同セールにおける牝馬の平均価格が約340万円(税込、以下同)だったところ、プリンセスアリーは1,320万円で落札。多くの購買者が同馬に血統的な魅力を感じていたことが垣間見える。
プリンセスアリーの牝系を遡ると、3代母に2002年のフェアリーステークス(G3)を制したホワイトカーニバルがいて、同馬は母となってJBCレディスクラシック(Jpn1)やチャンピオンズカップ(G1)を制したサンビスタを出産。プリンセスアリーの祖母ホワイトクルーザーはサンビスタと3歳違いの姉にあたる。また母ホワイトフローラの3歳下の半弟にはハヤブサナンデクンがいて、同馬は2023年のマーチステークス(G3)を制するなどダート中距離で活躍した。「プリンセスアリーの父は芝で重賞馬を量産しているキズナですが、牝系からはダートの活躍馬が多く出ているのでやはりダートが合うようですね。今年生まれた牝馬の父はホッコータルマエですから、よりダート適性が強く出ると思います」と生まれて間もない半妹を紹介。これからどんな馬に育っていってくれるか、スタッフ全員が楽しみにしているという。
桜花賞で一冠目を奪取したプリンセスアリーは、おそらく南関東牝馬三冠を目指すことになるだろう。「南関東にもライバルはたくさんいますし、関東オークス(Jpn2)ではJRAからも強い馬が出てくるので一筋縄ではいかないでしょうが、これからも一戦一戦大事に走り、無事に競走生活を送ってくれることを願っています」とエールを送る宮内さん。その優秀な血が、さらに大きく花開くことに期待しよう。