2023年10月14日 アイルランドT府中牝馬S G2
優勝馬:ディヴィーナ
プロフィール
- 生年月日
- 2018年02月24日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:17戦5勝
- 総収得賞金
- 162,386,000円
- 馬主
- 佐々木 主浩
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 友道 康夫
- 騎手
- M.デムーロ
今年の府中牝馬S(G2)を優勝したディヴィーナの母は、ヴィクトリアマイル(G1)を連覇したヴィルシーナとなる。兄のブラヴァスも新潟記念(G3)を優勝しており、改めて繁殖牝馬となった母の優秀さを証明する勝利ともなった。
ディヴィーナの育成を手掛けた、ノーザンファーム早来の村上隆博厩舎長は、母のヴィルシーナにも深く携わってきた。
「ディヴィーナは同じ時期の母との比較では小柄に出ていましたが、体幹もしっかりとしていて、フットワークには軽く、乗り味も母よりディヴィーナの方が柔らかさもありました。あと、勝気な性格は母と一緒でしたね」(村上厩舎長)
デビューまでには時間を要したが、3歳の5月に迎えた未勝利戦で勝ち名乗りをあげると、その後は複勝圏を外さない堅実なレースぶりでクラスを上げて行く。
「初勝利をあげてから、ここまでコンスタントにレースを使っていけるとは思っていませんでした。ただ、この血統は古馬となってから更に力を付けていくような、成長力も備えていただけに、年齢を重ねていけば更に良くなっていくだろうと思っていました」(村上厩舎長)
4歳時に3勝クラスの豊橋Sを勝つと、母仔制覇を目指してヴィクトリアマイル(G1)に出走。ただG1の壁は厚く、11着に敗れてしまう。
その後も重賞に挑んでいくも、二桁着順を繰り返した中で、転機となったのが5歳時のヴィクトリアマイル(G1)だった。戦前の評価は16頭中15番人気だったにも関わらず、後方待機策からメンバー中最速の上がりタイムとなる、33秒1の末脚を使って4着に入着する。
「母が勝っていたレースだけに、個人的にも一変するならこの舞台かなと思っていました。この時からM.デムーロ騎手が手綱を取ってくれていますが、ディヴィーナとの息も合っていたのでしょう」(村上厩舎長)
そのデムーロ騎手は中京記念(G3)では、ヴィクトリアマイル(G1)と同じような後方待機策を選択したものの、逃げた馬を捕らえきれずに2着。関屋記念(G3)では前目でレースを進めていったが、早めに先頭に立ったことで後続の目標となり、ここでも2着に敗れてしまう。
ただ、三度目の正直はこの府中牝馬S(G2)で訪れた。逃げ馬不在となった中、果敢に先頭に躍り出たディヴィーナは、後続との差を広げながらも、1000m通過を60秒フラットに落とし込んでいく。
セーフティーリードを保った最後の直線、最内でしぶとく脚を伸ばしていきながら、最後は後方から迫ってきたルージュエヴァイユの追い込みを、ハナ差退けて見せた。
「レース間隔も詰まっていて、気持ちの部分でも抑えるよりは前で競馬をさせたほうがいいのではと思っていましたが、まさか逃げるとは思っていませんでした。ただ、母も展開次第では逃げに出ることもあっただけに、道中はヴィルシーナの思い出と、目の前のレースを重ね合わせていました」(村上厩舎長)
ヴィルシーナが5歳時のヴィクトリアマイル(G1)で見せた逃げ切り勝ちを、彷彿とさせるかのような今回のディヴィーナのレース。逃げて良し、追い込んでも良しとオールラウンダーであることを証明した形ともなったが、それはまだまだ競走馬として成長を遂げている証なのかもしれない。
「馬体重はデビュー時とそれほど変わってはいませんが、それでも体幹などは更に強くなっている印象を受けました。友道先生や厩舎スタッフの皆さん、そして、ノーザンファームしがらきのスタッフと、馬体の調整には苦労していると思いますが、間隔が詰まっている中でも、いい状態でレースに臨ませてくれているのは感謝しかありません」(村上厩舎長)
次走はエリザベス女王杯(G1)。G1出走も3度目の正直となったが、初めての芝2200mに加えて、前走よりも強化された出走メンバーがディヴィーナを待ち構える。
「母は3歳時にクビ差に敗れているだけでなく、その後も勝てそうで勝てないレースでした。それだけにディヴィーナにはそのリベンジを果たしてくれないかとの思いが入ってしまいます」(村上厩舎長)
このレースには母ヴィルシーナのライバルでもあった、ジェンティルドンナの娘となるジェラルディーナも出走を予定。母の代理戦争とも言えるが、そのジェラルディーナは昨年のレースで、G1初勝利を飾っている。
ディヴィーナがここでエリザベス女王杯(G1)を勝つことは、2つの意味で母のリベンジを果たすことにもなっていく。そして、繁殖牝馬となった母に、待望のG1タイトルも届けてもらいたい。