重賞ウィナーレポート

2024年05月04日 京都新聞杯 G2

2024年05月04日 京都競馬場 晴 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジューンテイク

プロフィール

生年月日
2021年03月27日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:9戦3勝
総収得賞金
98,205,000円
キズナ
母 (母父)
アドマイヤサブリナ  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
吉川 潤
生産者
ヒダカフアーム (荻伏)
調教師
武 英智
騎手
藤岡 佑介

 ダービーへの優先出走権が設けられているわけではないが、その最終チケット争奪戦「第72回京都新聞杯(G2)」が5月4日、京都競馬場で行われ、スタートから好位のインでじっと息を潜めていた藤岡佑介騎手騎乗の8番人気ジューンテイクが最後の直線で内ラチ沿いから抜け出し2分11秒2で優勝。3度目のJRA重賞挑戦で重賞初勝利。通算成績を9戦3勝とした。騎乗した藤岡佑介騎手の重賞勝利は今年のフィリーズレビュー(G2)(優勝馬エトヴプレ)に続くもので通算47勝目。管理する武英智調教師にとっては今年のフェブラリーS(G1)(同ペプチドナイル)に続くもので通算10勝目の重賞勝利となった。

 ジューンテイクを生産したのは浦河町のヒダカファーム。1922年創業。かつては日本競馬界の歴史に残る名競走馬で、繁殖牝馬としても大成功したミスオンワードや天皇賞(春)を制したミツハタなどを生産しており、現在はパート含む15人のスタッフで毎年35頭前後を生産し、中期育成、調教までを一貫して行う老舗の総合牧場だ。近年の活躍馬には昨年のレパードステークス(G3)、クイーン賞(Jpn3)、今年の兵庫女王盃(Jpn3)を勝ったライオットガールや、障害重賞2勝のジューンベロシティ、あるいは2017年根岸S(G3)優勝のカフジテイクなどがいる。

 同ファームの近藤光将専務は、レース前に競馬新聞を見ながら「前走の若葉Sで負けてしまったので人気を落としていましたが、もともとエンジンのかかりが少し遅い馬。負けたレースでも、それほど大きく負けているわけではないので、生産牧場としての期待を込めて言えば、人気順よりはもっと頑張ってくれるのではないかと思っていました」とレースを楽しみにしていたそうだ。

 しかし、5月上旬は牧場にとっては出産、種付けの繁忙期。「レースはちょうど種付け作業中でした。レースが終わったであろう時間になるとずいぶんと携帯が鳴るので、勝ち負けは別にしてもきっと良い結果だったんだろうなと思いましたが、自分で結果を確認するまではモヤモヤした気持ちでした」と当日を振り返り「結果を見て本当にうれしかったです。武厩舎の方々がしっかりと仕上げ、藤岡騎手の積極的な騎乗のおかげだった思います」と表情を緩めた。

 牧場時代のジューンテイクは「当牧場にいたのは1歳夏まででしたが、スラっと背が高い馬で、活躍してくれているジューンベロシティやジューンオレンジに比べると、とにかくやんちゃな馬でした。こうして競走馬としてキャリアを積んだ現在でも、そんな様子は垣間見えますので、これまでこの馬にかかわってくれた方々は大変だったと思いますが、まっすぐに育てていただいたことを本当に感謝しています」と苦労を労いながら、頭を下げた。

 「生産者として重賞競走に勝ってくれたことは本当に嬉しいことですが、それ以上に日本ダービー(G1)の舞台へ立てること、その輪の中に入れることは本当に光栄なことだと思っています。馬に対しては〝ありがとう〟それしかありません」と目を細める。

 これで、昨年の桜花賞(G1)に出走した半姉ジューンオレンジに続く、クラシック出走となり、今春の中山グランドジャンプ(JG1)2着ジューンベロシティを含めると3頭すべてがG1競走の大舞台を踏むことになる。「母のアドマイヤサブリナはジェイエス繁殖馬セールでオーナーが購入した馬ですが、牧場にとって宝物のような存在です」と話し「生産馬が日本ダービー(G1)に出走するのは90年ロンサムボーイ以来のこと。当日は、競馬場で精一杯応援したいと思いますが、願うのはとにかく無事に、そして悔いが残らないような競馬になってくれること。それだけです」と目を輝かせた。