重賞ウィナーレポート

2022年09月10日 紫苑S G3

2022年09月10日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スタニングローズ

プロフィール

生年月日
2019年01月18日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:9戦4勝
総収得賞金
426,216,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ローザブランカ  by  クロフネ(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
高野 友和
騎手
坂井 瑠星
  • バラ一族もここで鍛えられてきた
    バラ一族もここで鍛えられてきた
  • 放牧地では離乳も進んでいる
    放牧地では離乳も進んでいる

 ノーザンファーム空港の伊藤賢調教主任と、スタニングローズの4代母ローザネイを祖とする、通称「バラ一族」との関係は深い。

 「元々牝馬厩舎の厩舎長をしていましたし、スタニングローズのきょうだいとなるバンゴールやロサグラウカにも接してきました。2頭共にオープンでも活躍してくれましたが、自分の接してきたきょうだいの中でも、馬っぷりの良さや体幹の強さなど、スタニングローズが一番いいと思っていました」(伊藤調教主任)

 しかも、2歳6月でのメイクデビュー出走や、2戦目での勝ち上がりにも証明されたように、スタニングローズは育成時から完成度が高く、そして、競走センスの良さも牧場時代から示していた。

 「早期デビューが見込めた中で、その通りに調教も進められましたし、そしてバラ一族の血統馬らしく、レースを使いながら成長を遂げてくれました」(伊藤調教主任)

 2歳時から重賞で入着するような活躍を見せていくも、3歳時にはこぶし賞を勝利して、続くフラワーC(G3)も優勝。一時はNHKマイルC(G1)への出走も示唆されたが、陣営は充分な間隔を取った後、オークス(G1)への出走を決める。

 「競馬を使っていく中で、陣営としては前向きな面も出てきたとの判断もあったのでしょうが、牧場で騎乗した感覚としては距離は持つ馬だと思っていました。オークス(G1)も好走を期待していましたが、2着という結果は驚きではなく、持っているポテンシャルの高さを発揮できたレースだと思っていました」(伊藤調教主任)

 そのオークス(G1)以来となる紫苑S(G3)ではあったが、中間はノーザンファームしがらきで調整を行われてきた。

 「しがらきのスタッフからは、目標とするレース(秋華賞(G1))に向けて、成長分と余裕を残した馬体だと聞いていました。実際に14kg増でのレースとなりましたが、実績的にここでは勝ち負けのレースをして欲しいとの思いもありましたし、その通りの強いレースを見せてくれたと思います」(伊藤調教主任)

 同じ8枠に入ったサウンドビバーチェが内ラチ沿いを走りながら主導権を握る中、スタニングローズは外目からレースを進めていく。3コーナーを過ぎたあたりでサウンドビバーチェに並び駆けていくと最後の直線は2頭での叩き合い。ゴール前でクビ差抜け出していたのはスタニングローズだった。

 「勝負根性を示しただけでなく、長くいい脚を使ってくれました。改めて本番に繋がるレースになったと思います」(伊藤調教主任)

 レース後、管理をする高野友和調教師からも、「本番に向けて上積みしかありません」と告げられたと伊藤調教主任は教えてくれる。

 「自分もそう思っています。そこにバラ一族の成長力も加わってくるはずですし、先行力があるだけに阪神コースもあっているはず。ここで最後の一冠を取ってもらいたいですね」 と話す伊藤調教主任。一般的にバラの開花時期は春から初夏とされているが、秋に咲くバラは更に花の色も濃く、鮮やかだともされる。バラ一族であるスタニングローズもまた秋華賞(G1)で、大輪の華を咲かせてくれるのかもしれない。