重賞ウィナーレポート

2022年09月03日 札幌2歳S G3

2022年09月03日 札幌競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ドゥーラ

プロフィール

生年月日
2020年02月08日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
135,212,000円
ドゥラメンテ
母 (母父)
イシス  by  キングヘイロー
馬主
サイプレスホールディングス合同会社
生産者
グランデファーム (浦河)
調教師
高橋 康之
騎手
斎藤 新

 人間が創りあげた最高の芸術作品とも称されるサラブレッドは、300年を超える歴史の中で血統、そしてレースという名の能力検定を繰り返されて淘汰選択されてきた。サラブレッドは、生産者自身を映し出す鏡のような存在でもあるのだ。

 9月3日に札幌競馬場で行われた札幌2歳ステークス(G3)に勝ち、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を目指すドゥーラは、その生産、育成を一手に担った浦河町のグランデファームにとっては信念の馬だった。

 育成牧場として創業は2003年。最優秀短距離馬ローレルゲレイロや天皇賞(春)(G1)優勝ヒルノダムール、現役オープン馬でいえばバビットなどの育成に携わってきたグランデファームが生産部門へと本格的には着手したのは07年頃、当時は近隣の牧場に牝馬を預託する形をとっていたが2017年(18年生まれ世代)から本格化。その3世代目産駒として生まれたのがドゥーラだった。現在では20頭前後が産声をあげている。

 代表の衣斐浩氏は岐阜県の出身。その名前は血統の専門雑誌やインターネットのサイト、あるいは競馬ムック本などで記憶にある人もいるかもしれない。血統、とくに配合に関して造詣が深く、オリジナルの血統表作成ソフトを使って、今もその研鑽には余念がない。

 「ドゥーラ誕生の話は、母イシスの導入から話をさせてください」と衣斐代表。「この馬は2018年のジェイエス冬季繁殖馬セールで購入しました。函館2歳S(G3)などに勝ったクリスマスの半妹という血統ですが、祖母のターミナルフラワーは母の父に(ケンタッキーダービー馬の)キャノネイドを持ち、結果ステイゴールド産駒の母アラマサスナイパーには(ヘイロー(サンデーサイレンスの父)の母コスマー4×5のクロスが、キングヘイロー産駒のイシスにもコスマー4×5(4×5+6)が生じます。ドゥラメンテと配合すればサンデーサイレンス3×4のほか、名牝のコスマーの血が5×5(5×5+6+7)と継続的にクロスするのです。コスマーだけではなく、その母アルマームード、祖父マームードまで全部つながる配合になるのです」とその配合理由を述べてくれた。

 「これと決めたら3年間は連続で同じ種牡馬を配合します。全きょうだいとはいえ同じようなタイプに生まれるとは限りませんから。それがサラブレッド生産の難しいところです」。その2年目に生まれたのがドゥーラだった。

 「配合というのは難しいものですが、信念も大事だと、改めて思いました」

 レースは競馬場で応援した。「斎藤騎手が上手な競馬をしてくれたと思いますが、ドゥーラの良いところは折り合いが付いて追えば追うほど伸びてくれるということ。距離は延びても大丈夫だと思います。たくさんの競馬ファンに喜んでもらえるようなレースをして欲しい」というドゥーラに期待を膨らませている。