重賞ウィナーレポート

2023年06月18日 マーメイドS G3

2023年06月18日 阪神競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ビッグリボン

プロフィール

生年月日
2018年03月05日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:10戦5勝
総収得賞金
116,892,000円
ルーラーシップ
母 (母父)
ブリッツフィナーレ  by  ディープインパクト
馬主
石川 達絵
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
中内田 充正
騎手
西村 淳也

 第28回マーメイドステークス(G3)は6月18日阪神競馬場の芝2000mで行われた。優勝馬は菊花賞馬キセキの全妹ビッグリボン(牝5歳)。同馬は1966年創業という日高町下河辺牧場の生産馬。生産から後期育成までを手掛ける総合牧場で年間の生産頭数は80頭から90頭前後。これまでに、前述キセキほかスティルインラブ(牝馬三冠)やアユサン(桜花賞(G1))ダイワエルシエーロ(オークス(G1))などを送り出してきた。

 ビッグリボンに大きなタイトルをもたらした騎手は西村淳也。調教師は中内田充正。ビッグリボンにとっては重賞レース初優勝。生産者の下河辺牧場にとっては、3月中山競馬場オーシャンステークス(G3)のヴェントヴォーチェに次いで、今年2頭目の重賞優勝馬となった。

 ビッグリボンは1番人気に応えて、最後の直線で馬場のど真ん中、しぶとく食下がるウインマイティーを振り切って優勝した。これで同馬の通算成績は10戦5勝。すべて芝2000mの勝利である。

 ビッグリボンを生産した下河辺行雄代表は「今回、私は北海道で実況中継を見ていました。このレースは1番人気8年連続の未勝利という不思議なハンデ重賞競走でしたが、当場生産馬がジンクスを破ってくれて嬉しく思います。また、ビッグリボンの背中をよく知る西村騎手が巧く乗ってくれましたと思います。それに管理する中内田調教師も、ここまで馬を大事に使ってくれ、ローテーションも慎重に工夫してくれました。お二人には感謝の気持ちで一杯です。ご存じのとおりビッグリボンは牧場に菊花賞(G1)という栄誉なタイトルを授けてくれたキセキの全妹です。全兄とは対照的に、生まれたときから馬体もたくましい馬でした。兄キセキは1歳夏から驚くほどの急成長を遂げましたが、しかし妹は生まれてからずっと安定した成長曲線で、同期の中でまさに“健康優良児”でまったく手がかからない“優等生”でもありました。」

 「母ブリッツフィナーレはオークス馬ダイワエルシエーロを産んでくれたロンドンブリッジの仔。私たちの牧場にとっては二重の意味で思い出深い血統です。ですからビッグリボンの重賞勝利はまさに生産者冥利に尽きます。よく皆さんから『この母馬になぜルーラーシップばかり交配するの?』と聞かれます。初年度はスウェプトオーヴァーボードを配合し、2年目にはクロフネ。そして3年目にルーラーシップを交配してキセキが誕生しました。これまで不受胎だった年も含めて、昨年までに6回ほどルーラーシップを掛け合わせていますから」と行雄さん。

 「もちろんキセキの偉業がそうさせているのですが、しかし今年2歳になるハミングという牝馬の父は米国年度代表馬で、新種牡馬のブリックスアンドモルタルです。」

 そして、もうひとつ牧場にとって嬉しいことが。マーメイドS(G3)の前日に行われた阪神競馬場の新馬戦で、同牧場生産のサトノフェニックスがデビュー戦を勝利で飾っている。

 「サトノフェニックスは、今から18年前に全日本2歳優駿(G1)を優勝したグレイスティアラの孫にあたります。2日続けて下河辺牧場ゆかりの血統馬が勝ってくれたのは本当に嬉しいです。また不思議な感覚でした。競馬は負ける馬の方が圧倒的に多いスポーツです。馬づくりも同じです。しかし頑張って続けていると、このような幸運に巡り合えるのですね…。本当に馬はわかりません」と喜びを噛みしめた。

 キセキの全妹ビッグリボン。これから注目される牝馬の目標は秋のエリザベス女王杯(G1)になると見込まれる。