2023年04月09日 ル・プランタン賞(GDJ)
優勝馬:マルグリッド
プロフィール
- 生年月日
- 2020年04月15日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:10戦4勝
- 総収得賞金
- 29,016,000円
- 父
- フリオーソ
- 母 (母父)
- レッドストリング by シンボリクリスエス(USA)
- 馬主
- 山本 芳樹
- 生産者
- ヴェルサイユファーム株式会社 (門別)
- 調教師
- 新子 雅司
- 騎手
- 下原 理
『グランダム・ジャパン(GDJ)2023』3歳シーズンの第3戦「ル・プランタン賞(佐賀)」を制したマルグリッド(兵庫)が、第7戦の「のじぎく賞(園田)」2着、最終戦の「関東オークス(Jpn2)(川崎)」5着と安定した走りを見せ、シーズントータル36ポイントを獲得。メイドイットマム(船橋)の35ポイントを1ポイント上回り、見事に第14代目のGDJ3歳女王に輝いた。
マルグリッドが生まれたのは、日高町のヴェルサイユファーム。旧・三城牧場の時代から数々の重賞馬を送り出してきた生産牧場で、現役馬では昨年のスプリングS(G2)を制してクラシック三冠を皆勤したビーアストニッシドなどが活躍中。また、オジュウチョウサンなどの現役種牡馬や、タニノギムレット、ローズキングダムなど種牡馬を引退した多くの功労馬をYogiboヴェルサイユリゾートファームで繋養。敷地内に宿泊施設やカフェを併設し、馬産地の観光スポットとしても人気を博している。
「最終的に1ポイント差での総合優勝でしたから、本当にラッキーでしたね。オーナーも、とても喜ばれておられました」と話すのは、ヴェルサイユファーム株式会社の代表取締役社長・岩﨑美由紀さん。「山本オーナーは当時、フリオーソの産駒を探しておられて、たまたま知り合いの紹介でうちの牧場へ馬を見に来られたんです。牧場にいた頃のマルグリッドは細くて華奢な印象でしたが、骨格自体はしっかりとしていて、とにかく見た目が派手で華やかな馬でした。すぐに気に入っていただいたのですが、個人名義で馬を持たれるのはこれが初めてだったんです。門別で走っていた2歳時も関西から毎回応援に来ていて、馬に対してとても愛情を持って接する方なんですよ。そのオーナーの想いが、馬にも伝わっているような気がします。以前、『牧場の仕事を体験してみたい』と仰って、うちで牧場作業をして行かれたこともありました(笑)」とオーナーとの貴重なエピソードを明かしてくれた。
マルグリッドの牝系は、1907年に小岩井農場が英国から輸入した基礎繁殖牝馬の1頭であるフラストレートを祖とし、7代母には牝馬ながらに1947年の皐月賞に勝ち、日本ダービーでも2着したトキツカゼの名もある。また一族には1999年のオークス馬ウメノファイバーや、2004年の京王杯スプリングカップ(G2)など重賞3勝を挙げたウインラディウスがいて、2018年の阪神牝馬S(G2)など重賞4勝を飾ったヴェルサイユファームの代表生産馬ミスパンテールも同じファミリーの出身だ。「私がこの牧場に嫁いできた当時、マルグリッドの3代母ジョウノマチエールが繁殖を引退してまだ牧場にいたのを覚えています。とにかく気性の荒い馬で、スタッフから『マチエールだけには近づくな』と言われていました」と当時のことを思い出し、「今はこの牝系の繁殖牝馬もいなくなってしまったので、マルグリッドが現役生活を終えたら牧場に戻って血をつないでいってほしいと願っています」と未来に夢を膨らませる。
「マルグリッドは牧場にいた頃から丈夫な馬だとは思っていましたが、実際に他地区へ遠征しても輸送の影響等がまったくないようなんです。だから佐賀や川崎でも良い走りができたんでしょうね。ここまで活躍してくれるとは思っていなかったので今は驚きの方が大きいですが、これからも怪我なく競走生活を送って重賞を沸かせてほしいと思います」とエールを送る岩﨑さん。「人が注いだ愛情は必ず馬に伝わるはず」との想いを強く抱き、大きな夢を掲げて日々生産馬と向き合っている。