重賞ウィナーレポート

2023年10月07日 サウジアラビアRC G3

2023年10月07日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ゴンバデカーブース

プロフィール

生年月日
2021年02月24日 02歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
40,515,000円
ブリックスアンドモルタル(USA)
母 (母父)
アッフィラート  by  ディープインパクト
馬主
(株) G1レーシング
生産者
(有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
調教師
堀 宣行
騎手
松山 弘平
  • 生産部門は国道を挟んで厩舎を構えている
    生産部門は国道を挟んで厩舎を構えている
  • 白老ファームイヤリングでも元気に過ごしてきた
    白老ファームイヤリングでも元気に過ごしてきた

 メイクデビューからの連勝でサウジアラビアRC(G3)を優勝。父ブリックスアンドモルタルに初の重賞タイトルを授けたのは、白老ファームの生産馬であるゴンバデカーブースだった。

 「白老ファームで管理されていた頃には、首の力が強い馬だと聞いていました。こちらでも集牧や放牧の際には気を使いましたが、それでもスタッフの手を煩わせるようなことは無かったです」とは白老ファームYearlingで話を聞かせてもらった下山田歩育成主任。下山田主任は騎乗育成先である追分リリーバレーにも、ゴンバデカーブースの近況を訪ねに行ったが、その際にも口向きの悪さなどは全く聞かされてなかったとも話す。

 「リリーバレーのスタッフからは、『ツアーの際の脚捌きがしなやかで、それが印象に残っている』と言われました。こちらで管理していた頃もオンとオフの切り替えが物凄く上手な馬でしたが、リリーバレーでも、調教、馴致と全く手がかからない優等生だったそうです」(下山田主任)

 そのスイッチの切り替えが現れたのが、デビュー戦となった6月のメイクデビュー東京と、サウジアラビアRC(G3)における異なったレーススタイルとも言える。

 メイクデビューでは好スタートから逃げ切り勝ちを決めたかと思えば、サウジアラビアRC(G3)では最後方からレースを進めていき、最後の直線では圧倒的な一番人気を集めたボンドガールだけでなく、後に東京スポーツ杯2歳S(G2)を優勝するシュトラウスも、一気の末脚で交わしきっての勝利。同じ東京芝1600mの条件で、多彩なレースセンスと能力の高さを証明してみせた。

 「放牧地でも常に冷静なタイプで、同世代の馬たちの中でもそれが強く印象に残っていました。省エネタイプの馬と言うのか、それはレースの中でもどうやったら上手く立ち回れるかを、馬自身が分かっているのでしょう」(下山田主任)

 この2歳世代が初年度産駒となるブリックスアンドモルタルであるが、下山田主任から見ても、産駒は総じて出来の良さが目立っていた。

 「ゴンバデカーブースの他にもある程度の産駒を見ていましたが、共通する馬体の良さが遺伝されていましたし、前向きさはありながらも、素直さも兼ね備えていました。走ってくれるだろうなと言う手応えは感じていましたね」(下山田主任)

 その下山田主任は、ブリックスアンドモルタルが優勝した2019年のBCターフ(G1)をサンタアニタ競馬場で見ていた。

 「後方からのレースとなったにも関わらず、一番人気に応えてしっかりと差し切ったレース内容や、ちょうどいいサイズの馬体からしても、日本向きの馬だなと思いましたし、その意味でも産駒には肩入れしてしまいますね」(下山田主任)

 その意味でもサウジアラビアRC(G3)での末脚は、父の持ち味が現れたレースともなった。

 「新馬戦では逃げていただけに、脚を溜めた場合にでも長くいい脚を使えることを松山騎手が証明してくれたと思います。それでもシュトラウスの先行力や、ボンドガールの末脚を上回るような走りには驚かされました」(下山田主任)

 次走はホープフルS(G1)への出走が、所属するG1サラブレッドクラブから発表。芝マイル戦で戦ってきたゴンバデカーブースであるが、父のブリックスアンドモルタルは芝の中距離でG1 5勝を含め11勝をあげており、むしろ血統的には適した条件と言える。

 「ゴンバデカーブースとは血統背景こそ違いますが、個人的には生産馬であるイスラボニータとイメージが重なっています。イスラボニータも人気以上の走りをしてくれる馬でしたが、だからこそ、どこまで強いのだろうかといったスケールを感じさせてくれています」

 そう話した下山田主任は、重賞勝利後に様々な愛称が付けられてきたゴンバデカーブースに対して、牧場のスタッフ間で呼び合っている「ゴンちゃん」との愛称がいいのではと考えている。

 「素晴らしい馬名を付けていただいたと思いますし、それから連想した愛称を見る度に、ファンの皆さんから注目されている馬になってきたと感じます。ただ、僕らからするといくら強くなっても、可愛い馬であるのは変わりありませんし、『ゴンちゃん』と呼び名で更に愛される存在となってもらいたいです」(下山田主任)

『ゴンちゃん』との愛称を定着させるためにも、ホープフルS(G1)ではその名を轟かせるかのような走りを見せてもらいたい。