重賞ウィナーレポート

2023年03月11日 中山牝馬S G3

2023年03月11日 中山競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スルーセブンシーズ

プロフィール

生年月日
2018年04月08日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:11戦4勝
総収得賞金
191,704,000円
ドリームジャーニー
母 (母父)
マイティースルー  by  クロフネ(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
尾関 知人
騎手
C.ルメール
  • 今年の2歳馬にも楽しみな馬が揃っています、と話してくれた村上厩舎長
    今年の2歳馬にも楽しみな馬が揃っています、と話してくれた村上厩舎長
  • 旧日下厩舎時代には、凱旋門賞(G1)に挑戦したハープスターもここで育成された
    旧日下厩舎時代には、凱旋門賞(G1)に挑戦したハープスターもここで育成された

 鹿毛の毛色、そして小柄な馬体と父ドリームジャーニーを彷彿とさせるスルーセブンシーズが、父に4つ目の重賞タイトルを届けた。

 「馬体を増やすのに苦労しただけでなく、牝馬らしい気難しさもあったので、その辺も考慮しながら調教を進めてきました」とは騎乗育成を行ってきたノーザンファーム早来の村上隆博厩舎長。ただ、フットワークの柔らかさと、バネの利いた走りには、上のクラスでも通用するのではと思えた素質も感じさせていたという。

 「イヤリングから来た頃から、先々になって会員の皆さんを楽しませてくれる馬だと思っていました。それだけに2歳の早い時期から新馬戦を勝利してくれたのは驚きでした」(村上厩舎長)

 スルーセブンシーズは3歳時にも1勝クラスのミモザ賞を勝利して、オークス(G1)へと出走する。デビュー戦からのレース選択にも表れていたように、村上厩舎長も距離が合っていいタイプだと思っていたとのことであり、ほとんどの馬が初距離となるオークス(G1)は、一発もあるのではと期待もしていたという。

 「能力を認められていたからこそのG1挑戦だったと思いますが、まだこの頃は馬体の成長が追い付いていなかったのかもしれません。それだけに管理をしてくださっている尾関先生やスタッフの皆さん、そしてノーザンファーム天栄のスタッフたちも、管理にあたっては苦労してきたと思います」(村上厩舎長)

 ノーザンファーム天栄からも調整に関する連絡は入っていたというが、その際もなかなか馬体が増えて行かないと聞かされていた。

 「ただ、年齢を重ねていく中で、馬体の戻りが良くなってきた上に、馬体も以前より膨らんできた印象があると聞いていました。今では馬体重も450kgほどをキープしていますが、デビュー時から考えると30kgほどは馬体重を増やしているのも成長の証だと思います」(村上厩舎長)

 前走の初富士Sを勝利してオープン入りを果たして臨んだ、この中山牝馬S(G3)でスルーセブンシーズは2番人気を集めていた。

 「調教の動きも良かっただけでなく、前走(初富士S)を含めて中山で3勝とコースとの相性も良かったことも評価されていたのではないかと思います。また、父のドリームジャーニーと言ったステイゴールドの系統も、中山コースを得意としていただけに、レース前から期待をしていました」(村上厩舎長)

 距離は新馬戦以来の芝1800mとなったが、その新馬戦では速い上がりを使って危なげなく勝利をおさめていたように、距離の心配も無かった。この中山牝馬S(G3)では中団からレースを進めていったスルーセブンシーズは、残り3ハロン過ぎから外を回って進出を開始。第4コーナーでは先行勢の外に並びかける。最後の直線では抜け出しを図るストーリアに馬体を合わせていくと、そこから瞬発力の違いとばかりに一気に突き放していき、1馬身1/4差をつけての快勝となった。

 「4コーナーに入った時に勝ったと思いました。上がりタイム(33秒8)も優秀でしたし、改めてコース適性の高さや血統の後押しだけでなく、成長した証をここで証明できたのではとも思います」(村上厩舎長)

 次走は宝塚記念(G1)への出走が予定されているが、先日、陣営からは凱旋門賞(G1)への登録も発表された。

 「正直、ビックリしました。でも、牝馬が凱旋門賞(G1)に挑戦する機会は決して多くはないですし、それを実現されるのならば光栄なことであり、楽しみになってきます」(村上厩舎長)

 凱旋門賞(G1)はドリームジャーニーの全弟となるオルフェーヴルが2年続けて2着となり、そして、ステイゴールド産駒のナカヤマフェスタも2着となっているように、この父系とは相性のいいレース。まずは宝塚記念(G1)の結果次第となるのだろうが、このレースもまた父のドリームジャーニーとオルフェーヴルが制しているレースでもある。

 宝塚記念(G1)から凱旋門賞(G1)へ。小柄な鹿毛の牝馬の輝かしい未来は、今まさに開かれようとしている。