重賞ウィナーレポート

2023年03月18日 フラワーC G3

2023年03月18日 中山競馬場 雨 不良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エミュー

プロフィール

生年月日
2020年03月22日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:6戦3勝
総収得賞金
55,304,000円
ハービンジャー(GB)
母 (母父)
スーリール  by  スペシャルウィーク
馬主
(株) ノースヒルズ
生産者
株式会社 ノースヒルズ (新冠)
調教師
和田 正一郎
騎手
M.デムーロ

 過去の優勝馬にはダンスインザムードやシーザリオ、キストゥヘヴンなどのクラシックホースが名を連ね、昨年はスタニングローズがこのレース優勝をステップにオークス(G1)2着、秋華賞(G1)優勝と名牝への道を歩み始めたフラワーカップ(G3)。今年は一昨年以来のフルゲート16頭で争われ、新冠町ノースヒルズ生産で2番人気エミューが1分53秒2(不良)で優勝。重賞初勝利を重賞初挑戦の舞台で飾り、通算成績を6戦3勝とした。この勝利でノースヒルズは2009年から続いている生産牧場としての連続年JRA重賞勝利を「15年連続」に延ばすとともに、海外や購入馬含むグループにおける重賞勝利数は177となった。

 牝馬クラシック第1弾桜花賞(G1)への最終便。出産、種付けと生産牧場が1年で最も忙しい季節だ。テレビの画面を通して愛馬を応援していたという同牧場の福田洋志ディレクターは「初めての重賞挑戦でしたが、同じ距離、コースで行われた前走(デイジー賞)の勝ち方がとてもよかったので、このメンバーを相手にどんな競馬をしてくれるのだろうか」と、初の重賞挑戦を楽しみにしていたそうだ。

 しかし、少し横を向いていた時にゲートが開いて戸惑うようなスタートとなったエミューは行き足がつかずに最初のコーナーを最後方で通過する。「今までに経験したことのないポジションからの競馬でしたが、道中の手応えは決して悪くは見えませんでした。ただ、やはり後方からの競馬になりましたので、馬場状態は気になりました」と期待と不安が入り混じるような気持ちでレースを見守っていたそうだ。

 そんな福田氏の気持ちに応えるように、中山競馬場の勝負どころ3~4角でポジションを押し上げたエミューは馬場の良い外目を矢のように伸びて先頭ゴールインを果たしている。

 「人気にしていただいたので、まずはほっとしましたし、小さい体で頑張ってくれたエミューに感謝したいです。改めて、この馬の能力、精神力を再認識しました」。

 しかし、馬体重(今回で414キロ)が示す通りに、牧場時代は決して目立つような馬ではなかったそうだ。「祖母のグローリーブラッドは米国1歳市場での購入馬です。3歳春に連勝し重賞のフィリーズレビュー(G2)でも5着に健闘してくれた馬で、繁殖牝馬としてもほとんどの産駒が勝ち上がってくれたのですが、生まれた仔は牝馬が多く、その牝馬は相対的に小柄な馬が多かったです。そんな中でエミューの母スーリールは背が高い方でしたが、薄いつくりの牝馬でした」。

 そんな母親とよく似た体のラインを持って生まれたエミューは、血統イメージ通りの成長曲線を描きながら、ケガや病気とは無縁の健康優良児だったそうだ。離乳したあとはノースヒルズ清畠での昼夜放牧で心身を鍛え上げられ、ノースヒルズの同期生の中で、重賞ウィナー第1号となった。

 「この勝利で胸を張ってクラシックへと向かうことができます。無事に出走してくれることが1番。もちろん、勝って欲しいと願いますが、今回よりもさらに強いメンバーを相手に、先々につながるようなレースをしてくれることを願っています」とレースを楽しみにしている。