重賞ウィナーレポート

2022年07月07日 ノースクイーンC(GDJ)

2022年07月07日 門別競馬場 曇 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ネーロルチェンテ

プロフィール

生年月日
2017年04月19日 05歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:30戦9勝
総収得賞金
29,562,000円
ベルシャザール
母 (母父)
アデュラリア  by  クロフネ(USA)
馬主
眞保榮 稔
生産者
ナカノファーム (門別)
調教師
米川 昇
騎手
石川 倭
  • 今年生まれたネーロルチェンテの半弟(牡当歳、父ルヴァンスレーヴ)
    今年生まれたネーロルチェンテの半弟(牡当歳、父ルヴァンスレーヴ)
  • 牧場に戻って繁殖生活を送るネーロルチェンテの半姉ナリッシュ(父ヘニーヒューズ)
    牧場に戻って繁殖生活を送るネーロルチェンテの半姉ナリッシュ(父ヘニーヒューズ)
  • ナリッシュと今年生まれた当歳馬(牡当歳、父ゴールドドリーム)
    ナリッシュと今年生まれた当歳馬(牡当歳、父ゴールドドリーム)
  • ナリッシュは自分の仔と弟を育てている
    ナリッシュは自分の仔と弟を育てている
  • 当歳馬たちはポニーとも仲良し
    当歳馬たちはポニーとも仲良し

 『グランダム。ジャパン(GDJ)2022』の第3戦「ノースクイーンカップ(門別)」は、3番人気のネーロルチェンテが快勝。終始楽な手応えで4番手の外を進み、4コーナーで持ったまま先頭に並びかけて直線へ。逃げ粘るクーファアチャラを振り切り、昨年惜しくもハナ差2着に敗れた雪辱を見事に果たした。

 ネーロルチェンテの生まれ故郷は、日高町のナカノファーム。過去に2002年の共同通信杯(G3)と毎日杯(G3)を連勝してクラシック戦線を沸かせたチアズシュタルクや、2010年のステイヤーズS(G2)優勝馬コスモヘレノス、2013年のJRA2歳重賞を2勝したホウライアキコなどを生産。このGDJシリーズでは、2017年に読売レディス杯(金沢)を生産馬のプリンセスバリューが制し、同年のGDJ古馬シーズン総合2位に入った実績がある。

 「ノースクイーンカップ当日は現地で観戦しており、パドックでは馬体も絞れていて良い状態に見えました。去年が惜しい負け方だったのでそのリベンジをしてほしいと思っていたのですが、着差以上に強い勝ち方だったと思います。口取りにも入れて、本当にうれしかったです」と笑顔を見せるのは、ナカノファームの2代目・中野将大さん。牧場と門別競馬場が近いこともあり、2歳時からネーロルチェンテのレースは現地で応援していたという。「デビュー当初は1200m戦をつづけて使われてなかなか勝てなかったのですが、秋からは距離が伸びて良い走りをするようになり、ついにシーズン最終日のブロッサムカップで重賞を勝ってくれたんです」と2歳時のネーロルチェンテを振り返る。その後、南関東へ移籍したものの結果が出ず、3歳夏に門別へ帰郷。すると秋に調子を取り戻し、1800m戦を3連勝して休養に入った。「冬場は牧場に戻ってきたのですが、3歳シーズンが終わったあとはさすがに疲れていた様子でした。4歳シーズンが終わったあとも牧場で休養に入ったのですが、この時は元気いっぱいでしたね」と、3歳&4歳時のネーロルチェンテについても話してくれた。

 改めてネーロルチェンテの牝系を見ると、祖母クロッサンドラ、母アデュラリアともにナカノファームで生まれたクラブ法人ターファイトクラブの募集馬である。クロッサンドラはJRAのダートを5勝、アデュラリアはJRAのダートを4勝し、それぞれ引退後にナカノファームに戻って繁殖入り。そしてアデュラリアが繁殖5年目にベルシャザールとの交配で産んだのがネーロルチェンテだった。「ネーロルチェンテは生まれた時から大きくてしっかりとした馬体をしており、同期の馬と比べても垢ぬけていました」と当時を思い出し、「母のアデュラリアは今年、父ルヴァンスレーヴの牡馬を産んだ約1か月後に、腸捻転を発症して命を落としてしまったんです。まだ16歳と若かったので、あと数頭は産んでくれると思っていたのですが…。今はネーロルチェンテの姉ナリッシュが牧場に戻って繁殖入りし、この血統をつないでくれています」と話し、放牧地へ案内してくれた。そこには、ネーロルチェンテの半弟が姉のナリッシュ親仔といっしょに放牧されており、母はなくとも逞しく元気に育っていた。当歳馬同士は仲良くじゃれあっていたが、実際は叔父と甥の関係になる。

 ネーロルチェンテの次走は、地元・門別の牝馬ダートグレード・ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)を予定。昨年は地方馬最先着の5着と健闘したが、今年はそれ以上の飛躍を期待したくなる。「古馬になってから歳を重ねるごとに、走りが良くなってきているように感じています。ですから今年のブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)では、JRA勢を1頭でも2頭でも負かしてくれないかなと思っているんですよ。GDJシリーズもチャンスはあるでしょうから、期待したいですね。そして将来、牧場に戻って姉のナリッシュとともにこの牝系をつないでいってほしいと願っています」と夢を膨らませる。

 ネーロルチェンテはまだ5歳。これから何度も、大きな舞台に挑戦するチャンスが巡ってくるだろう。母アデュラリアも、天国からその奮闘を見守っているに違いない。