重賞ウィナーレポート

2022年04月03日 大阪杯 G1

2022年04月03日 阪神競馬場 曇 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ポタジェ

プロフィール

生年月日
2017年02月04日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:15戦6勝
総収得賞金
362,826,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ジンジャーパンチ(USA)  by  Awesome Again(CAN)
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
友道 康夫
騎手
吉田 隼人
  • 日本ダービー(G1)の有力馬である、イクイノックスも育成馬となる
    日本ダービー(G1)の有力馬である、イクイノックスも育成馬となる
  • 放牧地には緑も目立ってきた
    放牧地には緑も目立ってきた

 母ジンジャーパンチはBCディスタフ(G1)など、G1 6勝をあげて、エクリプス賞最優秀古牝馬に輝いた名牝。そして半姉にも牡馬を相手にしながら重賞4勝をあげたルージュバックがいる良血馬のポタジェが、初重賞制覇をG1勝ちで飾った。

 「乗り味が良くて、人の手もかからないような優等生でした。ゆくゆくはG1を勝てる馬になると思っていましたし、血統的にもディープインパクト産駒の後継種牡馬になれればとの期待もかけていました」と当時の印象を話すのは、ノーザンファーム早来の桑田裕規厩舎長。ただ、2歳時のメイクデビューを勝利した後は黄菊賞で2着、日本ダービー(G1)出走をかけたプリンシパルSでも2着となり、クラシック出走を叶えることはできなかった。

 「堅実には走っていてくれたものの、1着との着差もそれほどなかっただけに、歯がゆい思いもしていました」(桑田厩舎長)

 ただ、3歳7月の生田特別以降、良血を開花させたかのように破竹の3連勝でオープン入り。続くオープンの白富士Sも優勝して以降は、重賞レースの常連ともなっていくが、ここでも惜しいレースが続いていく。

 「管理をしてくださっている友道調教師からは、『レースを使っていく中で、堅さも出てくるようになった』と話していました。それだけに間隔を取ったローテーションを組むなど、関係者の皆さんが馬本位での管理をしてくださったことが、この結果に繋がったと思います」(桑田厩舎長)

 昨年の新潟大賞典(G3)で2着となった後、ポタジェは桑田厩舎で調整されることとなった。レースを使ってきた疲労もあったのか、乗り味には2歳時には感じられなかった堅さも出ていた。

 「堅くなった体をほぐすために、しっかりと疲れを取るだけでなく、大きく身体を使えるように意識しながら調教を行いました。厩舎に送り出す頃には、いい状態に戻ってきたとの手ごたえも感じていましたし、先生からも可動範囲が広がったと言われました」(桑田厩舎長)

 復帰後は待望の重賞タイトルとの期待も膨らむ中、毎日王冠(G2)では3着となるも、その後は善戦するも勝ちきれないレースが続いていった。

 「まだまだ重賞の壁があるのかなあと思っていました。この大阪杯(G1)もメンバーが更に強化されていましたが、阪神コースは好走していた舞台でもありましたし、勝つ可能性はゼロではないと思ってもいました」(桑田厩舎長)

 今年の大阪杯(G1)は近年でも豪華メンバーが揃ったレースとなった。昨年の年度代表馬エフフォーリアに加えて、連覇を目指すレイパパレ、そして、前走の金鯱賞(G2)まで5連勝という快進撃を続けるジャックドールも出走。その他にも昨年のエリザベス女王杯(G1)の勝ち馬となったアカイイトなど、重賞ウイナーたちがずらりと並んでいた。

 5連勝は逃げ、もしくは2番手からレースを進めていたジャックドールが先手を取ったレースは、1000m通過58秒8という速いラップで流れていく。ポタジェは5番手からレースを進めていくと、最後の直線では鞍上の吉田隼人騎手に促されながら、一歩、また一歩と先に抜け出した馬を捉えにかかる。

 「4コーナーを回ってきた時に、もしかして…と思いました。出先だったので、レースはスマホの画面で見ていたのですが、ジャックドール、レイパパレと3頭が並んだ時に電話の着信音が流れてきて、その後は立て続けにメールやLINEの通知も入ってきました」(桑田厩舎長)

 それはWEBのタイムラグよりもいち早く、勝利の喜びを伝えてきた牧場スタッフや関係者からの連絡だった。その知らせに勝利を感じ取った数秒後、ポタジェは先頭でゴール板を駆け抜けていた。

 「コース適正や展開、そして馬の状態の良さと、全てが噛み合った感があります。それも友道厩舎の皆さん、ノーザンファームしがらきのスタッフと、関係者全てが焦らずに成長を促しながら、ベストを尽くしてきた結果だと思えるだけに、価値のある勝利ともなりました」(桑田厩舎長)

 次走は宝塚記念(G1)を予定。ここで勝利すれば、改めて古馬最強馬として誰もが認める存在ともなる。

 「毎回ごとに堅実に走ってくれますし、大阪杯(G1)と同じく挑戦者として臨み、いい結果を残してもらいたいです」と桑田厩舎長。宝塚記念(G1)だけでなく、今後もG1でタイトルを積み上げていったポタジェの行く先には、誰もが認めるディープインパクト産駒の後継種牡馬としての未来が開かれている。