重賞ウィナーレポート

2021年12月28日 ホープフルS G1

2021年12月28日 中山競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キラーアビリティ

プロフィール

生年月日
2019年01月27日 02歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:4戦2勝
総収得賞金
144,318,000円
ディープインパクト
母 (母父)
キラーグレイシス(USA)  by  Congaree(USA)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
斉藤 崇史
騎手
横山 武史
  • イヤリングの放牧地には雪の馬道も作られた
    イヤリングの放牧地には雪の馬道も作られた
  • 同世代で2頭のG1馬を送り出した
    同世代で2頭のG1馬を送り出した

 快挙と言っていいだろう。中央競馬で2歳牡馬が出走できるG1レースは朝日杯FS(G1)とホープフルS(G1)の2レース。どちらも同一の生産牧場が勝利した例は、今年(朝日杯FS G1)…ドウデュース、ホープフルS(G1)…キラーアビリティ)で4回目。いずれもノーザンファームの生産馬である。

 しかも、今年の2歳牡馬G1勝ち馬となった、ドウデュースとキラーアビリティの育成を手掛けたのは、共にノーザンファーム空港のB-3厩舎。現在、スタッフたちはD-1厩舎で育成馬の調教を行っているものの、ノーザンファームの育成厩舎にとっても、史上初の快挙となった。

 「そんな上手くはいかないだろうな、と思いながらレースを見ていましたが、それだけに2頭のG1勝ちは驚きでしたし、周りの方からも、『やりすぎだろう』と言われています」と笑顔を浮かべるのは木村純一厩舎長。育成馬で初のG1馬を送り出してから、僅か9日後に異なるG1馬が誕生、しかも共に2歳馬というのは、確かに聞いたことが無い。

 先にG1を制したのはドウデュースながらも、育成時の印象としては、キラーアビリティの方が2歳の早い時期からの活躍が見込めていたと木村厩舎長は話す。

 「育成時からすこぶる順調で、体調面での問題も無く、3月半ばには本州へ移動させることができました。その一方で折り合いを含めた精神面については、まだまだ成長が必要だと思っていただけに、斉藤(崇史)調教師や厩舎関係者、そして中間を管理してくれたノーザンファームしがらきのスタッフのおかげだと思っています」

 牧場での調教の動きも抜群だっただけに、当初はマイル向きの馬になるのではと思っていたとも木村厩舎長は教えてくれるが、デビュー戦となった阪神芝1800mで5着に敗れると、次走は小倉の芝2000mで勝利。その後も阪神芝1800mの萩Sを使うなど、陣営は意識して芝中距離を使っていった。

 「デビュー戦で敗れた時には、距離を短くしていくのではと思っていただけに、陣営の判断だけでなく、その後の管理も素晴らしかったと思います。そして2戦目の勝ちっぷりの良さを見た時には、これは物凄い馬なのではと思うようにもなりました」

 2番人気で迎えたホープフルS(G1)。この日はほとんどの厩舎スタッフが出勤しており、レースの時間までにひとまず仕事を片付けると、みんなで牧場の食堂にあるTVの前に陣取った。

 「朝日杯FS(G1)は自分も自宅で観戦したので、みんなで手掛けた馬を、同じ場所で応援できるのは嬉しいと思っていました。それだけにキラーアビリティが勝ってくれたのは物凄く嬉しかったですし、その場所に自分もいて、共に喜びを分かち合えたのも、とても幸せだと思っていました」

 キラーアビリティは次走、皐月賞(G1)へぶっつけで臨むことを表明。また、ドウデュースは弥生賞(G2)を使ってから皐月賞(G1)へと臨むローテーションを発表した。

 「この時期から2頭もクラシックへ挑戦できる馬を送り出せたのは、本当に贅沢だと思います。この仕事を始めた頃から、いつかはダービー(G1)に送り出せる馬、そして勝てる馬を育てたいと思っていただけに、まずは2頭共に無事に出走してくれて、そして、2頭が共にレースをする光景も見てみたいです」

 G1馬となった育成馬の2頭が次に対決するのは皐月賞(G1)。その時、ドウデュースとキラーアビリティのどちらかが、木村厩舎長に皐月賞(G1)のタイトルを授けてくれるのかもしれない。