2023年10月29日 天皇賞(秋) G1
優勝馬:イクイノックス
プロフィール
- 生年月日
- 2019年03月23日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦6勝
- 総収得賞金
- 1,756,556,000円
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 木村 哲也
- 騎手
- C.ルメール
現在の日本競馬において、東京競馬場の芝2000mで行われる天皇賞(秋)(G1)こそが、スピードとスタミナの双方に秀でた競走馬が、年齢や性別を問わずにずらりと揃う、ハイレベルな一戦と言えるだろう。
このレースから芝2000mのレコードが幾度となく塗り替えられてきたのも納得がいくところだが、ついに今年の勝ち馬であるイクイノックスが1分55秒2という、究極のタイムを叩き出した。
「中間はノーザンファーム天栄で調整されてきましたが、宝塚記念(G1)の後はレースの疲れもあったようです。ただ、その後は順調に調教も行われていき、厩舎に移動する直前には、管理をしてくれていた天栄のスタッフから写真と動画が送られてきたのですが、状態の良さだけでなく、成長した姿も感じ取れました」とは育成を手掛けてきた、ノーザンファーム早来の桑田裕規厩舎長。天皇賞(秋)(G1)には宝塚記念(G1)よりもプラス2kgでの出走となったが、「パドックを周回する姿は、宝塚記念(G1)の時よりもパンプアップしているように見えました」とも話してくれる。そんなイクイノックスをファンも単勝1.3倍と言う圧倒的な一番人気に支持していく。
「レース前はこの馬に関わった者としての勝って欲しいと言うのと、イクイノックスの一ファンとして、勝てるだろうという気持ちが交わっていた、不思議な気持ちでした。あとは不利なくレースをしてくれたらいいなと思っていましたが、好スタートを決めてからは、何の不利なくいいポジションを走ってくれていたので、これなら大丈夫だろうと思っていました」(桑田厩舎長)
先手を取ったのは今年の大阪杯(G1)で逃げ切りを決めていたジャックドール。前半の1000mを57秒7という、かなりのハイペースに持ち込んでいく。その速い流れの中を3番手でレースを進めていたイクイノックスは、最後の直線で2番手のガイアフォースがジャックドールを交わした時に、スッと反応すると、ルメール騎手のゴーサインに答えてスピードを更に上げていく。
「あの動きを見た時に大丈夫だろうと思いました。レースの展開と言うよりも、道中の位置取りを見ながら、1つ1つが大丈夫と確認していたようにレースを見ていましたが、それだけに勝ち時計には驚かされました」(桑田厩舎長)
後半の1000mは前半よりもまだ速い57秒5を記録、この日、天皇賞(秋)(G1)を見たファンは、史上最高レベルの「テン良し、中良し、終い良し」を見ることができたと言ってもいいだろう。
「馬場も良かったこともありますが、心肺機能が本当に高いのでしょう。かといって無理をしているような感じも見受けられず、それはゴール前で真っすぐに走っていた姿にも表れていました」(桑田厩舎長)
これで国内外のG1レースを5連勝。父キタサンブラックのG1 7勝にまた近づいただけでなく、獲得賞金は17億1,158万2,100円となり、現時点では歴代6位。2位のキタサンブラックまでは、約1億6,000万円差となっている。
「自分としてはこの馬の強さを語る言葉が思いつきません。それだけに育成時に携われたことは、ホースマンとしての財産でもありますし、イクイノックスには感謝しかありません」(桑田厩舎長)
次走はジャパンC(G1)となっているが、このレースを勝てば父イクイノックスと親子制覇を果たすだけでなく、獲得賞金で父を上回ることにもなる。
「今年は3歳世代にも強い馬がいますし、天皇賞(秋)(G1)を使ってきた馬たちも、ジャパンC(G1)に向けて更に調子を上げてくると思います。勿論、勝利を信じていますが、まずは無事に走り切ってもらいたいです」(桑田厩舎長)
東京芝2400mは3歳時の日本ダービー(G1)で2着に敗れた舞台でもあるが、今のイクイノックスならば、そこでもレースレコードを更新するような、圧巻のレースを見せてくれるのかもしれない。