重賞ウィナーレポート

2022年02月12日 クイーンC G3

2022年02月12日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:プレサージュリフト

プロフィール

生年月日
2019年04月25日 03歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
124,725,000円
ハービンジャー(GB)
母 (母父)
シュプリームギフト  by  ディープインパクト
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
木村 哲也
騎手
戸崎 圭太
  • 高い位置にある牧場の看板の近くまで、雪が積もっていた
    高い位置にある牧場の看板の近くまで、雪が積もっていた
  • 来年のクラシック候補生も育成されている
    来年のクラシック候補生も育成されている

 昨年10月のメイクデビュー東京で、2着馬に3馬身差を付ける衝撃のデビューを果たしたプレサージュリフト。それ以来、約3か月半ぶりのレースとなったこのクイーンC(G3)でも、最後の直線で鋭い末脚を使うと、先に抜け出したスターズオンアースをクビ差交わして優勝。一躍、牝馬クラシック戦線に名乗りをあげた。

 それにしてもデビュー2戦目での重賞制覇は、そうそうできることではない。さぞかし、育成時代から素質の片鱗を見せていたのではと考えてしまうが、牧場での管理を行ってきた、ノーザンファーム空港の鈴木俊昭厩舎長からは、全く別の答えが返ってきた。

 「育成時の印象ですが、正直、あまり目立ってはいない馬でした。馬体もコロンとしており、ハービンジャー産駒の特徴でもあるのですが、後躯に力が付ききってなく、坂路に入れた頃はもがきながら走っていました」

 当初は別のスタッフに調教を任せていた鈴木厩舎長であるが、乗り味を確かめるべく自らも騎乗してみると、非力な面はあったが走りには癖も無く、また乗り役の指示に従うような素直さも兼ね備えていた。

 「飼い葉食いも苦労した馬で、なかなか馬体も良くはなってきませんでした。調教内容を軽くするなどして、馬体作りに重点をおいた結果、2歳の5月ぐらいからは食べたものが身になってきただけでなく、それに応じて動きも良くなっていきました」

 この頃になると、騎乗を任せていたスタッフからも、「走りには軽さも出て、スピード能力の高さも感じられます」とのコメントも聞かれるようになったというが、その時点においても、今日のような活躍は想像できなかったと鈴木厩舎長は話す。

 「ノーザンファーム天栄でも、この馬の成長に合った調整をしてもらえたのだと思います。この頃になると頼りなさはすっかり無くなったようで、向こうのスタッフからも高い評価を受けるようになっていました」

 その言葉を聞いてもまだ、半信半疑だったと話す鈴木厩舎長であるが、メイクデビューの走りを見た時、非力さとは無縁と言えるような切れのある末脚に驚かされる。

 「重賞の前も天栄で調整してもらったのですが、その時も同じスタッフが、『重賞で勝ち負けできる』と話していました。その時はもしかしたら…という期待も膨らんできましたが、その期待以上の勝ちっぷりでしたね」

 次走は桜花賞(G1)に決定。メイクデビューからレース間隔を取ったことで、このクイーンC(G3)の馬体重はプラス12kgの464kgまで増えており、そこからまた間隔を空けてレースを使えることで、更に良化しているのは間違いない。

 「クイーンC(G3)の時でさえまだ緩さが残っていましたし、今後は伸びしろしかないと思います。その一方で調整にも苦労する面は多いと思いますが、改めて木村(哲也)先生やスタッフの皆さん、そしてノーザンファーム天栄のスタッフには感謝しかありません」

 そう話した鈴木厩舎長は、「個人的には距離が伸びても大丈夫だと思っているだけに、オークス(G1)の条件もこの馬に向いていると思います」と期待を寄せる。無傷の3連勝で桜花賞(G1)を制した時、その先には無敗の二冠制覇、いや、三冠制覇も見えてくるのかもしれない。