重賞ウィナーレポート

2023年05月13日 京王杯スプリングC G2

2023年05月13日 東京競馬場 小雨 良 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レッドモンレーヴ

プロフィール

生年月日
2019年02月17日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:9戦5勝
総収得賞金
165,778,000円
ロードカナロア
母 (母父)
ラストグルーヴ  by  ディープインパクト
馬主
(株) 東京ホースレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
蛯名 正義
騎手
横山 和生

 昨年開業した蛯名正義厩舎にとって、初めての重賞タイトルをこの京王杯スプリングC(G2)で授けたレッドモンレーヴ。実は育成を手掛けたノーザンファーム空港の藤波明厩舎長にとっても、ノーザンファームの生産馬では初めての中央重賞制覇(他場の育成馬ではカフジオクタゴンがレパードS(G3)を優勝)となった。

 「イヤリングから来た頃から、馬体の良さが目立っていただけでなく、騎乗馴致でも背中の柔らかさや、乗り味の良さを感じていました。母(ラストグルーヴ)の産駒は総じて評判が良かったのですが、ついに重賞馬が出るなと思えた程です」(藤波厩舎長)

 ただ蹄の問題もあって、騎乗調教を控える時間が長引いた。

 「治療にも時間をかけました。その間には馬体の成長もあったものの、それまでの素軽さを取り戻すのに時間がかかってしまいました」(藤波厩舎長)

 本州への移動は10月までずれ込んでしまったものの、その年の12月にはメイクデビュー中京で初戦を迎える。結果は2着だったものの、年末の2歳未勝利戦を制すると、年明けには共同通信杯(G3)に出走してきたのは、陣営も高い能力を評価していたと言える。

 「ノーザンファーム天栄のスタッフからも『この馬は間違いなく重賞を取る』と言われてきました。ただ、思うように使えなかった時期には、天栄のスタッフも苦労したと思います。また、藤沢(和雄)先生や当時の厩舎の皆さん、そして蛯名先生や厩舎の皆さんと、この馬の状態を把握しながら、いい時期にレースへと臨ませてくれたことが、現在の活躍に繋がっていると思います」(藤波厩舎長)

 今年の節分Sを優勝して、待望のオープン入りとなったが、その末脚を見た時に、藤波厩舎長は育成時の「柔らかさ」や「素軽さ」が戻ってきたような印象を受けたと話す。

 「ようやく、馴致の時の背中の良さが戻ってきたような走りを見せてくれたと思いました。そこに成長が噛み合ったことで、改めて重賞で勝ち負けのできる馬になれたのでしょう」(藤波厩舎長)

 ただ、前走のダービー卿ChT(G3)ではスタートのタイミングが合わずに7着に敗退。また育成時から気の強さと頭の良さを兼ね備えていただけに、それが悪い方に出てしまったのではと、藤波厩舎長は分析する。

 まさに捲土重来の意気込みで臨むこととなった京王杯SC(G2)であったが、残り1ハロン過ぎから、ため込んでいた末脚を一気に開放したレッドモンレーヴは、最後の直線で抜け出したウインマーベルを一気に交わすと、そのまま半馬身差を付けての勝利をおさめる。

 「レースはドキドキして見ていられませんでした。ただ、本格化した感もあるレースであり、ここまで様々なこともありましたが、それを全てクリアして、G1に臨めるのは本当に嬉しいです」(藤波厩舎長)

 勿論、安田記念(G1)制覇となれば、藤波厩舎長が手掛けた育成馬では初めてとなる。京王杯SC(G2)出走馬は苦戦が続いている安田記念(G1)だが、レッドモンレーヴの勢いならば、そのジンクスをやすやすと打ち破ってくれるのかもしれない。