重賞ウィナーレポート

2022年07月17日 函館記念 G3

2022年07月17日 函館競馬場 雨 重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ハヤヤッコ

プロフィール

生年月日
2016年02月10日 06歳
性別/毛色
牡/白毛
戦績
国内:29戦6勝
総収得賞金
306,140,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
マシュマロ  by  クロフネ(USA)
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
浜中 俊
  • 森林馬道とほど近い場所に厩舎がある
    森林馬道とほど近い場所に厩舎がある
  • 繁殖牝馬たちも来年に向けての身体作りを始めている
    繁殖牝馬たちも来年に向けての身体作りを始めている

 芝とダートで双方の重賞を勝つ馬は、それほど数は多くないものの、その多くが芝で重賞を勝った後で、ダートに矛先を変えての勝利が多く見られる。

 だが、ハヤヤッコの場合は3歳時にレパードS(G3)を勝った後に、6歳となった函館記念(G3)を優勝。レース当日は雨が降りしきり、重馬場でのレースとなったこともまた、ハヤヤッコ向きの馬場となったかもしれない。それでも芝のレースしか走ったことがないような馬を相手に、ハヤヤッコが芝とダートの「二刀流」を示してみたのも事実だった。

 「育成時から背中のいい馬で、その頃は芝向きの馬だと思っていました」と話すのは育成を手掛けていたノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長。実際に芝1800mで行われたメイクデビュー新潟を勝利しているものの、ただ、近親に交流重賞で活躍したユキチャンといった、ダートでの活躍馬が多かったこともあって、デビュー4戦目からはダートに戦いの場を移していく。

 そこではレパードS(G3)だけでなく、リステッドのブラジルC、そしてオープンのスレイプニルSも優勝。ダート馬としても大成したかに見えたが、その後の勝ちきれないレースを見た陣営は、今年の日経賞(G2)から、再び芝でのレースを選択する。

 「国枝先生は気分転換に芝のレースを使うと話していましたが、日経賞(G2)もそれなりの競馬になっていましたし、天皇賞(春)(G1)はメンバーも強くなっていただけでなく、距離も長いと思っていました。そう考えると洋芝で行われる函館記念(G3)は、距離も含めてハヤヤッコに合っているのではとも思っていました」

 だが、重賞勝ちの実績やオープンでの走りが評価される形で、ハンデは57kgに設定。また、開催最終日を迎え、荒れた芝コースで1枠1番からの出走と決して楽な条件では無かったが、鞍上の浜中俊騎手は好位からレースを進めていくと、積極的な仕掛けで直線では先頭に躍り出る。

 「浜中騎手が馬の能力を信じた乗り方をしてくれました。斤量や枠的にも不利では無いかとも思っていましたが、それも浜中騎手だけでなく、ハヤヤッコにとっても関係がなかったのでしょう」

 そして木村厩舎長はダート戦で培ってきた、心身の充実もまた、この条件に適していたのではと分析する。

 「こちらにいた頃は華奢に見えていた馬体も逞しさを増していましたし、この時期は飼い葉が落ちる馬とも聞いていましたが、涼しい函館での調整があっていたのでしょう。そこでいい体調に戻せたこともまた、この好走に繋がったと思います」

 次走は札幌記念(G2)となるが、ハヤヤッコはデビュー前に牧場を離れて以降、一度も木村厩舎へは戻ってきていない。

 「国枝先生や厩舎の皆さん、そしてノーザンファーム天栄のスタッフが一生懸命にハヤヤッコに取り組んでくれたことが、これだけの期間を走れただけでなく、ダートと芝での重賞勝ちと言う快挙にも繋がったと思います。メンバーこそ強くなりますが、また洋芝でのレースとなりますし、もし雨が降って馬場が悪くなるようだと、チャンスは出てくると思います」と関係者への感謝を口にする木村厩舎長。17頭の出走予定馬のうち、12頭が重賞勝ち馬。そしてG1馬が5頭というハイレベルなレースとなった今年の札幌記念(G2)だが、函館記念(G3)に続き、ファンをあっと言わせるのはハヤヤッコとなるのかもしれない。