重賞ウィナーレポート

2023年06月25日 宝塚記念 G1

2023年06月25日 阪神競馬場 曇 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:イクイノックス

プロフィール

生年月日
2019年03月23日 04歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:7戦5勝
総収得賞金
1,756,556,000円
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
C.ルメール

 国内における現役最強馬であることを証明するかのように、2022年のJRA年度代表馬に選出。ロンジンワールドベストレースホースランキングでも現役馬としては世界最高のランキング(126ポンド)となったイクイノックス。

 その評価通りの走りをドバイシーマクラシック(G1)のレコード勝ちで証明して臨んだ今年の宝塚記念(G1)でも世界一の競走馬であることを証明するかのようなレースを見せた。

 レース当日は阪神競馬場へと応援に行っていた桑田裕規厩舎長は、その日の芝のレース傾向を見て、先行していた馬が残っていたことを気にしていた。

 「どんなレースでもできる馬ではありますが、この馬場状態ならばある程度前に馬を置く位置でレースをしてくれればと思っていました。ただ、毎回想像を超える走りを見せてくれる馬なので、その意味ではどこか安心していました」(桑田厩舎長)

 ファンもまた、どんなレースでも絶対的な強さを見せてきたイクイノックスを信頼するかのように、単勝1.3倍と言う圧倒的な人気で支持をする。競馬場でイクイノックスを見るのは天皇賞(秋)(G1)以来となった桑田厩舎長であるが、今年の5月にノーザンファーム天栄に研修に行った際にも、調整に来ていたイクイノックスを目にする機会があった。

 「その時は海外遠征の疲れも見受けられましたが、パドックを周回する姿は良化の後が見受けられていましたし、改めて綺麗な馬だと思っていました」(桑田厩舎長)

 3枠5番からのスタートとなったイクイノックスではあったが、スタートのタイミングが合わずに、1コーナーでは16番手からのレースを余儀なくされる。一方、前残りの馬場傾向であることを承知していた他の有力馬たちは、ここぞとばかり前目でレースをしていく。ただ、ここからのレースが豪快かつ、世界一の競走馬たる走りだった。

 「3、4コーナーあたりで捲っていってくれないかなと思っていましたが、しっかりと脚を使えていましたし、直線に入ってからは更に伸びていたので、強いなあと言うか、声も出さずにたたただその走りを見ていました」(桑田厩舎長)

 最後の直線では馬群の大外に進路を取ったイクイノックスは、そこから一気に先頭へと躍り出る。その内から迫ってきたのは、同じく後方待機策を取っていたスルーセブンシーズではあったが、クビ差凌ぎきった場所がゴールとなった。

 「スルーセブンシーズも強い馬ですし、不利が無ければまだ際どい勝負になったと思います。ただ、レース後の木村先生のコメントにもあったように、イクイノックスも決して完調とは言えない状態の中でも、勝ちきってくれたあたりがこの馬の強さの証明だと思いました」(桑田厩舎長)

 今年の春のG1レースは、桑田厩舎出身馬が主役を務めた。イクイノックスだけでなく、皐月賞(G1)で2着となったタスティエーラは日本ダービー(G1)を優勝して、2020年に日本国内で誕生したサラブレッド7,708頭の頂点に立った。

 「育成調教を手掛けた自分たちとしては、特別なことをしているつもりはありません。ただ、優れた能力を持った馬たちを任せていただけただけでなく、その前段階の生産やイヤリング、そしてノーザンファーム天栄やしがらきのスタッフに、各厩舎の皆さんや騎乗していただいた騎手の方々といった、ホースマンにも恵まれたことが、この結果に繋がったと思います」(桑田厩舎長)

 この後は桑田厩舎を巣立った2頭の対決も楽しみになってくる。

 「イクイノックスだけでなく、タスティエーラも今後の成長と共に、まだパフォーマンスは上がってくると思います。いつか2頭が対決する日は来ると思いますが、まずはお互いに目標とするレースでいい結果を出してもらいたいです」(桑田厩舎長)

 この後、タスティエーラは菊花賞(G1)、そしてイクイノックスは天皇賞(秋)(G1)に出走を予定。お互いにG1制覇を成し遂げた先にあるのは、桑田厩舎出身馬による、ドリームレースとなりそうだ。