重賞ウィナーレポート

2023年05月14日 ヴィクトリアマイル G1

2023年05月14日 東京競馬場 小雨 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ソングライン

プロフィール

生年月日
2018年03月04日 05歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:12戦5勝
総収得賞金
688,550,000円
キズナ
母 (母父)
ルミナスパレード  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
林 徹
騎手
戸崎 圭太

 昨年の安田記念(G1)で牡馬を一蹴した末脚は伊達では無かった。小雨が降りしきる中で行われた今年のヴィクトリアマイル(G1)。4番人気の支持を集めたソングラインは、最後の直線でインコースから抜けてくると、先に抜け出したソダシをアタマ差捉えてゴール。昨年の安田記念(G1)以来となる勝利で、G1 2勝目をあげた。

 「G1を育成馬が勝ってくれたおかげで、取材を受けられるのは嬉しいですね」と開口一番に話してくれたのは佐藤洋輔厩舎長。安田記念(G1)の後は何度も取材をさせてもらえるのではないかとも思っていたが、それからのソングラインは喉の炎症もあって、約1年程勝ち鞍から遠ざかってしまう。

 「自分もブリーダーズCマイル(G1)に応援に行く準備をしていたので、出走が叶わなかったのは残念でした。それでも調整先であるノーザンファーム天栄のスタッフからは、それほど状態は悪くないと聞いていました。その後、サウジ(1351ターフスプリント(G3))を目指すと聞かされた時にも、昨年勝っているレースだっただけに、これがいいきっかけになってくれないかと期待していました」(佐藤厩舎長)

 実は昨年の冬、佐藤厩舎長はノーザンファーム天栄に研修へ行った際、前年の1351ターフスプリント(G3)に向けて調整されるソングラインに会っている。

 「その時は馬体も張りがあって、見た目にもいい状態に見えました。今年の冬に天栄に行った際には、前の週に入厩していたので実際には見れなかったのですが、スタッフから状態はいいと聞いていたので、昨年と同じような結果が出てくれたらいいなと思っていました」(佐藤厩舎長)

 結果は直線で思ったようにはじけられずに10着に敗退。だが、海外遠征も疲れもそれほど尾を引かず、ノーザンファーム天栄のスタッフからは、いい状態でヴィクトリアマイル(G1)に臨めるとの連絡も入っていた。

 「1351ターフスプリント(G3)のレース後、林先生も『状態は悪くなかっただけに、結果を出せなかったことが申し訳ない』と話してくれていました。その先生も今回は昨年以上に調教も攻められていると自信を持っていただけに、距離や条件的にも巻き返すならばこのレースだと思っていました」(佐藤厩舎長)

 ソングラインの武器となっているのが、牝馬らしい切れのある末脚である。それは馬場の荒れていないコースを通った際に、更に発揮されていく傾向があった。

 「枠的にもいいところに入ったと思いました。これならレースの流れを見ながら、いいところで動いていくのだろうと思っていましたが、最後の直線で内に入った時には、そこから抜け出せないのではとも考えました」(佐藤厩舎長)

 まさに万事休すかと思われたが、ソングラインのスピードと闘志は衰えることなく、残り1ハロンでは抜け出したソダシを射程圏内に置く。

 「差し脚では前にいる馬たちに負けないと思っていました。決してインコースが伸びてくる馬場では無いとは思っていましたが、それでも伸びてくる辺りは、やはり、牡馬相手でも互角以上のレースをしていた能力があるからなのでしょう」(佐藤厩舎長)

 昨年は2番人気を背負いながら、5着に敗れたレースを快勝。次走は連覇のかかる安田記念(G1)出走となる。

 「ずっと向こうで調整してもらっている馬だけに、自分がここでできるのは、レース前にソングラインのジャンパーを着て調教に臨んだり、競馬の前には正座をして、祈るようにレースを見ることだけです。その思いが届いて、1頭でも多く前の馬を交わしてくれたらと願っていますし、ここでいい結果を残して、今年こそブリーダーズCマイル(G1)に行けたらいいですね」(佐藤厩舎長)

 佐藤厩舎長の思いを力に変えて、ソングラインは安田記念(G1)連覇、そして、ブリーダーズCマイル(G1)制覇へとひた走っていく。