2024年04月24日 羽田盃(中央交流) Jpn1
優勝馬:アマンテビアンコ
プロフィール
- 生年月日
- 2021年01月25日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/白毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 83,301,000円
- 母 (母父)
- ユキチャン by クロフネ(USA)
- 馬主
- (有) シルクレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 宮田 敬介
- 騎手
- 川田 将雅
一説によると、白毛のサラブレッドが突然変異で誕生する確率は約0.04%とされている。だが近年はシラユキヒメを祖とする「白毛一族」の活躍が目立つようになり、シラユキヒメの娘となるユキチャンが関東オークス(Jpn2)を制して、白毛馬では初の重賞馬となると、ユキチャンの妹となるブチコは、阪神JF(G1)を制して、白毛馬初のG1馬ともなったソダシを送り出した。
また、毛色は鹿毛に出たものの、ソダシの妹となるママコチャが昨年のスプリンターズS(G1)を優勝。今や「白毛一族」はノーザンファームを代表する名牝系ともなっている。
白毛一族の祖となったシラユキヒメの6番仔で、白毛馬としては初めての新馬戦勝利を果たしたのがマシュマロという牝馬である。マシュマロは繁殖入りをした後、父にキングカメハメハを持つ牡馬を出産。ハヤヤッコと名付けられたその馬は、レパードS(G3)を優勝し、白毛馬では初となるJRA重賞制覇を果たす。
そのハヤヤッコの育成を手掛けたのが、ノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長。そして木村厩舎長はダート三冠設立元年となる、今年の羽田盃(Jpn1)を制した、ユキチャンの7番仔となるアマンテビアンコも育成。この勝利により、白毛の牡馬のG1級競走と、白毛馬のダートG1級競走の初制覇は果たされることとなった。
「ハヤヤッコとアマンテビアンコの他に、もう一頭マイヨブランの育成も手掛けてきました。競走馬としては新馬戦の1勝に終わっていますが、現役引退後に相馬野馬追へ出た後、皇宮警察に行って、現在は「白麗」という名前になっています。天皇、皇后両陛下は、「白麗」にもお会いになったとのことであり、両陛下のお目に書かれた馬を、自分といったノーザンファームのスタッフたちが送り出せたのは、とても光栄なことです」(木村厩舎長)
まさに「白毛」馬にまつわる、様々なドラマを作りだしてきたと言っていい木村厩舎長であるが、初めて厩舎に来た頃のアマンテビアンコに関しては、「イヤリングから来た頃から毛色だけでなく、馬格的にも見栄えのする馬でした。騎乗した際にも芝向きと思えるような、背中の良さが感じられていた一方で、気性の難しさも伝えられていただけに、乗り慣らしなどは慎重に進めていきました」と話す。調教を始めた頃はスタッフの誰もが乗りこなせる程に従順な馬であったが、次第に調教で楽をしようというずるさものぞかせるようになり、それからは馬を動かせるベテランスタッフが騎乗していただけでなく、やる気を出させるために3頭での併せ馬では真ん中に入れて、闘争心を出していくようにも心がけた。
「デビューはダートの1,400mとなりましたが、この性格ならば距離もこなせるだろうと思っていました。ただ、ヘニーヒューズ産駒の特徴が出たというのか、ダートのマイルで安定した活躍を見せていたので、まだ距離が持てば、ダート三冠などでも活躍できるのではと思っていました」
2歳時にカトレアSを勝利してOP入りを果たしたアマンテビアンコは、次走を羽田内トライアルの雲取賞(Jpn3)へと定める。ここで2着の成績を残して、羽田盃(Jpn1)へと駒を進めることとなった。
その羽田盃(Jpn1)でファンは雲取賞(Jpn3)の勝ち馬となったブルーサンではなく、アマンテビアンコを1番人気に支持していく。4枠4番からの出走となったアマンテビアンコは、先行馬をマークするような位置でレースを進めていくと、先行馬がポジションを下げていく中を、確実にポジションを上げていく。
最後の直線では逃げ粘るアンモシエラを射程圏内に置くと、ゴール前で交わし切っての勝利。母ユキチャンがTCK女王盃(Jpn3)を制したのと同じ舞台で、白毛のアマンテビアンコがカクテル光線に照らされた。
「川田騎手はレースの直後に、まだ突き放せると思ったと話していたほどに、手応えには余裕があったそうです。それだけ強い勝ち方だったと思います」
白毛としては初めてのG1級競走優勝。その上、種牡馬の父としても評価が高まっているヘニーヒューズの産駒に加えて、G1馬を始めとして、重賞での活躍馬がずらりと並ぶシラユキヒメの牝系という血統背景からも、一気に種牡馬としての道が切り開かれてきた。
「まだまだ、G1戦線で活躍を残してもらいたいと思いますが、その可能性が出てきたのも嬉しいです。今は骨瘤が出て休養していますが、まだまだ強くなる馬だと思えるだけに、復帰戦での走りを自分も楽しみにしています」
現在はノーザンファーム天栄で調整中。残る1冠のジャパンダートダービー(Jpn1)に向けて、役者が揃ってきたダート三冠戦線だが、毛色からしても主役に相応しいのは、鋭気を養っているアマンテビアンコなのかもしれない。