重賞ウィナーレポート

2023年04月29日 青葉賞 G2

2023年04月29日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スキルヴィング

プロフィール

生年月日
2020年03月25日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:4戦3勝
総収得賞金
74,023,000円
キタサンブラック
母 (母父)
ロスヴァイセ  by  シンボリクリスエス(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
C.ルメール

 昨年のJRA年度代表馬に輝いた、初年度産駒のイクイノックスの活躍に続き、今年の皐月賞(G1)も2年目産駒のソールオリエンスが優勝。デビューする世代を重ねるごとに、種牡馬としての評価を上げて行くキタサンブラックであるが、そのソールオリエンスと同じ3歳世代から、またダービー馬候補が誕生した。

 日本ダービー(G1)と同じ東京競馬場芝2400mに出走したスキルヴィングは、単勝1.7倍という圧倒的な支持に応えるかのように、最後の直線でメンバー中最速タイとなる、上がり34秒1の末脚を使っていく。結果は2着のハーツコンチェルトに半馬身差を付けての快勝。レース後、鞍上のルメール騎手からは、「高い能力を持っている。G1馬になれると思います」との最大級の賛辞を受けていた。

 騎乗育成を行ったのはノーザンファーム空港B1厩舎。実は青葉賞(G2)を勝った田中洋二厩舎長は、同じ3歳世代で毎日杯(G3)を勝利したシーズンリッチの育成も手掛けてきた。

 「この世代は15頭の育成馬を管理してきましたが、その中から2頭の重賞馬を送り出せただけでなく、2頭共にダービー(G1)に出走できるのは本当に幸せなことです」と田中厩舎長は笑みを浮かべる。スキルヴィングは2歳10月のメイクデビュー東京こそ敗れたものの、続く2歳未勝利戦はデビュー戦と同じ芝2000mを使っての勝利。3歳初戦となるゆりかもめ賞は、青葉賞(G2)と同じ芝2400mと、陣営は早いうちから長距離適性の高さを見抜いてきた。

 「牧場にいた頃もおっとりとした性格をした馬でした。調教でも引っかかるような印象は無く、厩舎にいたどのライダーも一度は背中に跨ったことがあるほどでした」(田中厩舎長)

 だが、田中厩舎長のような馬を動かせるライダーが跨ると、スキルヴィングはまた違った反応を示していた。

 「普段は時計なりに走るような馬でしたが、自分が乗って気合を入れると、手綱を持ったままでも、速い時計をあっさりと出していました。その時にこの馬は乗り役の指示にも従う賢さも持ち合わせていると再確認できました」(田中厩舎長)

 ゆりかもめ賞では初めての芝2400mも難なくクリアして臨んだ青葉賞(G2)。単勝1.7倍という圧倒的な人気に支持されていたが、田中厩舎長もまた、勝ち負けのレースになるとの期待をしていた。

 「ゆりかもめ賞の勝ち方も良かっただけに、コースや距離の心配もしていませんでした。追切では3頭併せの真ん中だったにも関わらず、いつも通りにリラックスして走れていましたし、これなら力を出し切ってくれると思いました」(田中厩舎長)

 レースは1000m通過が60秒4というゆったりした流れとなったものの、後方待機策を取ったスキルヴィングは、他の馬より距離をロスしながらも馬群の外へと進路を取ると、そこから末脚を爆発させていく。なんと10頭を直線だけで抜き去る鮮やかな差し切り勝ち。これだけの決め手がありながらも、ルメール騎手は、「ダービー(G1)ではトップコンディションになってくれるはず」とさらなる上積みを期待していた。

 「青葉賞(G2)勝ち馬はダービー(G1)に勝てないというジンクスがありますが、スキルヴィングにはそれを覆してほしいと思っています」とエールを送った田中厩舎長。ジンクスを覆すほどのスケールを持ったスキルヴィングが、この世代の頂点に躍り出ようとしている。