重賞ウィナーレポート

2022年11月13日 エリザベス女王杯 G1

2022年11月13日 阪神競馬場 曇 重 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジェラルディーナ

プロフィール

生年月日
2018年05月12日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:16戦6勝
総収得賞金
445,447,000円
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
斉藤 崇史
騎手
C.デムーロ
  • 寒空の下でも元気なイヤリングの管理馬たち
    寒空の下でも元気なイヤリングの管理馬たち
  • 育成馬たちが今年の秋G1レースを沸かせている
    育成馬たちが今年の秋G1レースを沸かせている

 牡馬を一蹴してG1 7勝をあげた、ジェンティルドンナならではのエピソード言えるのだろうが、古馬になってからは一度も牝馬限定重賞を走ったことはない。結果的にエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬どころか出走馬にもその名を記してはいないが、ブラックタイプの中に3番仔のジェラルディーナがエリザベス女王杯(G1)の文字を刻み込みこんだ。

 「勝ったときは今までのG1勝利とは、また違った喜びがありました」とはエリザベス女王杯(G1)を阪神競馬場まで応援に行っていた伊藤賢調教主任。このエリザベス女王杯(G1)にはジェラルディーナだけでなく、同じく管理馬で、秋華賞(G1)を勝ってこの舞台へと臨んできたスタニングローズも出走していた。

 「スタニングローズもようやく掴んだクラシックタイトルだけに、2頭揃っていいレースを見せてくれたらと期待をしていました。ただ、ジェラルディーナは母も手掛けていただけに、自分の中でも特別な存在でもありましたし、母が出走していなかったこのレースに出走できたのも、どこか嬉しかったです」(伊藤主任)

 パドックでは2頭共に好調さをアピールしていたが、その中でもジェラルディーナは一際元気さをアピールしていた。

 「オールカマ―(G2)と同じように周回していましたが、いれこんで消耗している印象も無く、いつもと同じように力が発揮できる状態だと思いました」(伊藤主任)

 その周回を重ねていく姿を見た時、伊藤主任はジェラルディーナの姿にふと、母の面影を感じ取る。

 「馬の形などは似ていませんが、ふとした仕草が母の現役時の姿と重なりました。牧場時代は非力な面もありましたが、それが年齢を重ねるにつれて芯が入ってきたからこそ、ジェンティルドンナぽくなってきたと思えたのかもしれません」(伊藤主任)

 この日の阪神競馬場は昼過ぎから雨が降り始め、エリザベス女王杯(G1)の出走時には馬場状態も重馬場に変わっていた。

 「跳びの綺麗な馬だけに、馬場が渋っていたのは気になりました。母も娘も力のいる馬場は決して得意として無かっただけに、そこは不安でしたが、その日の馬場傾向が外が伸びている感じもあったので、脚質やレース展開的にはジェラルディーナに向くのではとも思っていました」(伊藤主任)

 中段につけて流れに乗っていったオールカマー(G2)とは違って、このエリザベス女王杯(G1)では後方からのレースを選択する。

 「オールカマ-(G2)は内枠からのレースでしたが、今回は外枠からのレースとなったことで、あの位置取りになったと思いました。4コーナーもいい感じで捲ってきていましたし、直線に入った時は先行勢を射程圏内に置く位置取りだったので、この時に勝てると思いました」(伊藤主任)

 逃げ込みを図るローザノワールを交わしたウインマリリンが先頭に立つと、それを見計らったかのように、ジェラルディーナが更にスピードを上げていく。脚色の違いは明らかであり、その勢いのままに先頭でゴール板を駆け抜けた。

 「馬も強かったですが、C.デムーロ騎手が上手に競馬をさせてくれました。この日は黄菊賞でも勝利をあげていましたが、その時と同じような競馬をしてくれていましたし、この馬場はこのコースが伸びるといった乗り方はさすがだと思いました」(伊藤主任)

 3番仔にしてG1馬を送り出したジェンティルドンナは、母としても優秀さを証明した形となった。

 「3番仔でG1馬を送り出せる繁殖はそういません。ジェンティルドンナはクラシック戦線を沸かせるなど、早い時期から活躍を見せてくれましたが、ジェラルディーナはここに来て本格化を迎えたのでしょう。今後、デビューを重ねていく産駒たちの活躍も更に楽しみになりました」(伊藤主任)

 勿論、その評価を更に高めていくのはジェラルディーナの活躍となっていく。

 「競走馬としての活躍は勿論のこと、その先にはジェンティルドンナの血脈を受け継いでいくという重要な仕事もあります。そのためにも確実に競走成績を積み重ねながら、更に繁殖牝馬としての価値を高めてもらいたいです」(伊藤主任)

 次走は有馬記念(G1)を予定。母は2014年の勝ち馬でもあり、ここでジェラルディーナが勝利すれば、史上初となる母娘制覇ともなる。

 「一線級の牡馬が相手となるだけに試金石とはなりますが、コース実績もあるだけでなく、距離もあった方がいいと思っていただけに、今は楽しみしかありません」と伊藤主任。父母合わせてG1 13勝の底力は、年末の大一番でこそ発揮されるのかもしれない。